日本の障害者雇用は「選別」で成り立っている。若い身体障害者だけが採用される現実
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約10年前、ビットコインが十万円だった頃、少額ながら投資をしていた。
お陰でブランク期間も金銭的な悩みを抱えずに2年以上は過ごせた。
当時の反応はほぼ全員同じだった。
・怪しい
・理解できない
・そんなものに価値があるわけがない
しかし今では一枚一千万円を超えている。
この現象は、投資の話ではなく、人間の認知構造そのものを示している。人間は、自分が理解できるものは受け入れるが、理解できないものは本能的に否定する。
心理学ではこれを認知的不協和という。理解できないものが存在すると、自分の世界観が揺らぐため、否定することで心の安定を保とうとする。
精神障害が理解されにくいのは、まさにこの構造が働いているからだ。
外見から分からず、症状も人によって違い、波もある。
つまり、
・理解しにくい。
・だから否定される。
・距離を置かれる。
・採用されない。
企業の採用現場でも、この心理が制度の形として固定化されてきた。
企業が本当に欲しいのは若くて扱いやすい身体障害者だけだ
ここを誤解してはいけない。 企業は精神障害者を採用したいわけではない。 企業が欲しいのは
・若くて
・新卒で
・扱いやすく
・配慮が明確で
・業務の切り出しが簡単な
身体障害者だけだ。
障害者枠は使いたい。
しかし精神障害者は入れたくない。だから企業は 精神障害者を採用する気がそもそもない。
精神障害者は障害者枠の対象であるにもかかわらず、 企業の採用対象には入っていない。 これは差別ではなく、企業の選別だ。
自治体ですら障害者に年齢制限をかけているという現実
さらに辛辣な事実がある。
自治体の障害者雇用ですら年齢制限をかけている。
本来は企業の模範としてならなければならない自治体の職員採用でも若い障害者は採用する。
ちなみに年齢制限は一律で35歳まで。例外として自治体によって45歳のケースもあるが、稀である。
そして実質的に採用をされるのは、身体障害者の方が圧倒的に多い。
法律上は、障害者雇用に年齢制限を設けることは禁止されている。それなのにだ。
これは採用試験全体に年齢制限をつける。と言う形式上の形であって法の網を掻い潜っている状態だ。しかし実質的には、障害者差別解消法の精神に反している。
これが日本社会の現実だ。
企業は制度を言い訳にしてきたが、実際は心理で避けてきただけ
企業はよく言う。
・制度がこうだから
・法定雇用率があるから
・配慮が難しいから
・安定性が必要だから
しかしこれは制度のせいではない。
企業が8年間、理解しやすい障害だけを採用し続けてきた結果だ。
心理学では、理解できないものを避け続ける行動を回避学習という。
企業は精神障害という領域を回避し続けてきた。
そして今、その回避の結果として、精神障害者への対応能力がゼロのまま時代だけが進んでしまった。
そして今、企業は急に慌て始めている
精神疾患は年々増加している。
うつ病、不安障害、発達障害、双極性障害など、働く世代の精神疾患はもはや例外ではなく、以前よりもはるかに身近なものになりつつある。
企業が避けてきた領域が、これからの労働市場の中心に入ってくる。
つまり企業は、これまで避けてきたものと向き合わざるを得なくなる。
ここで企業は初めて気づく。
精神障害者を避け続けた結果、何も準備していなかったことに。
・理解もない
・ノウハウもない
・配慮の方法も知らない
・業務設計もできない
・採用しても定着しない
そして企業は慌て始める。 しかし、慌てたところで八年間の空白は埋まらない。
これは心理学でいう回避の反動だ。 避け続けたものは、後になって必ず大きな負荷として返ってくる。
ここに日本社会全体の構造的問題が重なる
日本は20年以上、実質賃金がほとんど上がっていない。
企業は内部留保を積み上げ、労働者には還元せず、非正規雇用を増やし続けた。
氷河期世代は斬り捨てられ、育成もされず、マネジメント層がごっそり欠落した。その結果、企業は今になって採用に躍起になっている。
しかし、育てる層がいないため、若者を採用しても育てられない。
若者もそんな日本に未来を見いだせず、転職市場をさまよっている。これは精神障害者の問題ではなく、健常者が作り上げてきた結果の現実だ。
理解できないものを
・否定し
・変化を避け
・責任を先送りし
・育成を怠り
・賃金を上げず
・人材を使い捨てにしてきた
その積み重ねが、今の日本企業の姿だ。
ここで一つの疑問が浮かぶ
本当に企業には、仕事ができる人間がどれほどいるのだろうか。
企業は精神障害者に対して
・波がないこと
・再発しないこと
・配慮が不要であること
・完全に自己管理できること
を求めている。
しかし、そんなものは精神疾患以前に、人間として存在しない。波のない人間などいない。 再発しない保証のある人間などいない。完全に自己管理できる人間などいない。
企業が求めているのは人間ではなく、機械のような労働者だ。そしてその機械のような労働者像は、企業自身が勝手に作り上げた幻想にすぎない。
精神障害者を避け続けた企業は、実は自分たちが求めている理想像に最も近い人間を社内にすら持っていない。
つまり企業は、精神障害者を拒絶しているのではなく、現実の人間そのものを拒絶している。
この矛盾に気づかない限り、企業はこれから確実に苦しむことになる。
・精神障害者を避け続けた8年間のツケ
・氷河期世代を切り捨てた20年間のツケ
・賃金を上げなかった30年間のツケ
これらはすべて、これから企業に返ってくる。