書籍【キーエンス解剖~最強企業のメカニズム】読了
営業の連携が素晴らしい。
そういう企業文化を作り上げたということだが、これは一朝一夕には真似できない。
まさに「企業文化は戦略に勝る」(Culture eats strategy for breakfast)」と言ったのは、ドラッカーだったか。
企業文化が競争優位の源泉であるということを、体現している企業だと言っていいと思う。
原価率20%、利益率80%を徹底しているのも、面白い。
単純に目指している数値ではない。
「徹底」している点が、この高収益企業を支えている。
企業の利益は適当に経営していて得られるものでは決してない。
緻密な計算の上で、如何にして効率的に勝つかという戦略なくして、利益を出すことはできない。
ましてやこれだけの高収益。
狙っていかない限りは、ついつい甘えが出てしまうし、顧客からの値下げ圧力にも屈してしまうだろう。
ポジショニングも非常に大事だ。
利益率80%を出すために、競合ひしめくレッドオーシャンで疲弊することはしない。
どうやって市場のブルーオーシャンを見つけ、競合が入りにくい環境を作り上げて、優位性を保つのか。
確かに賢い。
当たり前のことを当たり前に行っているようであるが、これが普通の企業にはやり切れない。
長期的な目標に向けてとことんまでやり抜く力を指す概念を「GRIT」と言うらしい。
個人の人生の成功を決定づける要因であると言われているが、企業でも同じことだと思う。
結局はやり切れる組織が強い。
だからこそ、「どうやってやり切れる組織を構築できるか」が大きな差を生むのだ。
大きな物事を成し遂げる(やり切る)ためには、結局は日々の小さな物事を一つずつ確実に成し遂げるしかない。
仕事というのは「大きな一つ」ではなく、「細かなタスクが集まったもの」と理解すべきだ。
目の前の一つのタスクを確実にこなして、次にバトンを渡す。
この繰り返しで、大きな仕事が成り立っているはずなのに、我々は日常的に仕事が流れていると、ついついこのことを見過ごしてしまう。
仕事は連携で成り立っているはずなので、そこが分断された瞬間に、全体的には非効率な状態に陥ってしまう。
組織間の縦割りや派閥なんて、非効率の極みである。
その状況を如何に脱して、全体最適を最優先できるかが、トップの胆力と言える。
まさにトップの決意が重要であるし、作り上げた組織文化が大きな差別化要因になるだろう。
ほとんどの人は、目に見える範囲の部分しか、認識ができない。
俯瞰して全体を見ることよりも、どうしても自分の認識範囲のことを優先してしまう。
ここを乗り越えることができるかどうか。
これがまさに組織力に直結するのだと思う。
キーエンスでは、現場でのヒアリングを徹底している。
営業セクションでは、徹底的に顧客の話を聞き取っている。
キーエンスの製品の使い勝手は勿論のこと、他に「お困りごとはないですか?」と、他のニーズも探る。
きっと日々のロープレ(ロールプレイング)の中でも、どうやって顧客から話を聞き出すかを磨いているのだろう。
この聞き取った顧客の話を、すぐに関連部署に共有する仕組みも素晴らしい。
顧客の問合せに対して、すぐに対応できる体制を敷いており、「駆け付け」「即納」は当たり前である。
さらに顧客情報の共有は、自社の開発現場へも同じようにされていく。
開発現場側でも、決して最新の高度な技術に固執するのではなく、顧客の真の要求を満たすために、既存の技術を工夫することに力を注ぐ。
こういう姿勢も、なかなか他社では真似できない。
キーエンスにとっては当たり前になるまで企業文化として染み込んでいるが、他社にとっては、真似できそうでできない。
こうした付加価値を最大化する仕組みが、大きな強みなのである。
これは非常に勉強になる。
メディアでは、平均年収の高さなどの表面的な数字ばかりが注目されがちである。
しかし、その裏側にある「なぜ、これほどまでに強いのか」という本質を知る人は少ない。
本書に記載されていることは、決して魔法のような奇策ではない。
「当たり前のことを、誰にも真似できないほど徹底的にやり切る」という究極の合理性。
簡単に真似できるものではないが、参考にできる点は多数ある。
当社の中で取り入れられるものは、取り入れていきたいと思う。
強い組織には、必ず理由がある。
その理由は、大抵驚くほど単純で力強いものだ。
本書で語られている「最強の基本」を、自分たちの仕事にどう活かしていくか。
まずは、自分たちにとって「基本とは何か」を問い直すことから始めてみたい。
不確実な時代だからこそ、ブレない「軸」を持つ企業しか生き残れないと思っている。
そして自分自身もブレない軸を持ち、変革を恐れずに努力を続けていきたいと思う。
(2025/11/18月)