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【22年来の幼馴染、ベンチャー人事。共に底を経験し、再会した場所は高層ビルの会議室だった。】

事実は、小説より奇なり。出会いは2歳と3歳。家族ぐるみの付き合いを今でも続ける幼馴染。
1人は高校を卒業し、働いてから大学に進学。もう1人は入った大学を中退した。
決して平たんな道のりではなかったが、20数年が経ち、2人はベンチャーの若き人事として再会した。

株式会社blue 管理部部長 鍵山大地さん(写真右)

神奈川県中郡二宮町出身。駒澤大学中退。

株式会社blueに入社後営業を経て採用担当者に。現在はバックオフィス全てを統括する管理部長


株式会社クラッチ 経営企画 西尾輝(写真左)

神奈川県中郡二宮町出身。高校卒業後群馬県の草津温泉で働く。その後龍谷大学卒業。

新卒で人材会社の経営企画室を経て株式会社クラッチの経営企画室で採用や研修、広報などを担当する。


仕事を「辛い」と思わずパフォーマンスを上げ続けられたワケ

西尾  さて、まさかこんな日が来るとはね

鍵山  お互いこんな立場でこうして話すなんて思いもしなかった

西尾  なんだか不思議だよ。なんせ2歳の頃からの付き合いの人と「Web系ベンチャー企業の人事」として対談することになるなんて

鍵山  そうだね、せっかくだからこの二人だからこそできる話、伝えられることを中心に話していきたいな

西尾  それなら、色々質問していくから、それについて答えてもらいながら、二人の共通項について深く掘り下げていこう。まず、一つ目だけど、なんで株式会社blueに入ろうと思ったの?

鍵山  あーそれって外向けの理由の方が良いよね?笑 本当の理由は面接受けに来た時に絶対に伸びるなって確信があって、しかも当時まだ25人くらいだったから、このタイミングで入ったら上に上がれるなって思ったからなんだけど。

西尾  そもそも業界選ぶときはどうしていたの? IT系のベンチャーにしようって理由がないとさすがに受けるところまでもいかないでしょう。

鍵山  大学を留年して、中退したときにもうこれ以上の(人生の)底って無いだろうなって思っていて、自分が何か再起をかけるためには人と同じことをしていたら勝てないし、それなら今後必ず伸びていくITやWebの領域でやっていけるようにそのノウハウが身に着けられる会社に行こうと思って、それでいくつかIT系で見ていた時にblueの面接で社長が「ITノウハウを売るとか、プロダクトを作るとかではなくて、ITが出来る人を育てる会社をつくって、必ず上場させる」って言ってて、ここにしようって。

西尾  底辺まで落ちていた時は風の噂で聞いていたけど相当だったみたいだね。だけど、そこからIT人材になるって決めて入ったわけだけど、未経験からで入ってどんなステップを踏んできたの?

鍵山  うちの会社の特徴は全員が6か月間の研修を受けるところなんだ。Webデザイン、ディレクション、制作、コード、プログラミングなど、とにかくWeb周辺のスキルをそこで徹底的に身に着ける。その後でそれぞれ希望のセクションに分かれていくから、未経験者にこそ向いている環境とも呼べるんだ。社員全員がそのスキルを持っている中で仕事が出来るからその分職種間でのハレーションは少ないかな。

本当はそこからWebディレクターになろうと思っていたんだけど、研修の終わり頃に社長に呼ばれて「鍵山は人の気持ちがよく分かるから営業やってみろよ」って言われて。二つ返事で受けて営業をやってみたら、社長の見極めが良かったみたいですぐに結果が出て、一年ぐらいやった頃に今度は「採用強化をしたいから今度は社内が強くなるように人事でよろしく」って言われていう流れかな。

西尾  なるほどね。気になったところが二点あって、一つ目は未経験の中でそれだけ詰め込むと相当ハードなんじゃないかなって思うんだけど、それはどういうメンタリティで乗り切ったのかということと、もう一つは、Webディレクターになろうと思っていた中で営業って言われてすぐに受け止めてしかも結果を出せた理由ってどう考えているのかってこと。

