「大丈夫なの、その会社」それでも私が決めた理由 文系新卒、AIベンチャーに入ってみた【インターン編】

この1月で、ABEJAで働き始めてちょうど5年になった。

いま、ベンチャーに勢いがある時代とは言え、新卒で入るのはさすがにまだ珍しいと思う。

なんのスキルも持たない新卒が、ベンチャーに入って成長なんかするのか?と思っている人は少なくないと思う。

私も正直分からない。でも、振り返ることでなんらか見えてくるかも。そんな思いでいったん棚卸しすることにした。


なんとなくレールに乗ってきてしまった、と気づいて

2014年暮れ、私は一橋大の3年生だった。
高校時代から始めて、大学でも続けていたダンスサークルは秋の文化祭後に引退し、それまで毎日のように練習で埋まっていた日々が、急になにもなくなり、周りはどんどん就職活動モードになっていった。

当時できたばかりの就活サイト「Wantedly」を試してみると、気になる会社があった。「メディアライターのインターン・WEBマーケ/ITの知識も持てます」と書いてある。

サイトを開くといきなり、壮大なビジョンを掲げた設立趣意書がドーンと現れた。


2015年1月当時の公式サイトのトップ画像


たしか活版印刷という当時の最新技術が宗教革命の引き金になった話が延々とつづられていて、「私たちはこれと同じようなことをしたい」という趣旨が書かれていた。「えらい目線の高い会社だな」とびっくりした。

「話を聞いてみる」ボタンから連絡を取ると、返事が来た。
クリスマスの25日夜に面談をするという。まじか。
当時付き合っていた彼にデートを遅らせてもらい、私は六本木に向かった。

繁華街から少し外れた雑居ビルのなかにオフィスはあった。面談をして、インターンを始めることになった。

「一度うちの代表にも面談するといいよ」と言われ年明け、代表の岡田陽介とあった。

飄々と現れた岡田。話の継ぎ目で、ホームページの設立趣意書に私が触れた。
「設立趣意書、おもろかったです」

感想程度で触れたつもりだったが、岡田の琴線に触れたのか、話が止まらなくなった。イタリアのルネサンスの時代の画家のエピソード。テクノプレナーシップの話。「こんな人がいるんだ」とただただ驚いた。

当時は10人を少し超えたくらいの所帯だった。女性は採用担当だけだった。大きなサーバーのようなものがドーンと置いてあり、エレキギターをつま弾くエンジニアがいて、掛け布団がソファーに残ったまま。食べ終わったカップラーメンがそのまま置かれていた。どこかの汚い研究室みたいだった。


2015年当時のオフィスで仕事をする、開発メンバーたち。インターンも混じっている


インターンとして、リテールテックの最新事例、動向をまとめるメディアの記事を書いていた。授業がない日はほぼ通っていた気がする。

当時は1日1本の記事を配信する目標があって、ひたすら原稿を書いていた。大変だったが、シェアされると嬉しくてまた頑張った。原稿を書くために調べていく中で、技術の知識が蓄積されてやりがいもあった。

半年くらいたって広報をやりたいと手を挙げ、社員に手伝ってもらいながら、当時増えつつあった媒体の取材対応をするようになった。

ここでもいろいろあった。準備や調整がうまくいかず、誰かを怒らせたり、プロダクトがようやく導入され始めたばかりで、記者を満足させるエピソードを用意できなかったり。

今考えると、インターンにPRをさせるなんてどうなんだというのはあるかもしれない。でもこの時の体験が、いまにつながるのだから分からないものだ。


「異世界」に飛び込む決心

インターンと並行しつつ、4月にはリクルートスーツに着替えて何社か説明会に行った。すでに新卒の「売り手市場」といわれていて、どこかに入れるだろうと思いつつ、このまま別の会社に入ることに躊躇があった。

大学まで、レールの上を進んできた私にとって、ベンチャーは「カオス」だった。人も仕組みも整ってなくて、トラブルだって日常茶飯事。

だけど、ここにいる人たちは、私がそれまであってきた人たちとは全く異なっていた。

インターンの高専生は夏になると、はんだゴテを会社に持ちこみ、なにやら得体のしれないものを溶接していた。鉄の焼ける匂いがオフィスに広がった。

同い年の高専卒のエンジニア社員が、アプリケーションの開発やカメラの製作、アルゴリズムの開発に没頭していた。

コミュニケーションもカタカナばかり。彼らの「イケてる」「イケてない」の価値観が、同じ言葉でも私のそれとはこうも違うのかと驚くことしばしばだった。

当時、彼らが作っていたプロダクトはまだまだ洗練されてなかった。でも「新しい産業をつくるんだ!」という空気は濃かった。懇親会になると、酔って「イノベーションを起こすんだ」と盛り上がる。


創業3年目、メンバーの抱負を書いた横断幕を持って記念撮影をした(左から2人目が筆者)


文系のレールを進んできた私には、見たことのない人や光景だった。せっかくこういう世界を知ったのに、このまままた、彼らのいない世界に戻っていいんだろうか。そんな気持ちが出てきた。

「新卒で入れないですかねー」。4年生になってほどない4月か5月、そんな気持ちを当時のメンターに伝えた。トントン拍子で進む採用面談。

ただ自分から言っておいて、不安もこみあげてきた。「大丈夫か、ほんとにここで?」。モヤっとした気持ちをメンターに聞いてもらったのを覚えている。

周囲からも「え、ベンチャー行くの?」と戸惑われた。特に両親。

「大丈夫なの、その会社」。勉強頑張ってせっかくいい大学に入れたのに...という雰囲気が伝わってくる。「ちゃんと雇用契約書の中身を確認しなさい」と念を押された。不安だったろうと思う。

いま考えると、何も失うものなどないのだが、私もただただ不安だった。「ダメだったら、第二新卒でどっかに移ろう」。そんな気持ちをいただきつつ、2016年4月、正社員として入社した。


筆者:一ノ宮 朝子(いちのみや・あさこ)
1993年生まれ、東京都出身。ABEJA広報担当。2016年に一橋大学法学部を卒業後、学生時代よりインターンをしていたABEJAに参画。AIを活用した店舗解析サービスABEJA Insight for Retailの営業を担当。2018年8月より、現職。2歳児の子育てに奮闘中。趣味は、高校から続けてきたストリートダンス。


(2020年2月26日掲載の「テクプレたちの日常 by ABEJA」より転載)

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