ゲーム開発で培った技術や経験は、業務システムやWeb、組み込み開発でも活かせるのでしょうか。
技術的には共通する部分が少なくありません。しかし、実際に仕事を獲得するとなると、思っていた以上に難しいものです。
私は長年ゲーム開発に携わり、ゲーム会社の経営も経験してきました。その後、辰巳電子工業でゲーム以外の事業領域を広げる仕事に取り組む中で、技術力があることと、その技術が他業界で評価されることは別なのだと痛感しました。
現在、辰巳電子工業のSS事業部では、ゲーム開発だけでなく、業務系システム、Web、組み込み、インフラなど、幅広い分野のエンジニアが活躍しています。
今回は、ゲーム開発の経験を他分野で活かす際の難しさと、当社がどのように事業領域を広げているのかについて紹介します。
ゲーム開発の実績があっても、他業界では簡単に仕事を獲得できない
ゲーム業界以外の企業へ営業を始めた頃、特に苦労したのは、これまでの開発実績を相手の仕事に結び付けて説明することでした。
ゲーム業界では、有名タイトルの開発経験や、どのようなゲームエンジンを扱ってきたかが技術力を判断する材料になります。
ところが、製造業や物流業、金融業などでは事情が異なります。
先方が知りたいのは、自社の業務システムを開発できるか、既存システムの改修に対応できるか、業務上の制約を理解しているかといったことです。
例えば、C++を使ったゲーム開発経験があっても、それだけで組み込みシステムの開発を任せてもらえるわけではありません。
言語が共通していても、ハードウェアの制約や開発手法、品質に対する要求は異なります。
私自身、ゲーム業界で長く仕事をしてきた分、こうした違いを理解するまでに苦労しました。営業先との接点も少なく、各業界の業務知識も十分ではありませんでした。
技術力があっても、顧客の仕事にどう役立つのか説明できなければ、なかなか受注にはつながりません。
逆にいえば、ゲーム開発の経験を他業界の仕事に結び付けられれば、エンジニアが活躍できる分野も広がると考えています。
ゲーム開発と業務系・Web・組み込み開発には技術的な接点がある
ゲームと業務システムでは、扱う対象や開発目的が大きく異なります。
一方で、プログラミングやシステム設計という観点では、共通する技術もあります。
例えば、オンラインゲームのサーバー開発では、データベースへのアクセスや通信処理、負荷対策などが必要になります。こうした経験は、Webサービスや業務システムのバックエンド開発にも応用できる部分があります。
UnityやUnreal Engineを使用した3D開発経験であれば、ゲーム以外の分野でも活用が考えられます。
製造設備の操作訓練を3Dで再現したり、作業手順を体験できる教育システムを制作したりする用途です。
さらに、Webやデータベースの技術を組み合わせれば、操作履歴や研修結果を管理する仕組みも構築できます。
ゲーム開発で培ったUI/UXの知識も、操作する人が迷わない画面設計や、複雑な情報を分かりやすく表示する仕組みに役立ちます。
ただし、ゲーム開発経験があれば、こうした仕事をすぐに担当できるというわけではありません。
業務知識や開発環境、品質基準など、新しく学ばなければならないこともあります。
重要なのは、これまでの技術経験を活かせる部分と、新たに習得する必要がある部分を見極めることだと考えています。
辰巳電子工業では、個人のSES参画に加えてチーム開発も進めています
当社のSS事業部では、エンジニアがお客様の開発現場に参画する技術者派遣やSESを中心に事業を展開してきました。
ゲーム開発に加え、業務系・Web・組み込み・インフラなど、さまざまな技術分野に対応しています。
最近は、エンジニアが個人で参画する案件だけでなく、リーダーを中心としたチームでの開発にも力を入れています。
また、小規模なシステム改修や保守など、自社で対応できる受託案件も増やしていきたいと考えています。
例えば、JavaやC#、SQLを使用した既存システムの機能追加、軽微な改修、テストなどです。
