研究プロジェクトのお話 その2
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第2回
AIは放っておくとサボる?「初級から天才級」のプロンプトで生成AIを飼い慣らした私の研究
こんにちは、加納です。前回は、生成AIに対して食わず嫌いだった私が、他社協働の研究プロジェクトでサブリーダーに就任するまでをお話ししました。
全8名の凸凹チームで私たちが掲げた研究テーマは、「デザイン思考を生成AIでリデザインする」というもの。チームの役割は、非エンジニア3名が「プロンプト作成」、エンジニア5名が「ツール作成」という分担でスタートしました。
今回は、私が主導したプロンプト作成の裏側にある「技術的な面白い発見」について詳しくお話しします。
■ デザイン思考を限界まで細分化する
デザイン思考には、共感、問題定義、アイデア創出……といった抽象的なプロセスがあります。私たちはまず、これを人間の目で見てもわかるレベルまで徹底的に細分化しました。
結果として、一般的なデザイン思考のプロセスである共感、問題定義、創造、プロトタイプ、テストのうち、共感、問題定義、創造の3つのステップを、実に15個の緻密なプロセスへと分解したのです。私たちは、その一つひとつのプロセスにおいて「どこに生成AIを活用すれば最も効果的か」を検証していきました。
■ AIの「サボり癖」を突破する4段階アプローチ
プロンプト作成を進める中で、私はあるコラムを目にしました。そこには「生成AIはコストパフォーマンスを考えて、意図的に余力を残した(サボった)出力をすることがある」という趣旨のことが書かれていました。
普通に指示を出すだけでは、100%の実力を引き出せない。そう気づいた私は、出力の精度を極限まで高めるため、プロンプトに一工夫を加えました。
細分化したすべてのプロセスにおいて、「初級・中級・上級・天才級」と段階付けを行い、AIにそれぞれのペルソナ(役割)を意識させて出力をコントロールする手法を取り入れたのです。
■ 「天才級なら良い」わけではない、生成AIの盲点
こうして作った膨大なプロンプトを検証する中で、私たちは非常に面白い事実に気がつきました。 「能力が高い(天才級)のプロンプトが、必ずしもベストな結果を出すわけではない」ということです。
私たちはプロセスをかなり細分化していたため、求めるのは「そのステップだけに徹した出力」でした。しかし、プロンプトを『天才級』に設定すると、AIが気を利かせすぎて先を見据えた出力をしすぎてしまうのです。
たとえば、「インタビュー結果をまとめること」だけをしてほしいのに、その先のプロセスである「ペルソナ作成」や「課題(How Might We)の策定」まで勝手にやってしまう。あるいは、『天才級』であるがゆえに、やたらと『パラダイム』のような難しい専門用語を使いたがり(笑)、現場の人間にとってわけのわからない出力になってしまうこともありました。
むしろ、目的にとっては『初級』のほうがシンプルで扱いやすい場面すらあり、最終的には概ね『中級〜上級』あたりが最も実務にフィットするという結論に至りました。
難しいソースコードは書けなくても、人間の言葉(プロンプト)の紡ぎ方次第で、技術はいくらでも現場の強力な武器になる。これこそが、私が「技術を現場へつなぐ」面白さに目覚めた決定的な瞬間でした。
こうしてアイデアのベースが出揃いましたが、ここからが本当の「クオリティ担保」の戦いでした。担当者によるバラつきを防ぎ、誰が使っても同じ結果が出るようにするための、さらなる泥臭いプロセスが始まります。