レガシーと呼ばれるまで、生き残ったソフトウェア
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ゲーム業界に限らず、組込み制御や業務システムのエンジニアの方と仕事をするようになってから、よく耳にする話があります。それは「○年前に作られた資産を、今も使い続けている」というものです。
目次
- 「古い資産」が今も動き続けているという事実
- ゲーム開発も例外ではない
- 「レガシー」は必ずしも悪ではない
- いま作っているものが、未来に残るか
- おわりに
「古い資産」が今も動き続けているという事実
組込みの現場では、20年以上前のコンパイラや独自RTOS、量産事情の都合で置き換えられない古いSoCが、今も現役で動いているケースがあります。
業務システムでも、10年、長いものでは20年以上稼働し続けているCOBOLやVB6のコード、簡単には手を入れられないレガシーDBのスキーマは珍しくありません。
いずれも共通しているのは、「古いから残っている」のではなく、動き続けているからこそ止められないという現場特有の事情です。
ゲーム開発も例外ではない
ゲーム開発でも、似た構造は多く見られます。PS2 → PS3 → PS4 → PS5 と世代を重ねる中で、前作の仕組みに“増築”する形でしか対応できない部分が増えていくことがあります。
アセット管理ツールや変換パイプラインも、PS2時代に作られた仕組みをベースに、改修と継ぎ足しを繰り返しながら使われ続けているケースがありました。アセットそのものも、PS2時代のモーションやリグが「基礎素材」として生き残り、現行機向けの制作に流用されることは決して珍しくありません。
※このあたりの詳細は、守秘の関係もあり深掘りは控えます。
「レガシー」は必ずしも悪ではない
長く続いているプロダクトには、必ず「安定稼働してきた実績」があります。古いソフトウェア資産は、しばしば「レガシー」としてネガティブに語られがちですが、見方を変えれば、それだけ信頼性が高いということでもあります。
ゲームの世界でも、PS2時代に作られたデータが品質の高さゆえに今も使われ続けている例は多くあります。当時の制作環境や制約の中で磨き込まれたものは、簡単には代替できません。
いま作っているものが、未来に残るか
現在、私たちは新しいソフトウェア資産を作り続けています。目の前の仕様変更や納期対応に追われる中で、「20年後も価値を持ち続けるか」という問いを意識する余裕は、正直あまりありません。
それでも、今作っているものの一部が、将来どこかで「止められない資産」として残り続ける可能性はあります。そう考えると、20年後も誰かの現場で役に立つものを残せたら、それはエンジニアとして素直に嬉しいことだなと思います。
レガシーになるかどうかは、作った瞬間には分かりません。ただ、長く使われ続けた結果として、レガシーになるという事実だけは、どの業界でも共通しているように感じます。
おわりに
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