検査を実行する。結果を整理する。気になる箇所を、開発側が確認できる形で伝える。
WebのQAを自動化するなら、この一連の流れまでつなげたい。今回は、作成している「Auto QA Tester」の実装と、運用を効率化するための取り組みを紹介します。
目指しているのは、繰り返す確認を仕組みにして、見つかった問題の意味や改善の優先順位を考える時間をつくることです。
1. 検査と、結果を伝える準備をつなぐ
Auto QA Testerは、許可を得たWebサイトのURL、またはローカルの静的サイトを対象に検査するツールです。ブラウザ操作にはPlaywrightを使っています。
現在は、ページの読み込み、JavaScriptのエラー、リソースの取得失敗などを確認できます。さらに、PC・タブレット・スマートフォンを想定した3つの画面幅で、横へのはみ出し、文字や操作要素の見切れ・重なりを検査します。これはブラウザの表示幅を変える検査で、実機検証とは範囲が異なります。
検査後には、次の資料をまとめて出力します。
- チェック一覧のExcel:何を確認し、どう判定したかを追うための資料
- バグ一覧のExcel:再現手順、期待結果、実際の結果を確認するための資料
- PDF・HTMLレポート:結果の全体像を共有するための資料
- スクリーンショット:判定時の画面を確認するための証跡
チェックと画面証跡を結び付け、結果を見た人が具体的な確認に進める構成にしています。自動化の対象を、検査の実行から報告の準備まで広げた形です。
2. 「問題がある」と「検査できない」を分ける
自動化した結果を使うには、その判定が何を意味するのかも大切です。このツールでは、製品の不一致を表すFAILと、安全設定や実行環境の制限で確認できなかったQA_BLOCKEDを分けて記録します。
たとえば、安全設定で必要な通信が遮断され、確認を進められない場合があります。その制限が原因の項目を別記する一方、実際に確認できた不一致はFAILとして残します。確認できなかった範囲も含めて、次に何を調べるか判断できるようにするためです。
通常はページの閲覧を中心とした受動検査で、フォーム送信などの操作は既定で無効です。能動的なテストを行う場合は、実行の許可と送信先の範囲を明示する設計にしています。
3. デモの結果も、そのまま受け止める
2026年9月10日の同梱デモの実行記録では、受動検査102件の結果が、PASS 86件、FAIL 14件、WARN 2件、QA_BLOCKED 0件でした。対象は機能確認用のデモサイトです。
Excel・PDF・HTMLなどの成果物生成と自動検証は成功していますが、サイトの総合判定はFAILです。資料が正しく作れたことと、対象サイトが検査に合格したことは、別々に確認しています。
FAILは自動判定の結果として扱い、修正を判断するときは画面証跡や再現条件と照合します。結果を残す仕組みを整えることで、その確認へ進むための材料をそろえています。
4. 続けて使うために、実行前の手間も整える
検査機能に加えて、運用の入口も整理しました。QA実行、成果物の再検証、実行環境の診断を、それぞれ短いコマンドから呼び出せるようにしています。
環境診断では、必要なライブラリやブラウザ実行ファイルの存在、PDF検証の準備、手順ファイルの同期状態を確認します。足りない準備を切り分けるための機能です。ブラウザの起動権限や実際のサイトへの接続可否は、実行時に別途確認します。
また、普段読む案内を短くし、詳細資料や過去の成果物は必要なときに参照する構成へ整理しました。テストを続けるためには、実行する人やAIが必要な情報へたどり着きやすいことも大切だと考えています。
ここで紹介しているのは、実装した機能と運用上の整理です。作業時間・費用の削減率は未計測なので、数値の効果としては示していません。
5. 自動化の先で、人が判断すること
このツールにも、確認できる範囲があります。通常の探索は同一オリジンのリンクをたどる方式で、JavaScriptの操作だけで到達する画面や、業務の流れに沿った判断には補完が必要です。
アクセシビリティにはaxe-coreによる自動検査を取り入れています。ただし、自動検査だけですべての問題を把握できるわけではありません。Playwrightの公式資料でも、手動評価や利用者による検証を組み合わせる方法が勧められています。
どの不具合が利用者を困らせるのか。どの操作を優先して確認するのか。仕様どおりでも、使いにくさが残っていないか。こうした問いに向き合うための材料として、自動化の結果を活用していきたいと考えています。
参考:Playwright公式ドキュメント「Accessibility testing」
QAの進め方から、一緒に考えたい
更新のたびに、どこまで確認すればよいか悩んでいる。画面サイズごとの確認を整理したい。テスト結果を、開発側へ伝えやすくしたい。
そんな課題をお持ちでしたら、対象のサイトや確認したい範囲から、一緒に整理できればうれしいです。繰り返せる確認の自動化と、結果を読み解くQAの視点を組み合わせて、改善につながる進め方を考えます。
※記載内容は2026年9月11日時点で確認した実装と保存済み実行記録に基づきます。