アートを通じたユースワーク
「君には才能がある」と言ってもらえたことが、私の原点です。
中学生の頃、私は不眠症になり、自分に自信を持てない時期がありました。
そんな私を変えてくれたのが、高校の美術の先生でした。
先生は私の作品を見て、「君には才能がある」と言ってくれました。
その言葉は、それまで自分を否定していた私にとって、「自分にも価値があるのかもしれない」と思える大きなきっかけになりました。
さらに、美術部では仲間と自由に作品を制作したり、ライブペイントに挑戦したりと、「正解のない表現」を思い切り楽しめる時間を与えてもらいました。
そこには、作品の上手さを競う空気ではなく、お互いの個性を認め合い、「その人らしさ」を尊重する文化がありました。
私はその経験を通して、「アートには人の人生を前向きに変える力がある」と実感しました。
その後、認定NPO法人カタリバが運営するb-labで、中高生の居場所づくりに携わるようになりました。
小さいキャンパスや色紙を持ち込み、 自分が半分まで描いた作品の続きを描いて もらったり、 何も描いてないキャンパスに 自由に何でも描いてもらい 一緒に何かを描きながら、 それを通してお互いの個性や好きなものを発見しリスペクトし合う。
さらに描いた作品は同じ場所にまとめて飾ることで、誰もがアーティストになれる 空間を実現していました。
私が目指したのは、子どもたちに絵を上手に描いてもらうことではありません。
「絵を描くことが好きになるきっかけ」
「自分の良さに気づくきっかけ」
「他者の個性を認め合えるきっかけ」
をつくることです。
共同制作や作品展示を通して、「この色使いが好き」「その発想おもしろいね」と自然に会話が生まれ、作品が人と人をつなぐコミュニケーションになっていく様子を何度も見てきました。
不登校だった中高生が、一緒に制作した作品を学校の美術部へ持っていったことをきっかけに、新しい居場所ができたという出来事は、私にとって忘れられない経験です。
高校時代、先生が私に「君には才能がある」と伝えてくれたように、今度は私が誰かの可能性を信じ、その人が自分らしくいられる環境をつくる側になりたい。
それが、私がクリエイティブや教育に携わり続ける理由です。