真っ白なキャンバスと一粒の種
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こんにちは!柿原格です。
広告代理店での戦略立案と、事業会社でのブランド運営という、支援側と事業側双方の立場からマーケティングに深く携わってまいりました。現在はその経験を活かし、複数企業のマーケティング顧問として、市場分析から戦略構築、組織の立ち上げ支援までを一貫して請け負っております。
皆さんは、何一つ描かれていない真っ白なキャンバスを前にしたときの画家の気持ちを想像したことがあるでしょうか。どんな色を使ってもいいし、どんな世界を描いても自由という、無限の可能性と少しの緊張感が入り混じる瞬間です。実は、ビジネスにおける市場分析や新規のターゲット設定は、この真っ白なキャンバスに最初の一筆を入れる作業にとてもよく似ています。
多くの企業が、新しい商品を売ろうとするとき、すでに誰かが描いた完成間近の絵の隙間に、無理やり自分の色を塗ろうとしてしまいがちです。競合が派手なプロモーションを始めたから自社もすぐに真似をしようとか、周りが値下げをしたからこちらも合わせようといったように、他人の絵の具で画面を濁らせてしまいます。これでは、体力を激しく消耗するだけの終わりのない模倣戦になってしまいます。
大切なのは、あえて一度誰も描いていない広大なキャンバスを見つけ出し、自分たちだけが鮮やかに彩れる独自の構図を明確にすることです。徹底したリサーチによって、勝てる市場と明確な顧客の姿を定義することは、まだ誰も手をつけていない美しい背景を描き出すようなものです。他社と真っ向からぶつかるのを避け、独自のルートで進路を組み立てることが、本質的な戦略の第一歩となります。
しかし、ただキャンバスに綺麗な背景を描くだけでは、その絵が人々の心を本当の意味で揺さぶり、自走し始めることはありません。そこで次に必要となるのが、組織の未来を大きく変える可能性を秘めた、たった一粒の種を中央に植えることです。
小さくて目立たない一粒の種ですが、そこにはやがて大地を覆うほどの大樹へと成長するための、すべての設計図がぎゅっと詰まっています。マーケティングにおけるブランディングや組織の立ち上げも、この命の種を植えて育てる作業と同じ役割を果たします。
一過性の流行を追いかけるのは、一時的に華やかに見える造花をキャンバスに貼り付けるようなものです。根がないため、時代の風が吹けばすぐに吹き飛んでしまいます。そうではなく、その企業やブランドが持つ本質的な価値を丁寧につむぎ、独自の言葉として言語化し、長く愛される豊かな生态系のように育てていくことが重要なのです。
上流の戦略という真っ白なキャンバスに大胆な構図を描き、ブランディングという一粒の種を植えて、誰も真似できない美しい世界を届けていく。私はフリーランスという立場ではありますが、常に組織の内側にいるような強い当事者意識を持ち、クライアントの皆さまと同じ絵の具で手を汚しながら並走しています。単なる作業の代行として外から眺めるのではなく、事業の成長にコミットする良きパートナーでありたいからです。
誰もが同じような手法で競い合う時代だからこそ、私たちは視点を少し変えて、ブレないキャンバスの軸と、全員で大切に育てる一粒の種を丁寧に形にしていく必要があります。