鍵山  一つ目のことは実は今教える立場になって少し困っていることで、というのも、苦しいと感じたことが一度も無かったんだ。そもそも一度死んだような身だし、もう何が来てもそれをやらない・出来ないままって選択肢がそもそも無かったから、何か一つでも学べるなら何でもやってやるって気持ちで過ごしていた分その中で苦しいとかは本当にカケラも思わなかった。

これは営業を打診された時も同じでWebディレクターかなって思っていたものの研修が終わりに近づくにつれて「本当に自分は使える人間になっているんだろうか」という不安が大きくなっていて、そんなときに「ここなら出来る」って認められた部分があるならそれだけで嬉しかったし、そこで結果出せないとまた何もなくなるって思っていたから結果に対して強烈に飢えていたから、結果が出ない・出さないみたいな選択肢をそもそも持っていなかったっていうところが大きいかな。二つ目も一緒に言っちゃったけど答えになってる?笑

西尾  なってるなってる。そこは似たような経験があるからよく分かるな。僕の場合はそれが大学生活からだったんだけど、中学高校で進学校に行って落ちこぼれて、しかも進学せずに一度働いてみたいな経験の中で、大学で何か残せなかったら本当に終わりだなって思っていたから。

逃げた、落ちた、転がった。人生の転機を仕事に懸けた

鍵山  大学時代に色々やっていたのは本当に凄いなと思っていたよ。僕は大して勉強もしてないのに大学は受かっちゃって「何やっても何とかなる」みたいに思ってしまってからどんどん転落していって、気が付いたときには留年してたし、そこからどうにかしようと思った時にはもう元に戻る方法もわからなくなって、毎日2ちゃんねるで留年についての意見を見てて、みんな「絶対にしない方が良い」とか「後悔する」って言ってたけど、その時は逃げの気持ちも強くて「もう大学続けるよりも働いた方が親孝行になるんじゃないか」って思って辞めたんだよね。

西尾  僕が一回働いたのも、関西の大学選んだのも同じ理由だったし、人間追いつめられると逃げの思考で選択するって往々にしてあるんだろうね。ただ、逃げた先ってもう崖だから、そこ飛び越えなかったら落ちてくだけだし、その時に「何が何でも飛び越える」っていう気持ちが強烈な飢えに繋がるんだろうね。そんな中で社会人生活を送ってて一番きつかったのはいつ?

鍵山  あえていうなら今が一番かな。というのも、2018年1月から管理部長になって採用だけじゃなくて財務も法務も経営企画も見ることになって、仕事量が膨大に増えたこともあるんだけど、それ以上に自分の決めたことが会社の方針になってそれによって社員の人生を左右するんだって思うと震えが止まらない。今までは会議でも意見を言ってみて決断を受けて実行してたから、言った言葉に責任を持っていたら良かったのが、今は丸々全てが自分の責任だから、こんなに怖いことは無い。だけど、気が付いたら会社も180人を超えて、当時からいる人はもう5人ぐらい。入社時に思っていた「やっていけば上にいける」という感覚は間違ってなかったし、最近法務で法律関係の書類も作成するんだけど、大学の学部での知識が凄く生きてる。途中で辞めちゃったけど、ようやく大学行って良かったなって言えるし、ここを乗り越えたらまた次の難関があると思うと超えていかないとなってなるね。

そういえばこっちも聞きたかったんだけど、なんで大学時代あんなに色々やって、色々大きなところも行けただろうに、なんで改めてベンチャーに来たの?

西尾  僕も一度中高6年間落ちこぼれてどん底まで転がっていったから、大学で浮上したものの、いつでもあっち側(落ちこぼれ)になれる自分がいると思ったら、こっち(戦い続ける道)に行くべきかなって。後は団体を作り上げたメンバーが会社にするって覚悟を決めた時に、自分の人生もこっち側(戦い続ける道)でやるしかないなって。

鍵山  クラッチはどう?選んだ道にふさわしかった?

