採用奮闘記・異性に刺さる訴求文が書けない | CLUTCH'S Toy Box
こんにちは。西尾です。https://www.wantedly.com/companies/clutch/post_articles/83140こいつです。西尾、悩みがあります。中高男子校、大学...
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こんにちは。西尾です。
お久しぶりなコーナーになってしまったが、今回は改めてマーケティングの基礎的なところからお話していこう。
と書き出してから、さっぱり何も思いつかず、いざ書こうと思っても相当幅広で、「ざっくりとわかりそうでわからない」巷にあふれている記事と同じようになってしまいそうで、暫く筆を止めていた。
そんな中、以前の記事の時から続けている「異性の気持ちを知るための情報収集」の中で、とある記事を発見した。
ここ数年若い女性を中心に広がり、今では「こみ上げてくるような複雑に混じった感情」を総じて「エモい」と表現されることが多く見られ、上記記事の内容は以下のようになっている。
女子は常にキラキラを目指し、モテたいと努力している。というわけではない。彼女たちはそうすることによって人間関係が円滑に進むことを経験則的に知っており、そのためにSNSをキラキラさせていく。しかし、時折そんなキラキラに疲れてしまい、1人になりたい時もある。そんな時に使うのが漫画アプリや占いアプリだ。その中には1人で没頭できながら、尚且つ自分たちのリアルを映してくれる世界が広がっている。自分を作る時代だからこそ、そんな心のモヤモヤまで反映してくれる存在がこれからのコンテンツにおけるヒントとなるだろう。
さて、この記事を見たときに、マーケティングのヒントが隠されていることにお気づきだろうか?
そもそも消費やトレンドの多くは女性が支えているという事実がある。そのため、Web商材でも「女性をターゲット」にコンテンツを制作することが多くあり、CMでも「女性の消費行動」をくすぐるために様々な戦略が考えられている。
こうやって社会的な流行と呼ばれるもののほとんどは女性発信で広がっていく。
ここで考えるべきなのが、単純に漫画や占いというコンテンツが果たして今の時代だから広がっているのかというところだ。
結論から言ってしまうとNOであり、古くから日本の女性は占いと読み物が好きだ。平安時代の日本でも、宮中では陰陽師や占い師が女性に取り入って政治を動かし、源氏物語や枕草子が一大ムーブメントとなった。
つまり、女性が好きなものは1000年以上形を変えながらも続いているのだ。そこに現代らしいコンテンツを掛け合わせることによってより人気を集めるというスキームになっており、古くから続く女性の好きなものと、現代の背景から読み解けるコンテンツの掛け算がトレンドを作る最大のキーであるということが分かる。
男はどうだろうか。
男はいつだって「筋肉」と「権力」だ。
鍛えることで強くなれる者は鍛え、頭脳や仕事で財を成せるものはその道で力をつけていく。極めて単純明快だ。有史以来男たちがその他のことで争う事は非常に稀であり、子どもたちのヒーローであるアンパンマンや仮面ライダーは筋肉(アンパンチ・ライダーキック)で解決し、爺さんたちのヒーローである水戸黄門は権力(印籠)で解決している。
そのため、「かっこいい」「強い」「便利(凄い)」などの機能性や見た目で判断することが多く、マーケティングをするまでもなく勝負が決しているケースが多く、もっと言えば「多くの女性から人気のもの(=権力を想起させる)」であれば、それを理由に消費行動していくことも少なくない。
話を戻そう。
女性がなぜ古くから「占い」や「読み物」を好み、その要素はマーケティングに生かせるのか。
それは、「複雑で曖昧で答えがないからこそ、感情に寄り添ってくれるから」だ。
そもそも考えて欲しい。日本最古の物語が何であるのか。
『竹取物語』だ。
月に帰らなければいけないことを知っていながら、言い寄ってきた男たちに「私の言う物を持って来ることが出来た人にお仕えいたしましょう」と五人の公達それぞれに難題を突き付け、その結果、ケガ人や死者を出しながらも、最も権力のある「帝との悲恋」の物語へと展開していき、最終的に誰も救われないあの話。
しかも、歴史的に見てかぐや姫を批判する人よりも圧倒的に「かぐや姫が可哀想」と擁護する声の方が多いのだ。正論や誠実といったことよりも前に、女子はかぐや姫に「共感」する。その共感は、一言で表すことの出来るものではなく「エモい」のだ。
そして「エモい」とは言葉にした時に「エモく」なる。
写真や情景、体験や物語と様々なものがある中で、色々なことを考え、感じる。その何とも言えぬ感情を「エモい」という言語化をすることで共感が生まれるのだ。今だ根強い人気を誇る共感ワードである「かわいい」も、そうだ。共感を正義とした時に細かい言葉はいらない。
「だいたいかわいい」「ほぼエモい」
これだけで十分なのだ。
これからのマーケティングに求められるのは、複雑な感情を呼び起こしながらも、単純な言葉でまとめられるそんな「エモい女性」的感覚が求められている。かもしれない。
女性が活躍するジャンルとしてのマーケティングという側面が今後大きな展開も迎えることも容易に想像できる中、僕たちは「かわいい」「エモい」に代わる新たなワードを探す大海を泳ぎ続けていかなければならない。