私は起業家ではなく、「サーチャー」という立場でこの会社の経営に携わっています。サーチャーとは、自ら譲り受ける企業を探し、ファンドの支援を受けながらその会社の経営者になるキャリアのことです。2年前まで、この言葉を知っている人はほとんどいませんでした。前職で「サーチファンドのサーチャーになります」と伝えたとき、転職理由がまったく伝わらず苦労したのを今でも覚えています。
きっかけは、ご縁のあった経営者の方からの「サーチャーになってみないか」という一言でした。比較検討して飛び込んだわけではありません。けれど、これまで培ってきたビジネスへの興味と人脈を、自分の意思で会社をつくり育てる方向に使ってみたい——そう思ったとき、迷いはありませんでした。
最初から「メディアを買おう」と決めていたわけではありません。福島県いわき市の出身なので、地元のローカル紙を承継して地域とつながる事業ができたら、と妄想していた時期もありました。ただ実際に動くと、地方メディアは資本関係が複雑で簡単ではない。そこで改めて「自分は何がやりたいのか」を整理したとき、やはりビジネスが好きで、PR会社で培った経験やリソースを活かせるビジネスメディアこそ自分の戦う場所だと気づいたのです。
候補となるビジネスメディアは、リストアップしても20〜30社ほど。その大半は規模的に手が届かず、現実的に検討できるのはごくわずかでした。仲介会社やFAを介さず、会食で出会った方からのご紹介でたどり着いたのが「ビジネスジャーナル」です。選択肢が限られていたからこそ集中して動けた——そう振り返ると、運も実力のうちだったのかもしれません。
会社を「ゼロからつくる」起業とは違い、サーチャーには常に「人から預かっている会社」という感覚があります。だからこそ偉そうに振る舞うことはできないし、一番汗をかくのは自分自身です。「これお願いね」ではなく、「気づいたら自分でやっていた」という毎日。それでも、自分の判断で会社の進む方向を決められるこの仕事は、何より面白い。ここからアングルクリエイトをどう育てていくか、その物語はまだ始まったばかりです。