【前嶋拳人】砂漠で最高級の氷を売るような、お節介な仕事
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世の中の仕組みがどんどん便利になり、指先ひとつで何でも手に入るようになった現代。私たちはいつの間にか、無駄を省くことこそが正義であり、最短ルートでゴールに辿り着くことこそが賢い生き方だと教え込まれてきました。エンジニアとしてデジタルという名の広大な砂漠を歩き続けてきた私ですが、最近はあえてその真逆を歩んでみたいという奇妙な衝動に駆られることがあります。それは、灼熱の砂漠のど真ん中で、誰に頼まれたわけでもなく最高級の氷を削り出し、冷たい一杯を振る舞うような、極めて非効率で、かつ圧倒的にお節介な仕事のあり方です。効率や収益という冷たい定規で測れば、それは間違いなく落第点でしょう。しかし、その氷が溶けるまでのわずかな時間に生まれる対話や、誰かの乾いた喉が潤う瞬間にこそ、人間が働く本当の喜びが隠されている気がしてならないのです。
多くの人が、最新の武器を手に入れていかに効率よく稼ぐかに必死になっています。しかし、本当に面白いシゴトというのは、むしろ不自由な環境の中で、自分の知恵だけを頼りに新しい遊びを提案することの中にこそ眠っています。画面の向こう側の数字を操作して一分の狂いもない正解を出すことは、確かにプロの仕事かもしれません。けれど、誰かが困っているときに「それ、こうすればもっと楽しくなるんじゃない?」と、予定調和を壊すようなお節介を焼くこと。その一見すると無駄な寄り道が、結果として誰にも真似できない独自の価値を生み出します。技術を学ぶことは、稼ぐための道具を揃えることではなく、世界を自分なりの視点で解釈し、まだ誰も気づいていない面白さを掘り起こすための自由な翼を手に入れることなのです。
私が一緒に未来を創りたいと思うのは、最新の流行を追いかける人ではなく、自分の内側から湧き上がる好奇心を頼りに、未開の地へ漕ぎ出せる人です。道具が進化すればするほど、それを使う人間の感性が試されます。便利さに甘んじるのではなく、あえて不便な状況を楽しんでみる。そんな挑戦を面白いと感じられるチームでありたいのです。完成された正解をなぞるだけの仕事は、いつか機械がすべて肩代わりしてくれます。でも、あなたが悩み抜いた末に生み出した一工夫や、誰かのために流した冷や汗は、どんなに優秀なメモリーにも保存できない、あなただけの貴重な資産になります。
世界がどれほど速く回転し、物の価値が乱高下したとしても、自分の頭で考え、自分の手で何かを創り出す喜びは、決して誰にも奪われません。私たちは、誰かに決められたレールを走る作業者ではなく、自らの手で舵を握り、まだ見ぬ水平線を目指す航海士でありたい。効率や数字という冷たい物差しを一度放り投げて、自分だけの不器用で愛おしい物語を書き進めていきましょう。砂漠で氷を売るような、そんな無謀で美しい挑戦の先にこそ、私たちが本当に求めていた答えが待っているはずです。一行のコードを紡ぐたびに、私はそんな人間臭い冒険を全力で肯定し続けていきたいと考えています。効率の良さだけが人生の価値ではないことを、自分自身の足跡で証明していく旅を、共に楽しみましょう。あなたの内側にある、誰にも消せない熱い情熱を、ここで形にしてみませんか。