こんにちは!前嶋拳人です。
古い木箱のなかに静かに眠る美しい琥珀の石をそっと手のひらに乗せてみると、数千万年という途方もない時間の積み重ねが閉じ込められたその黄金色の輝きが、ふと微かな温もりを伴って指先からじんわりと伝わってくる。太古の樹液が長い年月を経て硬い宝石へと姿を変えたように、私たちが日々の仕事や組織の中で積み重ねてきた小さな判断や誠実な対話もまた、いつか確かな形となって未来の土台を形作っていくのだということに思いを馳せずにはいられない。
ものづくりの世界に身を置いて長くシステムやウェブの仕組みと向き合ってきた私にとって、この感覚は組織のあり方とも深く重なり合っている。大企業の巨大な基幹システムという何重もの鉄板で守られた要塞の中で安全なルールだけに縛られていると、外側の変化や現場が発するリアルな声に気づくのがどうしても遅れてしまう。逆にスタートアップの現場ではスピードが優先されるあまり、その場しのぎの判断が積み重なって根底にある誠実さを見失ってしまうリスクと常に隣り合わせだ。
経営であれ開発であれ、組織が健全であり続けるためには、まず目の前で起きている現実を正しく認知することから逃げない姿勢が何よりも大切だ。なんとなく感じている違和感や小さなほころびに蓋をせず、言葉にしてしっかりと向き合い、多様な仲間たちと率直に議論を交わす。そうして導き出された結論を一つずつ丁寧なアクションへとつなげていくプロセスこそが、琥珀のように時を経ても色褪せない信頼を育むための確かな基盤となるのだと信じている。
技術や環境はこれからも目まぐるしく形を変えながら私たちのまわりを流れていくだろう。どのような現場に身を置いたとしても、都合の悪い事実から目を背けず、細部まで心を配る誠実さを忘れない自分でいたい。琥珀の石をそっと木の箱に戻して、今日も目の前の課題と真摯に向き合い、誰もが安心して歩ける確かな仕組みを丁寧に組み上げていきたいと思っている。