なぜ関係人口なのか?ポケマルが向き合う社会課題とアプローチについて | 株式会社雨風太陽
こんにちは!雨風太陽 C2Cコマース事業本部 プロダクト部 部長の布井 (@nunonunochan)です。神奈川県の端っこの里山(本当に山の中です!)で暮らしながらポケマルのプロダクトづくりに...
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前回の記事では、私たちが目指す「都市と地方をかきまぜる」というミッションと、その背景にある社会課題についてお話ししました。
今回は、そのミッションを「どんなプロダクトで実現しようとしているのか?」についてお話しします。
ポケマルは、農家さんや漁師さんから直接食材を購入できるプラットフォームです。機能だけを見れば、いわゆる「産直EC」と呼ばれるサービスです。
しかし、私たちが目指しているのは、単に食材を右から左へ効率よく流通させることだけではありません。 私たちがポケマルを通じて実現しようとしているのは、単なるECの枠を超えた、「関係性を育むプラットフォーム」としての在り方です。 「食」というインターフェースを通じて、人と人とのつながりそのものをデザインしていきたいと考えているからです。
なぜ、関係人口を作るために「食のEC」を選んだのか。 それは、「食」こそが、地域や生産者とつながるための最もハードルの低い入口だと考えたからです。
日常的に食べているその食材は、日本のどこかの地方で作られています。 しかし、スーパーの棚に並んでいる状態では、その背景にある「産地」や「作った人」のリアリティを感じることは難しいのが現実です。
ポケマルでは、スマホ一つで「誰が」「どんなこだわりで」作ったのかを知ることができます。 そして、購入を通じて生産者と直接言葉を交わすことができます。
たとえそれが深い会話でなかったとしても、「顔の見える相手から買う」という体験は、単なるモノの売買を超えた「関係性」の種を蒔くことになります。
この「関係性」を育むために、ポケマルが特にこだわっている機能があります。 それが「ごちそうさま投稿」です。
多くのECサイトには「レビュー機能」があります。これは通常、「星5つ」「発送が早かった」といった具合に、第三者(次の購入者)に向けて商品の良し悪しを評価するためのものです。
一方、ポケマルの「ごちそうさま投稿」は違います。 これは、生産者本人に向けて「ありがとう」「美味しかったよ」という感謝や応援の気持ちを直接届けるための機能です。
ポケマルにもレビュー機能はあるのですが、ごちそうさま投稿はそれとは明確に区別しています。 目指しているのは、「お客様と販売者」というドライな関係ではなく、「個と個」の対等なつながりだからです。
「個と個のつながり」は、ある意味で面倒なものです。 ドライな売買関係の方が、お互いに気を使わずに済むし、効率的かもしれません。
しかしポケマルは、この「人間らしい面倒臭さ(ウェットな関係)」をあえて大切にしています。 なぜなら、相手の顔が見え、背景を知っているからこそ生まれる「理解」と「配慮」があるからです。
例えば、昨今の資材高騰による値上げや、気候変動による収穫の遅れ。 これらは生産現場にとって死活問題ですが、通常の流通では、消費者にその背景までは伝わりません。単に「高くなった」「遅い」と不満の原因になってしまいがちです。いわば他人事です。
しかし、ポケマルでは少し違った景色が見られます。 生産者と直接つながり、日々の発信を見ているユーザーからは、「今年は大変でしたね」「遅れても待ちますよ」といった声が自然と上がります。
さらに、台風や地震などの自然災害で生産者が被害を受けた時。 ポケマル上では、応援購入や応援コメントが自然発生的に生まれます。
生産者が投稿や出品の形で、「災害で困っています」という状況を伝えると、「遠いところで発生した災害」は「顔の見える生産者の困りごと」に変わり、消費者にとっても他人事ではなくなります。そうして「傷がついていても買って応援しよう」などの行動が生まれているのです。
これは、私たちが目指してきた「生産者と消費者が、互いに理解し助け合う(共助)」という関係性が、プロダクトを通じて社会に実装されている一つの証だと考えています。
ここまで「関係性」や「感情」といったウェットな側面を強調してきましたが、私たちは決して「良い話」だけで終わらせるつもりはありません。 むしろ、このビジョンを永続的なビジネスとして成立させることこそが、最も困難で、やりがいのある挑戦だと考えています。
ここで一つ私たちが向き合っている課題を共有させてください。
それは、シンプルに「生産者は忙しい」ということなのです。
「個のつながり」を促進するのは素晴らしいことですが、生産者さんの本業はあくまで「生産活動」。美味しいものを作るための農作業や漁が最優先であり、そこに販売管理や個別のコミュニケーションが加わることで、業務が圧迫されてしまっては本末転倒です。
ですから、エモい関係性を実現するためにも裏側の業務をめちゃくちゃ効率化するということにむしろ向き合っていく必要があるのです。そのためにもテクノロジーを最大限活用し、やっていくべきことはたくさんあります。
一見すると矛盾しそうなこれらの要素を、高度なバランスで結びつけ、サービスの成長へつなげていくこと。これが、ポケマルのPdMやエンジニアが向き合っている、難しいけれど面白いところだと思います!
ぜひこのチャレンジにあなたの経験やスキルを貸してください。
ポケマルでは現在、プロダクトマネージャーとテックリードを採用しています。社会性と経済性を両立するチャレンジに興味を持っていただける方がいたら、ぜひカジュアル面談でお話ししましょう!