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もはや長時間労働をしても生産性は上がらない

「Wantedly」をご覧になっているみなさん、こんにちは。NPO法人フローレンス代表の駒崎弘樹です。前回は、「長時間労働」は個人だけじゃなく、日本全体の問題であることを明らかにしました。


働き手の心身をすり減らし、日本の経済成長の鈍化にも繋がりかねないというデメリットばかりの長時間労働ですが、一体なぜこの問題が解消されないのでしょうか? 今回はその理由について書きたいと思います。


端的に言ってしまえば、歴史のある会社、それこそ今大企業になっているような会社の経営者やトップ層の人間ほど「長時間労働神話」に取り憑かれているからです。


若い人には信じられないかもしれませんが、かつての日本では、長い時間、真面目に働きさえすれば、給料も上がったし、それなりの役職に就くこともできました。また、長時間労働を推奨することで会社も成長し続けることができたんです。つまり、社員にとっても、会社にとっても、長時間労働を推進するインセンティブがあったわけです。


人間は「自分の成功体験」をなかなか捨てられない生き物です。今経済界や会社の中枢にいるようなおじさんたちにとってもそれは同じこと。実際、僕が講演会やトークイベントなどで「長時間労働から抜けだそう」と言っても、50歳を過ぎたおじさんたちからは「いやいや駒崎くん、俺たちの時代は長く働くことで結果を出してきたんだよ」と反論されることもあります。


そんなおじさんたちが、今の日本企業の「結果よりも会社に長くいることを評価する文化」や「上司よりも部下は先に帰ってはいけない文化」を作り出したわけです。


もしそんな“長時間労働信者”のおじさんたちの意見が正しいとしたら、日本は今も成長し続けているはずですよね。ところが、IMF(国際通貨基金)が2016年に発表したデータによると、アメリカは2.5%、ユーロは1.5%の成長率にも関わらず、日本の成長率はわずか0.6%しかありません。※出典「IMFデータ」https://www.imf.org/external/japanese/pubs/ft/weo/2016/update/01/pdf/0116j.pdf


アメリカやユーロ圏の人たちが日本人よりもそれほど長く働いているわけでもありません。つまり、長時間労働と労働生産性は比例しないということです。
働けど働けど、あなたも会社もこの世界もよくなりません。大事なのは、短い時間で結果を出すことです。


次回からは、短い時間で結果を出すための実践的な方法を紹介していきましょう。

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