リモートワークになって気づいたのは、仕事の連絡はむしろスムーズになったのに、雑談だけがすっぽりなくなったということでした。
オフィスにいた頃は、コーヒーを淹れに行くタイミングや、席を離れるついでに交わす何気ない会話がありました。特に意味のない話ほど、実は気分転換になっていたんだと、なくなってから気づきました。リモートだと、チャットもミーティングも「用件があるから発生するもの」になり、雑談だけのために連絡することはまずありません。
最初のうちは「別に雑談なくても仕事は回るし」と思っていました。実際、業務そのものに支障はありませんでした。でも次第に、ちょっとした相談のハードルが上がっていることに気づきました。日頃の雑談で築かれていた空気がない分、ふとした質問すら「これ聞いていいのかな」「今忙しいかもしれないし」と身構えてしまうんです。結果として、本来ならすぐ解決できたはずのことを、一人で抱え込んでしまう時間が増えていました。
もう一つ気づいたのは、雑談がないと相手の"人となり"が見えにくくなるということでした。オフィスなら、何気ない会話から相手の趣味や考え方が自然と伝わってきます。でもリモートだと、業務のやりとりしかない相手は、いつまでも"仕事の相手"のままで、そこに人としての厚みが加わっていかない感覚がありました。
そこで、意識してミーティングの最初の数分だけ近況を話す時間を作るようにしてみました。天気の話でも、週末に何をしたかでも、内容は何でもいい。ただ話す。それだけで、その後のやりとりの空気が明らかに柔らかくなりました。相談のハードルも下がり、質問しやすくなったように感じています。
雑談は無駄なようで、実はコミュニケーションの潤滑油だったんだと、なくなって初めて実感しています。効率だけを追い求めると真っ先に削られてしまう部分ですが、意識的に残しておく価値は十分にあると思います。