こんにちは!前嶋拳人です。
秋の空を高く見上げると、整列した美しい群れをなして遠くの空へと飛んでいく渡り鳥の姿を見つけることがあります。彼らは季節の移り変わりを肌で敏感に感じ取り、自分たちの意思で温かな場所や新しい大地を目指してひたむきに翼を動かしています。その迷いのない直進する姿を見ていると、いつか自分もこのように自分の意志で空の色を選んで進んでみたいという気持ちが胸をよぎることがありました。
かつて私が大きな組織の中に身を置いていた頃は、あらかじめ決められた大きな群れの一員として空を飛んでいました。仲間の存在はとても心強く、みんなと同じ方向を向いて進むことには絶対的な安心感がありました。重厚な仕組みを壊さないように、安全な空路を外れないようにと、丁寧に羽ばたきを合わせる日々は、それ自体が誇らしくかけがえのない時間でした。
けれど、心のどこかで季節が変わる音を聞いたとき、このまま同じ空を飛び続けていて本当にいいのだろうかという小さな問いが芽生えました。もっと自分の羽根の力で、まだ見ぬ風の感触を確かめながら、違った高度から景色を見てみたいという思いが日に日に強まっていったのです。
群れを離れてひとり空へと飛び出す瞬間は、想像以上に心もとなく、風の冷たさがじかに身にしみるものでした。頼りにできる大きな翼の列はなくなり、すべてを自分の判断で切り開いていかなければならない厳しさを知りました。しかし、実際に自分で気流を読んで羽を動かしてみると、そこには今までに見たことのないほど鮮やかな景色と、一人ひとりの個性と知恵が響き合う面白い現場のつながりがありました。
フリーランスとして新しい環境やチームに飛び込むたびに、私はあの渡り鳥のことを思い出します。それぞれの場所にはそれぞれの風があり、独自の文化や課題が存在しています。そこに私ができる最善の関わり方は、あらかじめ用意されたマニュアルを押し付けることではなく、その場の空気や仲間の温度を丁寧に感じ取り、必要なタイミングでそっと力になることなのだと実感しています。
技術という翼を使って、困っている人のそばに寄り添い、共に形にしていく面白さは尽きることがありません。風の向きが変われば柔軟に軌道を変え、時には新しい仲間と連れ立って同じ目的に向かって飛んでいく。そんなしなやかさを大切にしながら、これからも自分の心地よいリズムで空の旅を続けていきたいと思っています。
新しい土地に降り立つたびに感じる人との出会いや、異なるプロジェクトで紡がれる対話のひとときは、私にとって何物にも代えがたい財産となっています。ひとつの場所に留まり続けることだけが正解ではないと知った今、目の前にある広大な空のどこへでも飛んでいけるという軽やかさを胸に、明日もまた新しい翼を広げていきたいと願っています。