深い森の奥深くに建つ小さな小屋でひとりの地図職人が机に向かっています。
組織の進む道を整える仕事と新しい事業を形づくる仕事に携わってきた私の頭の中にはいつも広大な地圖が広がっています。
その職人が描いているのは道筋や川の流れではなく木々の隙間からこぼれ落ちる木漏れ日の位置でした。
人が集まり力を取り戻していく場所の仕組みも実はこの木漏れ日を頼りに歩む作業によく似ていると感じる瞬間があります。
世の中には最短距離を示す指標や整えられた規則がたくさん存在しますがそれだけでは人は温かい気持ちで歩み続けることができません。
どれほど効率的な道が用意されていてもそこに光のぬくもりや心が休まる場所がなければ途中で足が止まってしまいます。
そこで大切になるのが目的地へと急ぐ足取りを少しだけ緩めて足元に落ちる光の粒を見つけ出すことです。
単に目印を辿って進むのではなく道中で生まれる小さな喜びや穏やかな瞬間に目を向けること。
仲間とともに歩む中で生まれるささやかな笑顔やふとした瞬間の共感を丁寧に地図の上へと描き加えていきます。
重なり合う葉の隙間から差し込む光の筋がひとつにつながった瞬間険しかったはずの道のりは美しい散歩道へと姿を変えます。
描き上がった地図を手にした人々は恐れを抱くことなく自分の足で力強く歩み始めることができるようになります。
共に進むチームを作ることも単に目的地を示すだけでなく途中の道筋にどれだけの光を見出せるかが重要なのだと気づかされます。
私たちは毎日新しい挑戦という名の森の中を歩みながら自分たちだけの地図を描き続けています。
木々が優しく風に揺れる時間にふと自分たちが足元に残してきた光の足跡を確かめたくなります。
今日あなたが誰かと一緒に見つけた小さな光はどんな景色となって未来を照らし出しているでしょうか。
静寂に包まれた小屋の中で職人は優しく筆を置きました。
明日もまた誰も気づかなかった温かな光を探して新しい地圖を広げていくのでしょう。