見守りサービス開発日記
社名が変わっても、僕はこのプロジェクトと共に歩んでいた
2015年の夏、僕はある見守りサービスの開発に携わることになった。
それは、BLE(Bluetooth Low Energy)端末を使って、子供や高齢者の居場所をスマホで見守るというシンプルだけど、あたたかいアイディアから生まれたプロジェクトだった。
開発当初は、本当に数人だけのチーム。僕はiOSアプリの開発を任されていたけれど、Androidアプリも必要になって、いつのまにかそちらも担当していた。途中からはフリーランスの方に手伝ってもらい、その方とはこの後約10年にわたり一緒に開発を続ける戦友のような関係になっていった。
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サービスを支えた3年半と、変わっていった「社名」
このプロジェクトに関わったのは、2015年8月から2019年3月までの約3年半。長いようであっという間だったけど、実はその間、僕が所属していた会社の社名は2回も変わっている。
• 2015年8月〜2017年6月:株式会社A1社(プロジェクト開始〜本格開発)
• 2017年7月〜2019年1月:株式会社B社(A1社を上場させるための出資先子会社)
• 2019年2月〜3月:株式会社A2社(上場計画の中止により社名がA1社に戻る)
社名が変わっても、僕のやることは変わらなかった。BLE端末とスマホアプリ、そしてWebアプリケーションの改良、運用、ユーザーとの対話。プロジェクトは、会社ではなく、その中の“人”と“想い”で続いていた。
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海外企業との交渉にもリモート参加
BLE端末は当初、日本のメーカー製を使っていた。でも、あるときサービス品質のさらなる向上のため、ヨーロッパのEstimote社のBLEデバイスに切り替えることになった。
その導入交渉は、当時の社長と一緒に、日本からリモートで参加した。英語の会議、時差のあるやりとり、技術仕様の確認。現場にいなくても、プロジェクトを前に進めることができるって初めて実感した経験だった。
最後に交渉がまとまり、社長が右手を差し出し、僕がその手を握り返した際の社長のガッシリとした力強い握手は今でも忘れられません。
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関西圏の交通インフラ企業とのジョイント実証も
2015年10月からは、関西圏の公共交通インフラ企業と連携して、実証実験にも取り組んだ。
改札を通過した記録、駅構内での検知ログ、通知タイミングの最適化。現場からの声を受けながら、UIやロジックを改善していった日々が懐かしい。
このジョイントは2018年3月末に終了したけれど、現場で得たフィードバックは、その後の開発や保守にも活き続けた。
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小さなチームで、大きな挑戦を
最大時でも5人程度の少人数体制。だからこそ、メンバーそれぞれが技術だけでなく、ユーザーサポートやインフラにも自然と手を出すようになっていた。
• iOS/Android アプリ開発:2名(うち自分は両OSを担当)
• サーバーサイド(CakePHP):1名(自分)
• インフラ担当(AWS・監視など):1名
• デザイナー/UI設計:1名
• 営業・PM:1名
やることが多くて大変だったけれど、「自分たちで作ってる」という実感が常にあった。とくに現場からの「使いやすくなった」「助かってるよ」って声は、開発者としての一番のご褒美だったと思う。
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最後まで見届けたサービス終了
このサービスは、2019年3月をもって終了した。
でも、不思議と寂しさはなかった。むしろ、「ちゃんと最後まで責任を持って届けられた」という達成感の方が大きかった。
社名が変わっても、チーム体制が変わっても、このプロジェクトと共に歩んだ時間は、僕のエンジニア人生の中でも特別な経験だと思っている。
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最後に
スタートアップの現場では、変化はつきもの。
でも、変わらないのは「誰かのために技術で貢献したい」という想いだと思う。
あの時、あのプロジェクトがあったから、今の僕がある。
これからもまた、誰かと共に、何かを作っていきたい。
読んでくれてありがとう。