目次
エンジニアが"戦略"を担う―AI時代を生き抜く「翻訳力」と「意思決定」
技術で事業を動かす――エンジニア主導で完遂した「課題解決」
AI活用とモダナイゼーションーーメンバー全員が事業貢献できる組織へ
10年続く『ゲームトレード』では、マトリクス型組織の採用やOKR合宿への参画を通じ、エンジニアが上流の意思決定から深く関与している。 大幅なインフラコスト削減やパスキー導入など、技術で事業成長を牽引してきた現場のリアルを樺澤・松井の両名が語る。確かな実績を土台にして描く「組織の形をコードで体現する」システム刷新やAI活用の展望とは。
樺澤 恭平
2024年10月入社。現在はエンジニアリングマネージャーを務めつつ、Expertチームを兼任。前職にて大規模マッチングプラットフォームにおける認証基盤の刷新を経験。インフラコスト削減など、技術的論理に基づいた経営インパクトのある意思決定を牽引している。
松井 拓也
教育学部卒業後、インターンを経て2018年入社。現在はTnS(Trust and Safety)チームのリーダーを務める。直近ではeKYCの新方式導入を完遂したほか、パスキーによる認証強化や、AIパトロールによる不正検知の高度化を主導。プラットフォームの安全性と信頼性を担保し続けている。
エンジニアが"戦略"を担う―AI時代を生き抜く「翻訳力」と「意思決定」
―本日はよろしくお願いいたします!まず簡単に自己紹介をお願いします!
松井:よろしくお願いします!松井拓也です。ANIMA GROUPの中核事業ゲームトレードにて、エンジニアを担当していて、TnS(Trust&Safety)チームのリーダーをしています。
樺澤:お願いします!樺澤恭平です。私も同じくゲームトレードにて、エンジニアリングマネージャーを務めています。
―早速ですが、お二人はエンジニアという立場で、チームのOKRを設定をするための合宿に参加されているそうですね。OKRはどのように決まっていくのでしょうか?
松井: 合宿の前に、まず事業部全体の大きなOKRが提示されます。それを受けて、「じゃあ自分たちのチームとして何ができるか?何をすべきか?」をメンバー間で徹底的に出し合い、1on1などを通して意見をすり合わせながら具体的な目標へと落とし込んでいきます。
樺澤: 自チームの目標設定だけでなく、他チームが「そのOKRをどうやって達成するか」「開発生産性をどう引き上げるか」といった部分のサポートまで踏み込んで支援しています。チームビルディングと目標設定から関われるのは、マネジメント視点を養う上でも貴重な経験ですね。
―ありがとうございます!OKRを設定するにあたって、意識されているのはどんなことですか?
松井: “あえて無責任になる目標設定” ですね。これは代表の額賀もよく言っていることですが、これまでの延長線上や既存の制約は一度綺麗さっぱり横に置いて、ゼロベースで「今、事業のために本当にやるべきことは何か」を考えるようにしています。
樺澤: 「技術の専門的な部分を他チームに向けて翻訳すること」 と 「数字で根拠を示すこと」 です。かつて技術的な理想論だけで提案してしまい、周囲とのギャップに苦しんだ経験があって(笑)。それからは、専門用語を他チームにも伝わるように変換し、「この施策がどう事業成長や利益に直結するのか」を具体的な指標とともに提示することを徹底しています。
―主体的に「今のサービスには何が必要なのか」を考え、事業部全体で活発な議論が行われている環境なんですね!事業戦略からOKRに落とし込むのは大変なことだと思いますが、何がモチベーションになっているのでしょうか?
樺澤: 今後、AIによって作業としてのコーディングが代替されていく時代において、「事業のための意思決定ができる人材」になる事は重要だと思っています。OKR合宿から主体的に関われる環境は、将来テックリードやマネージャーを目指すエンジニアにとって、最高の機会だと感じてますね。
松井: 自分で納得して設定した目標だからこそオーナーシップが生まれますし、それが「売上」や「ユーザー数」といった数字に直結する手応えはやりがいになっています。以前「あんしん補償プラス」という機能をリリースした際も、合宿で掲げた目標に対してコミットし、実際に成果を出すことができました。チーム内では収支やサービス実績などの事業数値がオープンになっているので、「自分の仕事がどれだけサービスを成長させたか」がリアルタイムに実感できる のが、何よりの原動力ですね。
技術で事業を動かす――エンジニア主導で完遂した「課題解決」
―次に、課題解決に関するご経験をお伺いします。お二方とも多くご活躍されていると思いますが、ご自身の意思決定で事業部の課題を解決された印象的なエピソードを教えてください!
