既存建物の“BIM化+FM導入”ロードマップ(自治体・民間施設向け 実務モデル)**
既存建物の“BIM化+FM導入”ロードマップ
(自治体・民間施設向け 実務モデル)**
オリエンタルヒルズ株式会社
代表取締役社長 晴山佳須夫
**◆ はじめに
既存建物のBIM化は「新築より難しい」が、効果は“はるかに大きい”**
既存施設は、以下の課題を抱えることが一般的です。
- 図面が古い・欠落・複数形式で混在
- 設備台帳が更新されていない
- 改修履歴が不明
- 現場の実態と図面が一致しない
- FM担当者が情報共有に膨大な時間を使う
つまり、既存建物こそ 情報の“再構築” が必要です。
ここにBIMが最も大きな価値を発揮します。
以下は、既存建物のBIM化とFM導入を成功させるための 6段階ロードマップ です。
◆ 【STEP 1】現状調査・既存図面整理(1〜2ヶ月)
まずは「何が分かっていて、何が分からないのか」を可視化します。
● 既存図面の収集
- 意匠・構造・設備(電気/空調/衛生)
- 改修工事図
- 竣工図(紙/PDF/DWG)
- 設備台帳
- 過去点検報告書
● 図面の“不整合ポイント”の洗い出し
- 面積・寸法が違う
- 設備位置が不明
- 属性情報が欠落
- 系統図と実図面の乖離
● 既存建物の現況調査(現場スキャン)
- レーザースキャン
- 360°カメラ撮影
- 天井裏・床下の確認(必要に応じて)
**【成果物】
「既存建物データ診断レポート」
→ BIM化の範囲・コストがここで明確になる**
◆ 【STEP 2】BIMモデル化の計画設計(1ヶ月)
次に「どこまでモデル化するか」を決めます。
● BIM化のレベル設定(LOD定義)
例:
- LOD200:外形・大まかな設備位置
- LOD300:部材寸法・設備機器の正確な位置
- LOD350:機器・配管・バルブ・メンテナンス情報
- LOD400:施工情報(FMには不要)
FM目的の場合は LOD300〜350 が最適。
● 属性情報の範囲定義(FMに必要な情報だけ入れる)
- 型番
- 製造年
- 点検周期
- 耐用年数
- 電気負荷
- メーカー情報
- 添付資料(PDF)
※ “情報を入れすぎる”と逆に運用負荷となるため要注意。
**【成果物】
「BIM化仕様書(FM特化版)」**
◆ 【STEP 3】BIMモデリング(2〜4ヶ月)
既存図面+現地データをもとにBIMモデルを構築します。
● モデリング対象
- 建築(壁・床・天井・仕上げ)
- 構造(柱・梁)
- 設備(電気/空調/給排水)
- 点検箇所・バルブ・機器類の位置
- 屋外設備(変電設備・ポンプ室 等)
● IFC化(オープン形式)
公共工事では必須となるため、
Revit → IFC で書き出し整合性検証。
**【成果物】
「FM対応BIMモデル(Revit/IFC)」**
◆ 【STEP 4】FMデータベース構築(1〜2ヶ月)
BIMモデルと運用データを接続し、FM基盤を整備します。
● データ移行
- 設備台帳の取り込み
- 点検履歴の紐付け
- 添付資料(PDF・写真)整理
● BIMモデルとFMデータの統合
- 機器IDとFM-IDを連動
- 設備アイコンをモデルに反映
- 点検周期をデータ化
● CMMS / CAFMとの連携
選択肢例:
- iOffice
- ARCHIBUS
- FM:Systems
- BIM 360 Ops(旧サービス)
クラウド型なら年額 50〜150万円 が一般的。
**【成果物】
「FMデータベース+BIMモデル統合環境」
◆ 【STEP 5】FM業務フロー運用開始(1〜2ヶ月)
実際に、FM担当者が日常業務で使える状態にします。
● 運用ルール設計
- 点検業務のデジタル化
- 修繕記録の標準化
- 委託業者とBIMの共有範囲定義
● 教育(主にFM担当者)
- BIMモデル閲覧
- 機器属性の読み取り
- 点検入力
- 修繕履歴管理
● 実証運用(PoC)
一部建物または一部設備で試験運用
→ 課題→改善→本格運用へ。
**【成果物】
「FM-BIM 運用マニュアル」
「PoC(試験運用)結果レポート」
◆ 【STEP 6】本格運用・改善・定着(継続運用)
FM-BIMは、使えば使うほど価値が積み上がります。
● 継続的なデータ更新
- 設備交換
- 増改築
- 点検記録
- 故障履歴
● 年次改善サイクル
- 運用データの見直し
- 更新周期最適化
- 維持管理費の予算策定に反映
● 他システムとの統合
- エネルギー管理(BEMS)
- 予算管理
- IoTセンサー(温度・振動・稼働率)
- 防災・セキュリティシステムとの連携
FM-BIMは 総合施設管理プラットフォームへ進化します。
◆ FM-BIM導入ロードマップ(全体図)
STEP1|現況調査・図面整理(1〜2ヶ月)
▼
STEP2|BIM化の仕様設計(1ヶ月)
▼
STEP3|BIMモデリング(2〜4ヶ月)
▼
STEP4|FMデータベース構築(1〜2ヶ月)
▼
STEP5|FM業務フロー運用開始(1〜2ヶ月)
▼
STEP6|本格運用・改善サイクル(継続)
STEP1|現況調査・図面整理(1〜2ヶ月)
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STEP2|BIM化の仕様設計(1ヶ月)
▼
STEP3|BIMモデリング(2〜4ヶ月)
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STEP4|FMデータベース構築(1〜2ヶ月)
▼
STEP5|FM業務フロー運用開始(1〜2ヶ月)
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STEP6|本格運用・改善サイクル(継続)
最短 6ヶ月、一般的には 9〜12ヶ月 で実現可能。
◆ FM-BIM導入の費用目安(既存建物)
項目費用レンジ
図面調査・データ整理
30〜120万円
現況調査(レーザースキャン含む)
50〜200万円
BIMモデリング
80〜400万円
FMデータベース構築
100〜300万円
FMシステム連携
50〜150万円
教育・運用設計
20〜100万円
● 初年度費用合計(目安)
300〜1,000万円(規模により変動)
300〜1,000万円(規模により変動)
● 年間メリット(モデル値)
(庁舎・学校・病院など 3,000〜10,000㎡クラス)
- 点検効率化:150〜400万円
- 突発修繕削減:50〜150万円
- 更新計画の最適化:50〜200万円
- 委託業務評価の透明化:50〜150万円
● ROI(投資回収)は1〜3年程度が一般的
◆ 結語:既存建物のFM-BIMは「施設の未来価値」を作る投資
建物の価値は、竣工時ではなく「運用時」にこそ決まります。
既存建物にBIMを適用することは、
単なる図面整備ではなく、
- 情報の統合
- 維持管理コストの削減
- 設備更新の最適化
- 安全・安心の担保
- 資産価値の向上
という 長期的な“未来の資産経営” に直結する施策です。
オリエンタルヒルズ株式会社では、
既存建物向けの BIM化+FM導入の標準仕様づくりから、運用改善まで
一貫して支援しています。