西尾  そうだね。新卒で入った会社からこっちに来て、全員がプロフェッショナルとして働いてる環境で、自分がこの人たちに混じってやるだけじゃなくて、さらに会社を強くするための人を採用するってポジションでやっているのは凄くワクワクする。社長を筆頭にドンドン新しいことをやっていて「強くなりたければ自分で動け」っていう雰囲気は、この規模特有のスピード感は楽しいね。6年前に草津温泉の片隅で暗い顔をしていた自分に「今に物凄い面白い人生になるから」って言ってあげたいよ。

鍵山  6年前、確かにそれくらい前が1番酷かったかも(笑) 採用は、会社の未来もその人の未来も決めるから重い、本当に重いけど、その分楽しい。

「ベンチャーで活躍する人」とは

西尾  そうだね。だからこそ中途半端なことは許されなくて、色んな選択肢を話せる人にならないといけないと自分自身のレベルアップも常に求められているよね。これまで多くの人を見てきて「ベンチャーで活躍する人」ってどんな人だと思う?

鍵山  やっぱり強く飢えてる人かな。自分は過去の経験から這い上がって社会人として認められることに飢えていたけど、お金でも、志でも、スキルでも、とにかく飢えてる人が一番活躍できるかな。何も無い状態から出発してもそれだけあれば前には進むし、個人的にはそういう人が活躍するとやっぱり感動する。最近うちの会社も制度や研修が整ってきた中で、みんな全体的に優秀になってきたけど、強烈に飢えてる人は少なくなってきてちょっと寂しいかな。もっと斬るか斬られるかっていう気持ちで向かってきて欲しい。

西尾  僕は今の時代は幕末に凄く似ていると思ってて、不安定な時代な中、今の安定を求め信じる人がいる中、あえて地方創生で盛り立てようとする人が各地で現れ、グローバル化や技術革新が一気に進み色んなことが賛否両論語られ、どんな人でも名前を売ったり逆転したりが可能になった。何が言いたいかていうと、過去を見ても「何が正しいか分からない時代」に活躍できた人って今言ってた飢えや渇望が強い人たちで、そういう人たちが各々前に進んだことでごちゃまぜになって時代が変わっていったんだよね。ベンチャー企業が乱立してるけど、それって長州藩とか薩摩藩とか新選組とか白虎隊とかそういうものに近いものがあると思ってて、どれも生き残る確証も時代に勝てる根拠も無いけど、とにかく前に進んでいって評価は時代が終わってから明らかになるみたいな。

鍵山  それ凄く良いね。採用も一社だけでやる時代は終わったと思うし、今後こうやって横のつながりが非常に重要になってくる。他社の良かった取り組みはどんどん取り入れて、良い会社と呼ばれるところが増えることで、結果として多くの人のやりたいことが叶うだろうから。

西尾  そうだね。この後少し時間ある?お互いのやってることシェアしようよ。

鍵山  是非是非。 テーマである「ベンチャーで活躍できる人」の解は「飢え」で良いかな。

西尾  大分泥臭くなっちゃたなあ(笑) また何か新しいことやっていこう。本日はありがとうございました。

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最初から最後まで不思議な時間だった。
話の中で昔ばなしをしたり、どん底の時の周囲との関係性など多くのことを話したが、その中でもお互いの今の仕事のことや、会社の今後のことが混ざってきて、ふと「ああ今、幼馴染としてではなく、先輩人事から学んでいるんだな」と思う瞬間が何度もあった。
凄く凄く小さなことかもしれないが、飢えた方向に走った結果、ちょっとしたご褒美のようなものだと思った。
印象深かったのは「この業界はご縁の業界だから。そのご縁を信じるしかない」という言葉。今後の面談や、それ以外でも出会う多くの方々に「このご縁は信じられる」と思われるよう、これからも色んなことを発信し、吸収していきます。
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