借金約1億円。そこから営業社員としてやり直し、全国1位になりました。
こんにちは。
日本一ワクワクする会社、インバウンドホールディングスの山崎です。
今日は、失敗自慢でも成功者の武勇伝でもありません。「一度つまずいた人に、会社はもう一度挑戦を任せられるか」という話をします。
転職活動をしていると、自分の経歴を一本のきれいな線に見せたくなることがあります。
新卒で入った会社から順調に昇進し、計画どおりにスキルを身につけ、失敗らしい失敗はしていない。そんな経歴のほうが、評価されやすいように感じるからです。
でも、僕の経歴はまったくきれいではありません。
リフォームの訪問販売、アパレル、EC、飲食店経営、ゴルフウェア、不動産営業、営業教育、コンサルティング、複数部門の統括、子会社経営、そしてホテル・民泊。業界だけを並べれば、「結局、何屋さんなのか」と自分でも思います。
さらに、会社経営の失敗で、約1億円の借金を抱えました。
この文章で伝えたいのは、借金の大きさを競う話でも、失敗を美談に変える話でもありません。失敗したあと、人はどこからやり直せるのか。そして会社は、どんな人へ次の挑戦を任せるべきなのか。その話です。
玄関先で断られるところから、僕の仕事は始まった
2004年、僕はリフォームの訪問販売からキャリアを始めました。分譲マンションに住む個人のお客さまを訪ね、玄関先から商談をつくります。
訪問販売では、断られることが通常運転です。昨日うまくいった話し方が、今日はまったく通じない。商品を説明する前に、「この人の話を聞いても大丈夫か」と自分自身を判断されます。
ここで学んだのは、営業は話術だけではないということでした。相手の表情や声の温度を見て、何を不安に感じているかを考える。断られた理由を他人のせいにせず、説明の順番、準備、相手の選び方を変える。この基本は、いまの宿泊事業にもつながっています。
その後、アパレル会社の取締役として、営業、広報、マーケティング、全国約120店舗への卸販売、EC運営に関わりました。飲食店経営では年商約1億円、自社アパレルブランドではECと約20店舗への卸で年商約3,000万円まで事業をつくりました。
売る側、つくる側、雇う側、資金を回す側。経営者になると自由度は増えますが、正解を教えてくれる人はいません。
入社研修でも伝えているとおり、社員は上司から評価されますが、経営者は市場から評価されます。市場は努力賞をくれません。何を残し、何を捨てるかを決め、結果を引き受ける必要があります。
僕も多くの意思決定をしました。そして、事業の失敗によって約1億円の借金を抱えました。
社長の肩書きを置き、営業社員へ戻った
2016年、僕は社長という肩書きをいったん置き、株式会社ボルテックスへ営業社員として入社しました。
過去に代表取締役だったことは、営業成績を一円も保証してくれません。借金を抱えている事情も、数字には関係ありません。
そこで自分に問い続けたのが、「この状況で、自分にできることは何か」でした。
僕たちが大切にしている価値観に「100%自責思考」があります。これは、何でも自分が悪いと思い込むことではありません。市場、景気、競合、相手の事情など、自分では動かせないものはあります。しかし、動かせないものの説明に時間を使うほど、次の一手は遅くなります。
断られたら、相手を責めるのではなく仮説を変える。成果が出なければ、活動量だけでなく、誰に、何を、どの順番で伝えているかを分解する。分からなければ、成果を出している人へ聞き、試し、振り返る。
その積み重ねの結果、入社翌年の2017年、売上成績30億円で全国1位となり、MVPを獲得しました。2018年には営業課長として51億円の通期予算を達成。2019年からは営業教育課の立ち上げに参画し、2020年には営業本部長補佐として、営業全体のマネジメント、人材育成、マーケティングに関わりました。
