交通の力で、地方が抱える課題を解決したい———。幼少期から抱き続けてきたこの志を果たすため、木本さんは11年間、日本の交通政策やインフラ整備の最前線に身を置いてきた中央省庁を離れる決断をしました。
次なる舞台に選んだのはGO。現在は「パブリックアフェアーズ(PA)」として、事業設計の提案から現場のオペレーション構築までを一気通貫で牽引する、いわば「事業の推進エンジン」そのものを担います。
11年間の官僚キャリアを経て、なぜいまGOという場所を選んだのか。そして、あらゆる境界を越えて突き進む木本さんが、その先に見据える「10年後の景色」について聞きました。
木本 悠太
ビジネス企画部 公共企画2グループ グループマネージャー / 次世代事業本部 物流事業部
和歌山県有田市出身。新卒で国土交通省に入省し、本省道路局や地方整備局などで計11年勤務。道路行政を軸に、政策企画や事業企画など幅広く経験。2024年4月にGO入社。ビジネス企画部 公共企画2GのGMとして省庁調整を担い、物流事業などの新規事業にも関与。社内の部活動ではゴルフ部の部長を務めるほか、軽音部やランニング部にも参加している。
目次
- 和歌山の空の下で抱いた、純粋な違和感
- 行政か、事業か。社会課題への向き合い方をアップデートした決断
- 提案で終わらない。現場に立ち、未来をこじ開ける
- 移動の格差をなくし、新しい公共インフラを築く
和歌山の空の下で抱いた、純粋な違和感
── 木本さんが、交通やインフラの道を選んだきっかけは何ですか?
木本:原体験は、生まれ育った和歌山県有田市という小さな町での記憶にあります。のどかで大好きな町でしたが、子供心にずっと抱いていた「もどかしさ」がありました。
象徴的だったのは、小学生の頃、親が運転する車の中で眺めていた高速道路の景色です。都会なら当然あるはずの「追い越し車線」がない。観光シーズンに車が少し増えるだけで、高速道路なのに逃げ場のない渋滞が発生し、地域全体の血流がピタリと止まってしまう。渋滞の列の中で、道が一本足りないだけで、この町の可能性が閉じ込められているような、幼いながらにそんなもどかしさを抱いていました。
── 「動かない景色」への違和感が、その後のキャリアの指針になったんですね。
木本:そうですね。成長するにつれ、あの時感じた閉塞感の正体が論理的に分かってきました。「なぜこの町には選択肢が少ないのか」という問いを突き詰めると、行き着くのはいつも「交通の問題」です。人や物、そして情報がスムーズに動くためには交通が不可欠で、そこが物理的なボトルネックになっていると強く感じました。
交通を変えれば、地方の未来が変わるはず。そう確信し、大学卒業後はその根源的な課題を解決するために国土交通省への入省を決め、行政の世界へと踏み出しました。
行政か、事業か。社会課題への向き合い方をアップデートした決断
── 入省後はどのような仕事に携わってきたのでしょうか。
木本:最初の2年間は、東日本大震災からの復興事業に身を置きました。被災された町に新たな堤防を築き、地域を繋ぐ道路の工事を発注するなど、インフラ復旧・復興に奔走する日々でした。
その後、本省に戻ってからは、四半世紀先の日本を見据えた道路政策の策定や、地方自治体への支援制度の設計に携わりました。数兆円規模の予算の仕組みを作り、国のグランドデザインを描く。それは間違いなく、私が幼少期に志した「社会課題の解決」そのものであり、大きなやりがいを感じていました。
── 重要な役割を担う中で、どのような変化があったのでしょうか。
木本:10年という節目を迎え、一通りの業務を経験するなかで、社会の変化に対するスピード感に危機感を抱くようになったんです。
行政の重要な役割の一つは、多様な利害を調整し全体のバランスを整えることです。もちろん不可欠な機能ですが、今の日本において、より必要なのは「誰もが納得する安全な着地」だけでなく、あえてリスクを取って突破口を開くようなイノベーションではないかと感じたのです。
── その突破口を開く役割を担いたいと。
木本:はい。正解がない中で自ら意思決定を下し、スピード感を持って結果を取りにいく「事業」の側でも力を発揮できるようになりたい。その方が、よりダイレクトに社会も、自分もアップデートしていけると考えたことが、新しい世界へ踏み出す転換点となりました。
── 数ある選択肢の中で、なぜ“GO”という場所を選んだのでしょうか。
木本:軸にしたのは「社会貢献の総量を最大化できるのはどこか」という一点です。GOが掲げる「移動で人を幸せに。」というミッションは、私の原体験そのものでしたし、何より経営陣の語る「具体性」に惹かれました。遠い未来を夢想するだけでなく、「来月、来年、どうやって具体的に課題を解決するか」という戦術に凄まじい熱量を注いでいた。ここでなら、行政で培った経験を土台にして、思い描いた理想を具体的な事業として最速で形にしていけると思ったんです。
提案で終わらない。現場に立ち、未来をこじ開ける
── 実際に飛び込んでみて、社会課題への向き合い方にどのような違いを感じましたか?