松井: 最近だと、セキュリティリスクを根本から解決するために「パスキー」のスピード導入を完遂しました。
従来のSMS認証では、フィッシング詐欺などで不正ログインを許してしまうリスクをゼロにできませんでした。そこで、本人以外のデバイスからは物理的にログインできない仕組みを構築したんです。大手金融機関などでも導入が進む技術ですが、自分たちでロードマップを引き、実装までやり切りました。「お客様の資産と安全を守る」という事業の根底を、技術の力で直接担保できた実感があります。
―300万人のユーザーを抱えるサービスだからこそ、安全性の観点は非常に重要ですね…樺澤さんは、インフラコストの最適化という大きな成果を上げられたとお聞きしました。
樺澤: サービスが10年続く中で、蓄積されるデータ量に比例してインフラコストが右肩上がりに膨らんでいたことが課題でした。本来、コストは売上に連動すべきですが、コストの増加率が大きく、利益を圧迫する構造になっていたんです。
そこで、キャパシティプランニングに基づくインフラ最適化、検索システムの適正化という3つの施策に取り組み、結果的に1か月で年間1,000万円以上のコスト削減を実現できました。
難易度の高い挑戦でしたが、チーム毎に責任範囲が明確なマトリクス型組織であることもあり、チーム間の調整コストを最小限に抑えられた結果、スピード感のある施策の実現が可能になったのだと思います。
―外部カンファレンスで得た知見を、社内のOKRに昇華させた事例もあるそうですね。
樺澤: はい。カンファレンスで得たRailsのアップデートに関する知見をヒントに、自社のアプリエラー状況を把握する「可観測性(Observability)」の課題を見直しました。
自社に最適化した形で有効性をレポートにまとめ、サービス上のメリットを説明した結果、実際にOKRとして採択され、現在は導入を進めています。
AI活用とモダナイゼーションーーメンバー全員が事業貢献できる組織へ
―それでは最後に、今後の展望について教えてください。まずは技術や仕組みの面で、これからどんなことに取り組んでいく予定ですか?
樺澤: 直近ではAI活用をさらに加速させたいと思っています。現在はカスタマーサポート領域の一部に導入していますが、今後はレコメンド精度の向上や、データに基づいた推計値の高度化など、より事業のコアな部分にAIを組み込んでいきたいですね。
松井: 安全性の担保という文脈でもAIは不可欠です。現状のパトロールにおけるAI活用は、まだ十分に活用しきれておらず、今後さらに大きく発展する余地があると感じています。今後はユーザーの行動ログから不正の予兆を検知するなど、より高度な領域を形にしていきたいです。
―なるほど。AI活用にはどんどん力を入れていきたいですね!次に、エンジニアチームをアップデートするために、何か行っている取り組みはありますか?
樺澤: 特定の個人に依存しない「自律的なチーム」を目指し、そのための取り組みとして「データドリブンな意思決定の民主化」を進めています。
データを閲覧・分析しやすい環境をさらに整備することで、データを共通言語とした意思決定をより一層促進していきたいと考えています。
これにより、「メンバーがデータをもとに改善案を提案し、リーダーが迅速に意思決定する」というサイクルが自然に回る組織づくりを推進しています。結果として、より多くのメンバーが事業・サービスにインパクトを与えられる環境の実現につながると考えています。
―まさに、より多くのエンジニアが事業に貢献するための仕組みづくりですね。アーキテクチャの面ではいかがでしょうか?
樺澤: 組織のあり方とシステム構成をより一致させるため、モノリスな構造から、モジュラーモノリスやマイクロサービスのように「役割ごとにコードを切り離した状態」へのモダナイゼーションを推進していきたいです。これにより、各チームが他チームへの影響を最小限に抑えながら、自律的に開発を完結できる状態を実現できます。結果として、開発効率を高い水準で維持しながら、エンジニアが継続的に価値を出し続けられる土台がより強固になると思っています。
松井: 10年にわたって成長してきたサービスだからこそ、これまでの技術資産を活かしながら、より柔軟で進化に強いアーキテクチャへと発展させていくフェーズにあると考えています。樺澤が話した構造の進化とも連動させながら、コード全体の疎結合化と整理を進めることで、変更容易性と拡張性をさらに高めていきたいです。技術の刷新を通じて、この先も長く愛される「息の長いサービス」を支える盤石な基盤を作っていきたいですね。