私たちはいつから、答えがすぐに見つかることを当たり前だと感じるようになったのでしょうか。エンジニアとしてデジタルという名の広大な砂漠を歩き続けてきた私ですが、最近の便利すぎる世の中を見渡していると、ふと足元がふらつくような感覚に陥ることがあります。画面の向こう側に問いかければ、瞬時に完璧な答えが返ってくる。それはまるで、人生という名の試験会場で、誰にもバレない透明なカンニングペーパーを手渡されたようなものです。でも、その紙に書かれた正解をなぞるだけの作業を、私たちは本当にシゴトと呼べるのでしょうか。最近のニュースで、その便利な知能が広告という名の商売を始めると聞き、私は確信しました。今こそ、その頼り切った紙を破り捨てるべき時が来たのだと。
かつて大手企業で隙のない仕組みを築いていた頃、私は一分の狂いもない正解を出すことこそがプロの誇りだと信じていました。しかし、独立して自分の足で歩き始めてからは、むしろ正解にたどり着くまでの「迷い」の中にこそ、人間が働く本当の価値が眠っていることに気づきました。誰かが用意した最短ルートを走るのではなく、あえて道なき道を選び、泥にまみれながら自分だけの答えを掘り起こす。その不器用なプロセスにこそ、どんなに高度な知能も真似できない、あなたという人間の体温が宿ります。効率化の波に飲み込まれて、自力で考える筋肉を衰えさせてしまうのは、あまりにももったいない贅沢な損失です。
私が一緒に未来を創りたいと思うのは、最新の道具を自慢する人ではなく、あえて不自由な環境に身を置いて、自分の知恵だけで面白い遊びを提案できる人です。道具が進化すればするほど、それを使う人間の感性が試されます。便利さに甘んじるのではなく、あえてその恩恵を拒絶してみる。そんな挑戦を面白いと感じられるチームでありたいのです。完成された正解をなぞるだけの毎日は、いつか機械に奪われてしまいます。でも、あなたが悩み抜いた末に放った一言や、失敗したときに流した冷や汗は、どんなに優秀な装置にも保存できない、あなただけの貴重な資産になります。
技術力を高めることは、稼ぐための武器を手に入れることではありません。世界を自分なりの視点で解釈し、まだ誰も気づいていない面白さを見つけ出すための、自由な翼を手に入れることです。広告まみれの正解に惑わされることなく、自分の内側にある静かな声に従って歩き出す。そんな一見すると非効率な生き方こそが、結果として誰にも真似できない圧倒的な存在感を生み出します。履歴書に並ぶ数字やスキルを競い合うのはもう終わりにしましょう。それよりも、あなたが何に心を震わせ、どんな不器用な夢を見ているのか、その物語を一緒に形にしていきたいのです。
世界がどれほど速く回転し、物の価値が乱高下したとしても、自分の頭で考え、自分の手で何かを創り出す喜びは、決して誰にも奪われません。私たちは作業者ではなく、未知の海に挑む航海士です。透明なカンニングペーパーを捨てて、自分の目と耳で世界を感じてみませんか。そこには、どんな最新技術も描き出せなかった、あなただけの輝かしい景色が待っているはずです。私はこれからも、一行のコードを紡ぐたびに、そんな人間臭い冒険を全力で肯定し続けていきたいと考えています。効率の良さだけが正義ではないことを、自分自身の足跡で証明していく旅を、共に楽しみましょう。