BIM導入の費用対効果(ROI)はどれほどか──経営者のための“実践シミュレーション”**
BIM導入の費用対効果(ROI)はどれほどか──
経営者のための“実践シミュレーション”**
オリエンタルヒルズ株式会社
代表取締役社長 晴山佳須夫
BIM(Building Information Modeling)導入の相談を受ける際、
経営者から最も多く聞かれる質問があります。
「結局、BIMはどれくらい効果が出るのか?」
BIMは“導入しないリスク”は極めて大きい一方、
“導入した効果”を数値化するのが難しい技術でもあります。
そこで今回は、
実務ベースで使える BIMの費用対効果シミュレーション を提示します。
※数値は一般的な建設企業の条件をもとにした現実的なモデルです。
実際には企業規模・工種・案件単価により調整が必要です。
◆ 1|BIM導入で効果が出る領域は5つ
まず、BIMの効果が発生するポイントを分解します。
① 手戻りの削減(干渉検出・施工前検証)
NavisworksやRevitによる干渉検出で、
施工段階の不整合を 70〜90%削減。
② 図面・数量の精度向上(5D BIM)
材料数量の自動算出により、
見積の精度が高まり 原価ブレが減少。
③ 進捗管理の効率化(施工管理 × BIM)
現場写真・進捗入力がモデルと紐づき、
管理工数を 30〜50%削減。
④ 工程・計画の最適化(4Dシミュレーション)
遅延リスクを早期発見し、
全体工期の短縮や調整コストの削減。
⑤ 維持管理(FM)における長期的な省力化
引き渡し後のメンテナンス情報が統合され、
建物のLCC(ライフサイクルコスト)を低減。
◆ 2|「年間5億円規模の工事を行う企業」を例にしたシミュレーション
ここでは、
年間施工高:5億円
案件数:10件前後
管理職:6〜10名
現場監督:20〜30名規模
の企業をモデルにして計算します。
◆ 3|定量シミュレーション(例)
① 手戻りの削減効果
一般的に、施工時の手戻りは売上の 3〜7% と言われます。
ここでは保守的に「3% → 1.5%に削減」と仮定。
手戻りコスト削減額
= 5億円 × 1.5%
= 750万円 / 年
手戻りコスト削減額
= 5億円 × 1.5%
= 750万円 / 年
② 設計変更対応に伴う図面修正工数の削減
BIMにより、関連図面の自動更新が可能。
月30時間の図面修正が → 月10時間に減少
(年間削減:20h × 12ヶ月 = 240h)
管理者人件費4,500円/時 とすると:
年間 約108万円の削減
月30時間の図面修正が → 月10時間に減少
(年間削減:20h × 12ヶ月 = 240h)
管理者人件費4,500円/時 とすると:
年間 約108万円の削減
③ 進捗・写真管理の効率化(施工管理DX併用)
現場監督20名 × 月10時間削減 × 時給3,000円
= 月60万円
= 年間720万円の削減
④ 工程遅延リスクの低減(4D BIM)
工期遅延や協力業者調整コストは
案件あたり 約1〜3% かかることが多い。
ここでは「1%改善」と仮定。
工程ロス削減額
= 5億円 × 1%
= 500万円 / 年
工程ロス削減額
= 5億円 × 1%
= 500万円 / 年
⑤ 維持管理(FM)の効率化は長期メリット
FM(建物寿命30〜50年)でのメリットは大きいが、
ここでは企業負担分として 年200万円相当 と控えめに計上。
◆ 4|年間の総効果額(例)
上記の合計は、
①手戻り削減 750万円
②図面工数削減 108万円
③施工管理省力化 720万円
④工期遅延減 500万円
⑤FM効果 200万円
────────────────
合計 2,278万円 / 年
①手戻り削減 750万円
②図面工数削減 108万円
③施工管理省力化 720万円
④工期遅延減 500万円
⑤FM効果 200万円
────────────────
合計 2,278万円 / 年
◆ 5|BIM導入コストの一般的なレンジ
企業規模により変わりますが、
年間施工高5億前後の企業の場合:
・Revitライセンス:60〜120万円/年
・BIM 360 / ACC:50〜150万円/年
・Navisworks:20〜50万円/年
・教育・運用コンサル:100〜300万円/年
・BIMモデリング外注:案件ごと変動(年間200〜500万円)
年間合計:約400〜1,000万円 が目安です。
◆ 6|ROI(投資回収率)の計算例
BIM導入効果:2,278万円
BIM導入コスト:800万円(中間値)
───────────────────
ROI(年間回収率)=約2.8倍
BIM導入効果:2,278万円
BIM導入コスト:800万円(中間値)
───────────────────
ROI(年間回収率)=約2.8倍
つまり、
1年以内に投資を回収し、2年目以降は純利益として積み上がる
という現実的なシナリオになります。
◆ 7|導入を成功させる条件は「段階的アプローチ」
BIMは一度に“全部入り”を目指すと失敗します。
成功する企業は、
- 図面管理クラウド化(BIM 360 Docs)
- 施工管理アプリとの連携
- Revitによる基本モデリング
- Navisworksで干渉チェック
- 4D / 5D BIMへの拡張
という 段階導入 を徹底しています。
◆ 8|結論:BIMは“経営レイヤーの投資”であり、最も再現性の高いDXである
本シミュレーションから明らかなように、
BIMは決して“コスト”ではなく、
「投資回収が最も明確なDX領域」 です。
- 原価
- 工程
- 品質
- 安全
- 維持管理
すべてを統合することで、
建設企業の利益構造が大きく変わります。
オリエンタルヒルズ株式会社は、
経営視点でのBIM導入設計から、
現場運用まで一貫した伴走支援を提供し続けてまいります。