私は鳥が怖かったです。
獣医師なのに、です(笑)。
もちろん、嫌いだったわけではありません。
むしろ可愛いとは思っていました。
でも、犬や猫とはまったく違うあの小ささ、
ふわっと飛ぶ動き、
繊細そうな体、
そして「この子に何かあったらどうしよう」という緊張感。
正直に言うと、最初はとても怖かったのです。
獣医師として働くなかで、私は犬猫だけでなく、少しずつ鳥や小動物に触れる機会を持つようになりました。
最初は、
「保定これで合ってるかな」
「こんなに小さい体で採血や処置はどこまでできるんだろう」
「私の判断でこの子をちゃんと助けられるだろうか」
そんな不安ばかりでした。
でも、怖かったからこそ、私は鳥のことを知ろうとしました。
体のつくり。
病気の出方。
食事や環境。
ストレスのかかり方。
飼い主さんが日常でどんなことで悩みやすいのか。
学べば学ぶほど、鳥は「怖い存在」ではなく、
とても繊細で、とても健気で、そして本当に魅力的な動物だと感じるようになりました。
診察の場でも、
小さな変化にすぐ気づいて来院される飼い主さん、
「この子のためにできることを知りたい」と一生懸命なご家族、
そして、言葉がなくても確かに感情を持って生きている鳥たちに出会いました。
その中で、私の中の「怖い」は、少しずつ別の気持ちに変わっていきました。
それは、
もっと知りたい
もっと力になりたい
という気持ちです。
私は、最初から鳥が得意だったわけではありません。
むしろ、苦手意識や怖さがあった側です。
でも、だからこそ分かることもあると思っています。
初めて鳥と暮らす飼い主さんが感じる不安。
小さな異変に「病院へ行くほどかな」と迷う気持ち。
繊細な動物だからこそ、何をどう見ればいいのか分からない戸惑い。
私は今、獣医師として鳥やエキゾチックアニマルに関わる中で、
ただ診断や治療をするだけではなく、
飼い主さんが安心して動物と暮らすための支え
になりたいと考えています。
怖かったからこそ、学んだことがある。
分からなかったからこそ、伝えたいことがある。
遠回りに見える経験でも、
あとから振り返ると、自分の仕事の土台になっていることがあります。
「私は鳥が怖かった」
これは、私にとって弱みの告白でもありますが、
同時に、今の自分の原点でもあります。
最初から得意じゃなくてもいい。
怖くてもいい。
分からなくても、そこで終わらなければいい。
そんなふうに学び続けながら、
これからも、鳥や小さな動物たちと、そのご家族に関わる仕事を育てていきたいと思っています。