「借金約1億円から全国1位」と書くと、一発逆転のように見えます。でも実際の再起は、地味な一日の連続です。
約束を守る。昨日より準備を早くする。断られた理由を記録する。同じ失敗を繰り返さない。できる人の仕事を観察する。その日々を、あとから人が「復活」と呼ぶだけです。
個人で勝つ人から、誰かを勝たせる人へ
全国1位になった経験は、大きな自信になりました。同時に、一人だけが売れても組織は強くならないことを知りました。
自分が十件受注するより、十人が一件ずつ多く受注できる仕組みをつくる。成功した話法を言葉にし、研修へ落とし、数字を見えるようにし、次の責任者を育てる。
この関心が、その後のキャリアにつながりました。
2021年に株式会社アイドマ・ホールディングスへ移り、シニアエグゼクティブ、事業部長、複数部門の統括、子会社経営を経験しました。コンサルティング、マーケティング、金融法人営業、人材開発、業務推進、カスタマーサクセスなど、異なる機能を一つの事業として動かす仕事です。
そして現在は、インバウンドホールディングスでホテル・民泊の事業と組織づくりに取り組んでいます。
宿泊業では、営業だけが強くても勝てません。契約、許認可、施設立ち上げ、OTA、価格戦略、問い合わせ、清掃、設備管理、地域体験。多くの仕事がつながって、初めて一つの旅が成立します。
個人の力だけでは届かない場所へ、組織で挑戦する。それが、いま僕が選んでいる仕事です。
僕たちが見たいのは、失敗の有無ではない
ここからが、入社を考えている人へ伝えたいことです。
僕は、経歴に失敗がない人だけを集めたいとは思っていません。
転職回数が多い。前職で成果を出し切れなかった。挑戦した事業がうまくいかなかった。自信を失った時期がある。そうした過去だけで、人の可能性を決めたくありません。
見たいのは、失敗したときに何を学んだか。事実を正直に話せるか。次に同じことを起こさないため、何を変えたか。そして、もう一度挑戦する意思があるかです。
一方で、「失敗しても何でも許される会社」という意味ではありません。
失敗を隠す。言い訳だけを並べる。同じ失敗を何度も繰り返す。誰かが助けてくれるまで待つ。これでは、次の挑戦を任せられません。
失敗に寛容であることと、結果に無責任であることは違います。
挑戦した人を責める前に、何が起きたかを振り返る。本人は誠実に事実と向き合い、組織は再発しない仕組みをつくる。その両方があって、失敗は成長へ変わります。
入社後に約束できること、約束できないこと
僕たちは、完成された大企業ではありません。仕事の進め方がすべて整い、決められた手順を守れば成果が出る会社でもありません。
宿泊施設が増えれば、これまでの仕組みが通用しなくなる。AIを入れれば、新しいルールが必要になる。新規事業を始めれば、正解のない判断が増える。未完成な部分があるからこそ、自分の仕事で会社を変えられます。
約束できるのは、意見と行動がある人へ、年齢や過去だけで蓋をしないことです。
「自分はこう思う」「この方法を試したい」と根拠を持って提案し、決めたことをやり切る人には、仕事を任せたい。成果を出した人には、次の難しい役割、教育、マネジメント、新規事業へ進む機会をつくりたい。
逆に、失敗しないように指示だけを待ちたい人には、苦しい環境かもしれません。考えることも、決めることも、うまくいかなかった結果に向き合うことも必要だからです。
でも、過去の肩書きではなく、これからの行動で自分を変えたい人には、面白い場所だと思います。
僕自身、社長から営業社員へ戻り、営業社員から全国1位になり、教育と経営へ進み、いま新しい業界へ挑戦しています。
キャリアは、前のページで終わりません。次のページをどう書くかは、いまから決められます。
大きな失敗をしたことがある人。いまの会社では、自分の可能性に蓋をされていると感じる人。完成した仕組みに乗るより、仕組みをつくる側へ回りたい人。
そんな人と、次の想定外を一緒に面白がりたいと思っています。