美容師は天職だった。それでもIT業界へ転職した理由
僕は大学3年の就活時期に進路に悩んでいた頃、当時ドラマ「Beautiful Life」を見ていたこともあり、「一度きりなら少しでも興味があることに挑戦してみよう」と思い、美容業界へ飛び込みました。
当時は理美容師の国家資格を持っていなかったため、サロンで働きながら休日に専門学校へ3年間スクーリングに通い、国家資格を取得しました。
最初は勢いで飛び込んだ業界でしたが、気づけば夢中になっていて、資格を取得した時は不思議な達成感があったのを今でも覚えています。
その後、4年間のアシスタント期間を経てスタイリストデビューしました。
理美容師は、指名売上によって社内評価や給与が変動する世界です。
同期も同じカリキュラムを受け、同じタイミングでデビューしていたにも関わらず、売上には差が出ていました。
その頃から、
「なぜ売上に差が出るのか」
「なぜリピート率が変わるのか」
を自然と考えるようになり、毎日の売上数字を気にするようになっていきました。
スタイリストデビューから3年ほど経った頃、さらに成長したいと思い、当時サッカー日本代表・本田圭佑選手の専属美容師としてメディアにも出ていた方が経営する美容室へ転職しました。
その後、社長から信頼をいただき、売上が低迷していた姉妹店のドイツ・デュッセルドルフ店へ、副店長として渡欧することになりました。
当初は、「売上が低いのは技術に問題があるのではないか」と考えていました。
しかし実際には、技術や接客に大きな問題はなく、集客の仕方や、ブランドの見せ方に課題があると感じました。
当時の集客はFacebookのみだったため、知人の協力を得ながら店舗ホームページを作成し、情報発信や集客導線を改善しました。
その結果、新規来店者数を月平均5名程度から30名程度まで増やすことができました。
さらに、来店していただいていたトップアスリート選手顧客の実績を活用し、高価格帯サロンとしての見せ方やブランディングを見直しました。
その結果、施術料金を約25%改定しながらも既存顧客離れを起こすことなく、店舗売上を大きく伸ばすことができました。
この経験を通じて、技術や接客だけではなく、集客導線や価格設計など「仕組み」で結果が変わることを実感しました。
同時に、「感覚だけでは改善できない」ということも強く感じるようになりました。
店舗運営では、毎日Excelで売上進捗を管理していました。
新規リピート率や施術比率などは確認していましたが、曜日別の売上差や、スタイリストごとの指名率と単価の関係などを、もっと細かく分析できれば、より的確な改善ができるのではないかと考えるようになりました。
一方で、当時の自分にはデータを加工・分析するスキルがなく、改善したい課題があっても感覚的な判断に頼るしかありませんでした。
その頃から、データを活用して改善を行う仕事がIT業界にあることを知りました。
もともとIT業界に強い憧れがあったわけではありません。
ただ、「もっとデータを活用して課題を深掘りし、改善につなげる仕事がしたい」という思いが強くなり、37歳でIT業界へ転職しました。
現在は、モビリティ事業部にて、自動運転AI支援システム向け学習データのアノテーション業務および品質管理業務に携わっています。
夜間・雨天・路肩など認識難易度の高いデータも扱うため、「どのような条件で誤認識が起こるのか」を考えながら、データ品質の重要性を日々実感しています。