木本:アプローチが根本から違います。行政が、法律や予算を使って世の中全体を一気に動かす「面」の攻略だとするなら、民間は、圧倒的に便利なサービスという強烈な「点」を打ち込む戦い方だと言えます。
このサービスが突破口になれば、一気に社会が変わるかもしれない。そんなふうに、現場で積み上げた「便利さ」という事実を武器にして、内側から仕組みを塗り替えていく。このダイナミズムの中に身を置き、自らの手で世の中を動かしていくプロセスそのものを、今は心から楽しんでいます。
── 入社後、特に手応えのあった仕事は何ですか?
木本:真っ先に思い浮かぶのは、入社直後に飛び込んだ「自家用車による荷物配送」の実証実験です。当時は事業そのものがまだ立ち上がっていない段階で、まずは現行制度のどこが要なのか、どうすれば社会にとってより良い仕組みになるのか、その解釈を見つけるところから始まりました。
ただ、面白いのはここからです。通常の公共企画業務の役割は、制度改善の提案やその調整にとどまることが多いですが、GOの仕事はそこで止まりません。「新しい仕組みが本当に現場で回るのか」を証明するために、私自身が現場に張り付いて、オペレーションを回し続けたのです。
── 上流のロジック構築から、現場の泥臭い実践までを、一気通貫で。
木本:そうです。机の上で描いた「理想」を、現場で「実証」して、確かな「実績」に変えていく。この上流と下流の両端を自分の手でつなぎ込み、事業のエンジンとして回していくプロセスは、ものすごい熱量が必要でしたが、それ以上に最高に面白かったんです。単なる交渉役ではなく、事業そのものを作っているという確かな実感がありました。
この経験を通じて気づいたのは、「行政」と「現場」双方の真の理解者が介在することで、複雑な変数の中でも事業は泥臭く前に進められるということです。
── 双方をリアリティを持って理解していることが、事業を動かす鍵になるわけですね。
木本:はい。行政側は「現場で何が起きているのか、根源的な課題はどこか」を正確に把握したいという強いニーズを持っています。そこに、「制度・政策」という行政の言語を使いこなしながら、「現場の実情」という一次情報を正しく届けられる存在がいれば、行政も自信を持って政策を推進できます。
双方を深く理解する一人の人間がハブになることで、関わる方々の迷いが解消され、全員が同じ方向を向いて力を合わせられるようになる。これこそが、行政での経験を持つ自分が貢献できる最大の価値なのだと感じています。
移動の格差をなくし、新しい公共インフラを築く
── 環境や立場は変わりましたが、木本さんが見据えるゴールは今どこにあるのでしょうか。
木本:高校生の頃から全く揺らいでいないのは、「国全体の目線で、地方の課題を解決したい」という想いです。私にとって、所属する組織がどこであるかはそれほど重要ではありません。大切なのは、「今、自分の力を最も活かして、最短距離で課題を解決できる場所はどこか」ということです。
かつてはそれが「行政」という大きな仕組みを動かすことでしたが、今は「GO」という場所で、サービスという実体を伴った解を社会に提示していくことが、最も確実でスピーディーな手段だと考えています。
10年後、日本のどこに住んでいても、移動や物流の制約に縛られることなく、誰もが自由に可能性を広げられる。そんな当たり前の景色を、現場の一段ずつから積み上げていきたい。それが、今の私の使命です。
── その未来を形にするために、どのような仲間が必要だと考えていますか?
木本:今のGOは、タクシーから物流、そして次世代のインフラ構築へと、驚くべきスピードで領域を広げています。ここで必要とされるのは、スキル以上に「境界線を設けない好奇心」を持った人です。「自分の役割はここまで」と線を引くのではなく、未知の領域や変数だらけの現場に対しても、「まずはやってみよう」と前向きに飛び込める。そんなスタンスで、変化そのものを楽しめる方と一緒に戦いたいですね。
── その「境界を設けない」というスタンスは、木本さんご自身の社内での過ごし方にも通じるところがありそうですね。
木本:そうかもしれません(笑)。仕事も人間関係も、まずは「相手のリアル」を知ることから始めたい。その一心で、今はゴルフ部やランニング部など、8つほどの部活動に参加して部署の垣根を越えた仲間づくりを楽しんでいます。
こうしたつながりから社内のリアルな温度感を知ることは、結果的に仕事のスピード感にも直結すると思っています。
── 最後にGOのビジネス企画部に興味を持っている方にメッセージをお願いします。
木本:ここには、GOだからこそ味わえる唯一無二の面白さがあります。それは、国全体の未来を見据えて「社会としてどうあるべきか」という高い視座を持ちながら、同時に、目の前の事業を圧倒的なスピードで動かしていくという、官と民の「いいとこ取り」のような挑戦です。
動かない正論で終わらせず、自らが起点となって、泥臭く現場から事実を作り、社会を動かしていく。自分の限界を定めず、この国の未来を本気でアップデートしたいと願う方と、この挑戦を共にできたら嬉しいですね。
※掲載内容は2026年3月時点の情報です。