📘 インタビュー:木村智陽さん「マンション管理の本質は、“人を支えること”にある」
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📘 インタビュー:木村智陽さん
「マンション管理の本質は、“人を支えること”にある」
――木村さんは、長年マンション管理組合の運営支援に携わってこられました。まず、この仕事を始められたきっかけを教えてください。
もともとは建設関係の仕事に就いていて、現場で建物の施工や修繕を担当していました。
完成した建物を見上げるたび、「これで人々の新しい暮らしが始まる」と思うのですが、数年後に点検で訪れると、建物が少しずつ疲れていくのを感じることがありました。
そのとき、「建物はつくって終わりではない。人がどう関わるかで、建物の“生き方”が変わるんだ」と気づいたんです。
その気づきが、この道に進むきっかけでした。
マンション管理は、技術だけでなく“人の営み”を支える仕事だと感じた瞬間でしたね。
――実際に現場で関わる中で、一番やりがいを感じるのはどんなときでしょうか?
やはり、人の意識が変わる瞬間に立ち会えるときです。
最初は「理事会なんて面倒だ」と言っていた方が、話し合いを重ねるうちに「自分たちの住まいを守るのは自分たちなんだ」と気づく。
その変化を目の当たりにしたとき、建物だけでなく“人の関係”も少しずつ再生していくのを感じます。
以前、ある理事長さんに言われた言葉があります。
「建物は直りました。でも、実は私たちの関係も直ったんです。」
その一言が、今も心に残っています。
建物を守ることは、人の心をつなぐこと。
それが、この仕事の本当のやりがいです。
――長年現場を見てこられて、時代とともに変化を感じる部分はありますか?
そうですね。特にここ10年ほどで、世代交代が進み、マンションの“多様化”が進んでいます。
高齢者も若い世代も暮らし方が違う中で、価値観のズレが生まれやすくなっている。
だからこそ、**「話す」「聴く」「理解する」**という基本を大切にしなければいけないと感じます。
世代や地域を超えて、協力し合える管理組合は本当に強いです。
それは、制度やマニュアルで作られるものではなく、日々の対話の積み重ねで育つものです。
――これからのマンション管理には、どのような力が求められると思いますか?
私は、「住み続ける力」だと思っています。
建物の老朽化だけでなく、社会の変化にも対応していくために、
住民が“自ら学び、考え、決めていく力”を持つことが大切です。
そのために、私の役割は**「専門家として導く」のではなく、「伴走者として支える」**こと。
答えを押しつけるのではなく、対話の中から一緒に解決を見つけていく。
それが、これからの時代の専門家のあり方だと思っています。
――最後に、これからの目標を教えてください。
これからも、全国の管理組合や地域コミュニティの方々とつながりながら、
「共に考え、共に動く管理」の輪を広げていきたいです。
建物は、時間とともに古くなります。
でも、そこに関わる人の思いや努力があれば、何度でも生まれ変われる。
そう信じて、これからも一つひとつの現場で、誠実に、丁寧に向き合っていきたいと思います。
建物を支えることは、人を支えること。
その信念を胸に、これからも「安心して住み続けられる住環境づくり」を見つめ続けたい。
それが、私の仕事観です。