【渡部遼・システムエンジニア】朝霞発未来仕様の働き方って何
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朝霞市という場所を、私は勝手に実験都市だと思っている。実験といっても大げさなことではなく、日常のなかに突然落ちてくる小さなひらめきを拾い上げるための静かなラボのような場所だ。駅前を歩いていると、どこからかキーボードを叩くような規則的な音が聞こえる時があって、それが誰のものでもないのに、まるでこの街そのものが次の働き方を入力しているように思えてくる。朝霞は時々そういう不思議な気配をまとっている。
私はそんな街で、人々がどんな働き方を望んでいるのか観察するのが好きだ。カフェで黙々と資料をまとめる人がいる。並木道で通話をしながら歩く人がいる。市役所の前ではタブレット越しに会議をしている人がいる。どれもバラバラに見えて、でもどこかで一本の線につながっているように思える。あらゆる場所が働く場所に変わり、その場その場で思いついたことが誰かの価値につながる予感がある。朝霞にはそんな空気が流れている。
ある日、駅のホームで電車を待ちながら、ぼんやりと前の人の背中を眺めていた時、突然この街全体を一つの巨大なプロジェクト管理ツールのように見立てたら面白いのではないかと思いついた。通勤路はタスクの進捗を確認する画面で、図書館はアイデアのストレージで、住宅街はインスピレーションのバッファだ。公園のベンチはデバッグ場所になり、朝霞の空は進捗のグラフだ。そんな妄想をしていると、働くことが少し軽くなる気がした。
もし朝霞市全体が一つのプロダクトなら、そこに住む人たちは開発チームのメンバーだ。意図せずとも誰かが改善案をつくり、誰かが課題を見つけ、誰かが気付かぬうちに新機能のヒントを運んでいる。街を歩くたびに、働くことの形がもっと柔らかくなる未来が見えてくる。固定のオフィスや時間に縛られず、それぞれのペースで動くたくさんの小さな働き方が、街のなかに散らばっている。そのゆるやかな集合体が、この街のリズムをつくっているのかもしれない。
私は今日もこの街で、ほんの少し先の働き方を探している。朝霞の静けさは、未来を考えるのにちょうどいい。通り抜ける風のなかに、誰かの挑戦の気配が混じっている。そんな街だからこそ、ここから次の働き方が生まれるのではないかと、勝手に確信している。