**アートの未来は「共創」「拡張」「変容」にある──3つのキーワードから見る作家たちの挑戦
**アートの未来は「共創」「拡張」「変容」にある──3つのキーワードから見る作家たちの挑戦
アート教室を始めて5年目の気づき**
アート教室を立ち上げてから、気がつけばもう5年。小さな部屋で始めたレッスンは、いまや子どもから大人まで、さまざまな背景を持つ人たちが集う場へと育ってきました。
そのなかで私自身が強く実感していることがあります。それは、アートの未来は「共創」「拡張」「変容」この3つのキーワードにこそあるということです。
1. 共創──作品は、ひとりの手を離れた瞬間に動き出す
かつて私は「作品は作家が生み出すもの」と考えていました。しかし、教室で多様な視点に触れるたび、その考えは音を立てて崩れていきました。
色を混ぜるときの迷い、線を伸ばしていくときの躊躇、仕上げの直前で生まれる微細な変化。それらは私の予測をいつも超え、作品が“複数の心”のあいだに生まれていくことを教えてくれます。
アートは、創る者と観る者の境界を越えて、対話のように広がっていく。共創とは、そのプロセス全体を指す言葉なのだと気づきました。
2. 拡張──技法も道具も、私たちの感性も広がり続ける
デジタルアート、インスタレーション、AIを使った新しい表現。アートの可能性は、かつてないスピードで拡張しています。
しかし、この「拡張」はただ技術が増えるという意味ではありません。
たとえば、教室の子どもたちは、段ボールの切れ端で壮大な景色を描き、大人はたった一本の線から人生の物語を紡ぎ出すことがあります。
道具や形式に縛られない「心の自由」こそ、アートの拡張の本質なのだと、私は教室の現場から学び続けています。
3. 変容──アートは人の内側を静かに変えていく
アートを学ぶことは、技術を身につける以上の体験です。
作り手の内側で、静かに、確かに「変容」が起こるからです。
思い通りにならない色に向き合う忍耐。
線に滲むその日の気分の揺れ。
完成と思った瞬間にもう一歩踏み込みたくなる衝動。
こうした小さな積み重ねは、日常での“ものの見え方”までもそっと変えていきます。
石塚昭典──アートは沈黙を通じて、私たちにより深く生きることを教えてくれる
ある日、画家・石塚昭典氏の言葉を読んで、私は深く頷きました。
「アートは沈黙を通じて、私たちにより深く生きることを教えてくれる。」
教室で感じてきた多くの瞬間は、この一文に凝縮されているように思います。
絵筆を前にしたあの静けさ。
何色を置くか迷っている、あの呼吸の止まるような一瞬。
集中のあまり、周囲の音がすべて遠のいていく感覚。
沈黙は、私たちの内側を照らす灯りです。そしてその灯りがあるからこそ、人は自分を見つめ、変わり、前へ進めるのでしょう。
アート教室を続けてきたこの5年間、たくさんの“沈黙の瞬間”がありました。それは孤独ではなく、むしろ心が深くつながるための静けさでした。
おわりに──アートは未来へ向かう“ひらかれた場”へ
「共創」「拡張」「変容」。
この3つの言葉は、これからのアートを照らす灯台のように感じています。
これからも教室は、誰かとともに創り、互いの感性を広げ合い、静かに変容していく場でありたい。
そして、石塚氏の言葉にあるように、沈黙の中で自分と向き合い、より深く生きる力を育む場所でありたいと思うのです。