生成AIは、質問や指示を入力すれば、すぐに文章やアイデアを返してくれます。
私自身も、翻訳や文章制作、台本作成、情報整理など、さまざまな場面で生成AIを活用しています。
一方で、実際の業務に取り入れてみると、最初の出力がそのまま完成形になることは、ほとんどありません。
前提となる情報が不足していたり、必要な内容まで短く要約されてしまったり、文章としては自然でも、本来の目的や文脈から少しずれていたりすることがあります。
そのため、私がAIを活用するうえで大切にしているのは、新しいツールや機能を知ることだけではありません。
実際の用途に合わせて試し、出力を確認し、指示や工程を改善しながら、繰り返し使えるプロンプトや手順へ整えるところまでを、一つのAI活用だと考えています。
学ぶだけでなく、実際の用途で試してみる
普段は、AIに関する講義やウェビナーを視聴したり、新しいツールや機能に触れたりしながら、活用方法を学んでいます。
ただ、講義で紹介された方法が、そのまま自分の仕事や制作に適しているとは限りません。
そこで、学んだ内容はできるだけ実際の業務や自主制作で試し、どのような指示を出せば目的に近い結果が得られるのかを確認しています。
最近では、複数回に分かれた動画講義の内容を整理し、復習用の教材や、移動中に聴ける音声コンテンツへ展開する方法を検証しました。
講義ごとの内容をまとめるだけでなく、最終的には全体の流れを統合し、学び直す際に使いやすい形へ整えることが目的でした。
最初の出力だけでは、使いたい形にならなかった
実際に試してみると、「講義内容を要約してください」という指示だけでは、期待していた結果にはなりませんでした。
文章としては読みやすくても、重要な説明まで短くまとめられてしまったり、講師の発言順が変わったりすることがありました。
また、複数回分の内容を一つに統合すると、似た説明が繰り返される一方で、細かな前提や具体例が省略されることもありました。
音声コンテンツへ変換する際にも、聴きやすさを優先するあまり、復習に必要な情報まで削られ、想定より短い内容になることがありました。
ここで必要だったのは、AIに「もっと詳しく」と伝えることだけではありません。
何を残し、何を整理し、どのような用途で使うのかを、自分の中で先に明確にすることでした。
結果を見ながら、指示と工程を改善する
そこで、プロンプトには次のような条件を加えていきました。
- 講義の発言順をできるだけ維持する
- 重要な発言は原文に近い形で残す
- 重複は整理しても、論点や具体例は省略しない
- 詳細に学ぶための完全版と、短時間で振り返る復習版を分ける
- 音声化する際も、短くまとめることを優先しすぎない
一度で完成させようとするのではなく、出力を確認し、不足している条件を加え、再度試す。
その工程を繰り返すことで、単発の指示ではなく、別の講義でも応用できるプロンプトや作業手順へ少しずつ整えていきました。
生成AIを活用するうえでは、どれだけ長いプロンプトを書けるかよりも、出力された結果を見て、何が足りないのかを判断することが重要だと感じています。
AIが得意なことと、人が判断すること
AIは、多くの情報を整理したり、叩き台を作ったり、同じ素材を別の形式へ組み替えたりすることに強みがあります。
一方で、何を重要な情報として残すべきか、元の内容とずれていないか、その表現が用途に合っているかを判断するためには、人の確認が欠かせません。
翻訳や台本制作でも、AIが生成した文章をそのまま使用するのではなく、文脈、登場人物、媒体、読み手や視聴者に合わせて調整しています。
AIによって作業を速くすることだけではなく、最終的な成果物として本当に使える状態になっているかを確認するところまでが、自分の役割だと考えています。
個人の工夫を、再利用できる形へ
新しいAIツールや活用方法を学ぶことは、今後も続けていきたいと思っています。
ただし、ツールを知っていることや、一度使ったこと自体を目的にはしたくありません。
学んだ内容を実際の用途で試し、結果を検証し、次回も使えるプロンプトやチェック項目、作業手順として残すことを大切にしています。
現在は自分の業務や学習での活用が中心ですが、今後はこうした方法を、チーム内でも共有・再利用できる形へ広げていきたいと考えています。
前職で店長を務めていた際も、特定の人の経験や感覚だけに頼るのではなく、メンバー同士で情報を共有し、それぞれが動きやすい状態をつくることを意識していました。
AI活用においても、個人だけが使える工夫で終わらせず、チーム全体の制作や業務を進めやすくする方法へつなげていきたいです。
新しいAIツールを知っていることよりも、目の前の仕事に合わせて使い方を考え、結果を検証し、より良い形へ整えること。
これからも「使ってみた」で終わらせず、実務の中で本当に役立つAI活用を試行錯誤していきたいと思っています。