大規模な開発案件を一括して請け負うには、開発体制や実績など、さまざまな条件が必要になります。
まずは対応可能な範囲の仕事を確実に進め、継続的な取引につなげていくことが大切です。
こうした取り組みには、エンジニアにとっても意味があります。
個人で開発に参画するだけでなく、複数人で設計や開発を分担したり、リーダーとして進捗管理や顧客との調整を担当したりする機会を増やせるからです。
もちろん、全員がリーダーを目指す必要はありません。技術を深く追求したい人にも、専門性を活かせる仕事を用意していきたいと考えています。
生成AIを使えるだけでなく、生成されたコードを評価できるエンジニアへ
今後のシステム開発を考えるうえでは、生成AIの活用も重要になります。
ゲーム開発、業務系、Webのいずれにおいても、コードの生成や既存プログラムの調査、テストコードの作成などに生成AIを利用する機会が増えています。
当社でも、VS Codeと生成AIを組み合わせた開発演習などを取り入れています。
例えば、Javaで作成されたAPIに新しい機能を追加する際、生成AIに実装案を作成させ、Gitで変更差分を確認し、正常系や異常系のテストを実施する演習です。
生成AIが書いたコードをそのまま採用するのではなく、既存機能に影響がないか、要求された仕様を満たしているかを確認する必要があります。
実装にかかる時間が短縮されても、設計や品質確認、顧客との仕様調整まで不要になるわけではありません。
生成AIを活用しながら、エンジニア自身が技術的な判断を行えることが、今後さらに重要になると考えています。
事業領域を広げるのは、エンジニアの選択肢を増やすためでもある
ゲーム開発に携わりたくてIT業界に入った人もいれば、業務システムの開発やインフラ構築に興味を持っている人もいます。
長年ゲーム業界で働いてきた私としては、ゲームを作りたいという気持ちはよく分かります。
一方で、ゲーム開発の案件は、タイトルの開発計画や発注元の事情によって規模が変わることがあります。
一つのプロジェクトが終了したとき、同じ技術を使う次の案件がすぐに見つかるとは限りません。
会社として仕事を継続的に確保することはもちろん大切ですが、エンジニアが将来のキャリアを考えたときに、選べる道を増やしておくことにも意味があると思います。
例えば、ゲームのサーバー開発を経験した人がWebシステムへ領域を広げることも考えられますし、C++の経験を活かして組み込み分野に挑戦する道もあります。
ただ、本人が希望していない分野への転向を前提にするつもりはありません。
どのような技術を身に付けたいのか、これまでに何を経験してきたのか、次の仕事で何を求めているのか。
そのうえで、案件に必要な技術や経験との適合を確認し、必要な学習や準備も含めて検討することになります。
ゲーム開発の専門性を追求する人も、新しい分野へ挑戦したい人も、それぞれの経験を活かせる仕事を増やしていくことが、当社の事業づくりにつながると考えています。
エンジニアの技術を、次の仕事につなげていく
私はこれまでゲーム会社の経営や、複数の新しい事業の立ち上げに携わってきました。
新しい分野に参入する際には、想定していたように仕事を獲得できないこともありました。それでも、営業先の業務を理解し、実績を積み重ねることで、少しずつ対応できる仕事が増えてきました。
辰巳電子工業でも、ゲーム開発で培ってきた技術を大切にしながら、業務系、Web、組み込み、インフラなどの事業をさらに広げていきます。
そのためには、エンジニア一人ひとりが持つ技術や経験を理解し、顧客の仕事に結び付けることが必要です。
私自身もエンジニア出身ですので、技術的な経験がどのような場面で活かせるのかを考えながら、事業づくりを進めています。
辰巳電子工業の仕事や、ゲーム開発以外の分野にも広がるエンジニアのキャリアに興味を持っていただけた方は、ぜひ当社の取り組みを知っていただければと思います。
辰巳電子工業株式会社 SS事業部
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