「フリーコーヒー」~地域の交流の場づくり~
「お茶しながらゆっくりお話できる場所があったらいいな」
「ふらっと立ち寄れて、交流できるような場所がほしいな」
地域住民のTさんの願いから、私のフリーコーヒー活動は生まれました。
孤独な暮らしに不安を抱えていたTさんは、何気なく私に話してくれました。
一人でもそう思っている人がいるなら、きっと同じ願いを持っている人がいる。
そう考えた私は、Tさんのような人が立ち寄りやすい場をつくってみようと考えました。
知り合いにお願いして場所をお借りし、簡易的な屋台を建て、無料でコーヒーを提供する場を構えてみました。
お知らせや告知はせず、ただそこでコーヒーを淹れていると、
「これは何をやっているんですか?」と通りかかった人が声をかけてくれました。
「一緒にコーヒーを飲みませんか?」とお誘いしてみると、「いくら?」と聞かれます。
「無料なんです。」と答えると「無料ほど高いものはないよ。」と冗談交じりで返してくれました。
「どういうことですか?」と聞くと、その方は「何か代わりになるものを返さなきゃいけないじゃないか。」と応えてくれました。
「いいんです。お話してくれるだけで。」とお伝えすると、それからはご自身の人生の話やこれからやりたいことなど、いろんな話を聞かせてくれました。
私はそのお話に、お金以上の価値を感じました。
「無料ほど高いものはない」
その人が言ったこととは違う意味で、それは本当なのかもしれないと思いました。
その後も通りすがりの方が声をかけてくれてコーヒーを淹れながら話をしたり、一度来た人が友人を連れてまた来てくれることもありました。
回数を重ねる毎にどんどん来てくれる人が増えて、6時間で60杯のコーヒーを淹れてお話をした日もありました。
また、コーヒーを飲みに来てくれた人同士の交流も生まれました。
普段から出歩くことのなかった高齢者たちがフリーコーヒーへ出かけることによって懐かしの再会を果たしたり、スマートフォンの使い方が分からず困っていた大人へ中学生が声をかけたことでつながりができました。
どれもフリーコーヒーが無ければ出会わなかっただろうと考えると、この活動の意義を感じずにはいられません。
意外だったことは、そこからお仕事の依頼へとつながったことです。
「うちの会社でコーヒーのケータリングをお願いできないか?」という依頼をいただいたり、コーヒーとは全く関係のない仕事を依頼してくれたりしました。どれも無料のコーヒーを通して会話をしたことがきっかけです。
この活動から感じたことは、
「会話から人の交流とつながりが生まれる」ということ。
会話は「人が淹れるコーヒー」をきっかけに始まりました。
『コーヒーには不思議な力がある』
この理由を探りたくなり、新たな活動を始めることにしました。
今はコーヒー屋さんを開業して、新たなつながりを生み出す可能性を日々検証しています。