AIが大きな注目を集め始めた頃、外観検査の世界でも「AIで検査を自動化できる」という話が一気に広がりました。
展示会では華やかなデモが並び、導入事例も次々と出てきました。
実際、AIには大きな可能性があります。
僕達も、2016年頃のディープラーニング黎明期から製造業向けのAI開発に携わり、「これは日本の製造業を変えられる技術かもしれない」と本気で感じていました。
でも、現場でお客様と向き合っていると、少しずつ違和感も感じるようになったんです。
「AIならどんな検査でもできます」
「すぐ高精度が出ます」
「人の代わりになります」
そんな言葉が、業界の中で当たり前のように使われていました。
もちろん、悪意があったわけではないと思います。
新しい技術を広めたい気持ちもわかる。
でも実際には、AIが得意な検査もあれば、そうではない検査もあります。
場合によっては、AIより従来の画像処理のほうが適しているケースもある。
それなのに、“AIありき”で話が進んでしまう。
そして導入後、「思ったように動かない」「結局、人が確認している」ということが起きる。
その結果、現場に残るのは、
「なんだ、AIって使えないじゃないか」
という失望でした。
でも僕は、AIそのものが悪いとは思っていません。
むしろ逆です。
AIは、正しく使えば、間違いなく日本の製造業を支えられる技術だと思っています。
人手不足。
技術継承。
多品種少量生産。
品質維持。
グローバル競争。
今の製造業には、本当にたくさんの課題があります。
だからこそ、技術を「売る」ことよりも先に、“正しく伝えること”が必要なんじゃないかと思うようになりました。
できることは、できると言う。
できないことは、できないと言う。
難しいことは、難しいと正直に伝える。
一見すると遠回りです。
でも、信頼って、たぶんそういう積み重ねでしか生まれない。
OUENが大切にしている「真摯さ」は、そこから生まれています。
実際、技術を現場で動かすには、論文やアルゴリズムだけでは足りません。
現場特有の制約を理解し、
運用を理解し、
人を理解し、
「この人が言うならやってみよう」と思ってもらえる信頼を積み重ねて、ようやく技術が価値として動き始める。
僕たちは、その“ラストワンマイル”にこそ、本当の難しさがあると思っています。
だからOUENでは、「作って終わり」はほとんどありません。
実際に現場に入り、
一緒に悩み、
一緒に改善し、
必要なら「今はAIを使わないほうがいいです」と伝えることもあります。
短期的に見れば、非効率かもしれません。
でも、僕たちが本当に作りたいのは、“AIを導入した会社”ではなく、“現場でちゃんと使われる仕組み”だからです。
技術は、原石だと思っています。
どれだけ優れた技術でも、現場で使える形に磨かれなければ、本当の価値にはならない。
逆に言えば、現場に寄り添いながら磨き続ければ、人を驚かせる価値になる。
実際、お客様にデモを見せた瞬間に、「お、これすごいね」と思わず声が漏れる瞬間があります。
僕は、あの瞬間が好きなんです。
技術を見せたいわけじゃない。
“人の感情が動く瞬間”を作りたい。
OUENという名前には、「恩・運・縁」という意味を込めています。
これまで製造業の現場からいただいた恩。
技術と出会えた運。
ここまでつながってきた縁。
その全部への感謝を忘れず、僕たちは今日も、技術と現場の間にある“最後の一歩”を埋め続けています。
まだまだ小さな会社です。
でも、小さいからこそ、
現場のすぐ近くで、
泥臭く、
本当に価値のあるものを作れると思っています。
もし、
「技術を作るだけでは物足りない」
「人にちゃんと届くところまでやりたい」
「日本のものづくりを、もう一度ワクワクする場所にしたい」
そんな想いに少しでも共感してもらえたら、ぜひ一度お話しできたら嬉しいです。