コミュニケーションは、仕事においても、人間関係においても大切です。
コミュニケーションが苦手な方は、「自分の伝えたいことをそのまま伝えてしまう」や「自分の伝えたいことを伝えずに受け身になる」という一方的なコミュニケーションに陥っていることが多いようです。
コミュニケーションは、最低でも「自分」「相手」「内容」の三つ以上のことを考えながらしなてくはなりません。これは「並列思考」が必要ということです。
頭の中で、三つのことをイメージして、相手のことを考えて、内容をしっかりと把握して、相手に応じて自分の伝え方を変えていくような、高度な思考が求められることが、コミュニケーションの難しさなのかもしれません。
「相手に合わせた伝えかた」というのも、コミュニケーションにおいては大切です。
どんなに良い内容の話であっても、相手に合っていない伝え方をしてしまえば、コミュニケーションは成立しません。
そして、実際には難しいのが、「相手に合わせるにしても、相手のことがよくわからない」ということです。
もちろん、普段から接している人であれば、人となりも理解していますし、感覚的にもどのように伝えればいいのかが分かります。
ですが、仕事で接する人は、普段から接している人たちばかりではありません。
新規の顧客、採用面接時の応募者、異動直後の同僚、等々、相手に合わせたコミュニケーションが必要な場面は多々あるのですが、どうしても手さぐりになり、勘や経験に頼ることになってしまいます。
天性のコミュニケーションの才能があれば、どのような相手であっても適切なコミュニケーションができるのかもしれませんが、すべての人がそのような才能に恵まれているわけではありません。
高度なコミュニケーションは、恵まれた才能がある人だけの能力なでしょうか、、、
わたしは、このコミュニケーションにおける「相手の評価」を、マイクロカウンセリングの「質問技法」を用いて、（練習して慣れてしまえば）誰にでもできるように構築しました。
やり方は、理屈さえ理解してしまえば、あまり難しくはありません。
たとえば、コミュニケーションに「並列思考」が必要であれば、「並列思考」が必要になる質問をすればよいのです。それも、できるだけ些細に、、、です。
「少し意見を聞きたいのですが、、、 Aの方法と、Bの方法がありまして。Aのメリットは〇〇で、デメリットは✖✖です。Bのメリットは△△で、デメリットは▢▢なんです。どちらの方がよさそうだと思いますか？」といった質問です。
そして、質問をした後の、相手の反応をよく観察します。
並列思考ができる人は、それぞれのメリットとデメリットを吟味します。比較をしたり、結果を想像したり、内容を確認してきたり、あれこれと与えられた情報を用いて考えます。もちろん、正しい答えを導くものではありません。「相手が、頭の中で、情報を取りこぼさずに、情報のお手玉をしているか？」を観察します。うまく「情報のお手玉」ができている方は、並列思考が身についていますので、高度なコミュニケーションもできる可能性が高いと判断できます。
並列思考が苦手な人は、与えられた情報を吟味せずに結論を急いだり、経験則に基づいた結論を話したり、思考がフリーズしてしまったり、うまく「情報のお手玉」ができません。このような傾向がある方は、並列思考が苦手ですので、双方向のコミュニケーションも成立しづらいと判断しておいた方が無難です。当面は「報連相」や「１on１」を徹底して、少しずつ慣らしながらコミュニケーション能力を醸成していくとよいかもしれません。
質問技法を用いた評価は、活用の幅が広く、再現性も高く、低コストで実施することができます。
ポイントは、「評価したいこと」を明確にして、評価したいことの「背景にある力学」を用いて、「質問に変える」ことです。
「評価したいこと」をそのまま「質問に変える」ようにしてしまう方がいます。たぶんですが、このような質問は、うまくいくこともあれば、うまくいかないこともあって、手ごたえが得られないことや、自信が持てないこともあるかもしれません。これは、「背景にある力学」が用いられていないことが要因ということになります。
「背景にある力学」は、覚えてしまえば、誰にでも扱うことができます。また、質問技法も、一定期間の反復練習をすることで、多くの方々が習得することができます。
できるだけ、楽に、再現性のある、従業員のコミュニケーション能力を醸成して、業務も楽に成果を上げられればと思うばかりです。
