在宅介護は、閉ざされた空間で行われる「情報のブラックボックス」になりがちです。介護福祉士の資格を持ち、自らも家族のケアを担うエンジニアとして、私はその現状をテクノロジーの力で変えたいと考えました。
1. 「記憶」に頼る介護の限界
在宅介護の現場では、日々の体調変化やケアの内容が、介護者の「記憶」や「手書きのメモ」だけに頼っていることが少なくありません。
- 課題: ケアマネジャーや訪問看護師が来た際、一番伝えたい「微細な変化」を思い出せない、あるいは断片的にしか伝えられない。
- 解決: その場で直感的に記録できるデジタルツールがあれば、生活の断片を「正確なデータ」としてストックできる。CareBridgeは、記憶の負担を記録の安心に変えるために生まれました。
2. 専門職との「共通言語」を創る
家族が感じる「なんとなく体調が悪い」という感覚は、プロには伝わりにくいものです。
- 課題: 家族の主観的な訴えだけでは、適切なケアプランの変更や医療的介入の判断が遅れるリスクがある。
- 解決: デジタルで記録を数値化・可視化し、PDFなどで「報告書」として共有することで、家族とケアマネジャーの間に共通の物差し(言語)を作ります。情報の質をプロレベルに引き上げることが、介護の質を高める近道だと確信しています。
3. 介護者の「心理的孤立」を解消する
在宅介護で最も恐ろしいのは、介護者が「自分一人で抱え込んでいる」と感じる精神的な孤立です。
- 課題: 誰にも状況を知られていないという不安が、介護うつや燃え尽き症候群を招く。
- 解決: 「記録して共有する」というアクション自体が、チームで介護をしているという実感を生みます。CareBridge(ケアの架け橋)という名前には、家族と専門職、そして社会を繋ぎ、一人で悩む時間を減らしたいという願いを込めました。