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漢方薬店 LAOSIとは?薬剤師・松浦尚子インタビュー

漢方を現代的にリ・デザインし、馴染みあるものにした漢方薬店 LAOSI 。
困ったときにすぐ相談できる「お薬箱」として、感度の高い奥渋の一角に店舗を構え、その暖簾を揺らし2年が経ちました。

今回は、LAOSIのメイン薬剤師であり店長の松浦尚子にインタビュー。
漢方と医学のたしかな知識を持ちながら、型にはまらないしなやかな接客は、多くの人の心身の不調を救っています。
LAOSI への想い、日々の養生へのヒントが詰まったロングインタビュー。
一緒にお茶を飲むように、ゆっくりと話を聞いてみましょう。


ーLAOSIとはこんな場所ー

どんな経緯で LAOSIに関わることになったか、きっかけを教えてください。

薬局で薬剤師として働きつつ将来を模索する中で、友人を通じて LAOSI立ち上げの話を聞きました。“漢方を現代的にアプローチする”というコンセプトに共感し、参加することにしました。

私、病院の殺伐とした感じが苦手で。もっとセラピストのような立ち位置でやりたかったんです。美容や漢方アロマなど理想の形を探す中で、LAOSI は目指すところに近しいと思えたんです。
接客が好きなので、店舗での接客という形も魅力でした。病院や薬局は受け身の場所でもあるので、自分から発信できるところもいいな、と。

漢方薬局といっても、イベント開催やインスタライブ、商業施設でのPOP UPなど、LAOSI の業務は多岐に渡りますよね。
普段、お客様はLAOSIをどんな風に使っているんですか?

カウンセリングをしたい方や漢方だけ買いたい方、お茶する感覚で薬膳茶だけ飲まれていく方、よもぎ蒸しをされる方と本当に様々です。どんな使い方でもよく、そこに決まりはないです。

LAOSIはお洒落な店構えはもちろん、居るだけでリラックスできる心地よい空間です。

空間については、とてもこだわっています。その方の不調の根本に近づくためには、LAOSIという空間をいかに快適な空間に整えておくか、ということがとても大切なんです。

LAOSIの店構えや雰囲気に惹かれて入ってきた方でも、薬膳茶を飲んで話しているうちに「実はこんな不調があって…。」と、そのままカウンセリングをすることも。
お茶を入り口に相談して、自分の身体に気づくきっかけになる。だからこそ、“ リラックスできる心地よさ ”が重要なんです。

どういった年代の方が、どのような不調で来店されますか?

年代も悩みもさまざまです。30〜40代の方は年齢的に不調が出やすい時期なので、忙しく働く方や出産を節目に体調を崩した方なんかが多いです。20代の方は、食養生のアドバイスだけで治ってしまうことも。漢方すら要らなかったという。笑
でも、全然それでいい。結果的によくなってくれればいいんです。

日々LAOSI に来られる方を診ていて、どんな印象を持ちますか?

今どういう状態なのか、自分にフォーカスしている人がとても少ない印象です。カウンセリングをして、はじめて身体の状態がわかるという。みなさん情報には敏感ですが、自分の身体には意外と無関心なんです。
まずは“ 自分の身体に気づくこと ”。
「今日の自分、どうかな?」と意識を向けることがとても大切。LAOSIでの時間が、自分の身体にフォーカスする一つのきっかけになったら嬉しいです。

たしかに現代では「これがいい。」という情報が溢れすぎていますよね。

情報はあるけど、便利がゆえに不便になっている と感じます。
本来の人間のチカラはすごいから、食生活にしても削ぎ落としてシンプルにしていけばいいだけ。小麦や砂糖、添加物が過剰だから身体のバランスもおかしくなる。そういった現代の状況はなんとかしたいですね。

まずは「 食生活の改善 」が基本になる、と。

そうです。食養生の段階がないと、漢方の本来の力が引き出せません。だから食養生は、まずみなさんにはじめにやってもらいます。
とはいえ、ガチガチじゃなくていいんです。私がモットーにしてるのは、短期集中。
とりあえず1週間頑張ってみる。症状が軽くなったら1日おきに食べてみる。体調が悪いときはやめておく。ほんの少しのことで身体は変わるんです。

ーカウンセリングは、お茶を飲みながら ー

カウンセリングでは、お客様とどのような話をするのでしょう?

店頭のカウンセリングでは、ほぼ食生活や生活習慣の話をしています。本当の意味ですこやかにいるためには、不調に潜む根本に目を向ける。
つまりは、生活習慣です。まず原因となる習慣をやめて、それでも良くならなかったら漢方、という順番。食べ物なのかストレスなのか、季節性のものなのか。まず不調に潜む生活習慣を丁寧に聞いていきます。

症状から掘り下げて、根本の原因に潜っていくんですね。

西洋医学では病名がないと治療ができませんが、漢方はその前段階で対処ができて、理論的に説明もできます。過去に漢方を処方された方も多いですが、あくまでそれは西洋学的な漢方処方。
血が足りない=補血剤、という対処ではなく、「そもそもどうして血が足りないか?」までさかのぼる。自分で血を作れるよう導かなければ、意味がないんです。

その人の奥深くへコミットしていく作業。とても深いですね。

だから、自分の弱みを人に見られたくない方はカウンセリングに時間がかかります。でもこちらとしては燃えますね。笑
そういう方ほど次に来た時に「効きました!」って後からディープにハマってくれたりして。すごくやりがいを感じます。お客様とのコミュニケーションが好きなので、毎日が楽しいですよ。

カウンセリングでは、どのようなことを大切にしていますか?

マインド的には、心を開いてもらえるようオープンでいるように心がけています。まずはお客様に安心してもらうこと。
あとは、その人をよく見ること。話し方、立ち振る舞い、声の大きさ、その全てが情報なんです。私は体に触ることができないから、見て、感じることでいかに情報を集められるかなんです。

ー LAOSIを通して叶えたいことー

LAOSIは、どんな場所で在りたいですか?

具合が悪くなる前の、ちょっとした不調に対して提案できる場所でありたいです。
台湾や香港は、八百屋さんやスーパーの人でも食養生の知識をみんなが知っていて。漢方スタンドが駅のホームや街中にあったり、養生の習慣があたり前に根付いてるんです。そのことにすごく衝撃を受けて。
そういう養生が浸透している環境が、日本でもあたり前にあったらいいなあと思います。

不調を説明すれば、いつでもセレクトしてもらえる環境。いいですね。

なにか不調があった時にすぐ相談できて、おすすめのものを選んでくれる場所が必要だと感じます。LAOSI だったら、薬膳茶だったり。
基本は「 自分の身体を知ること 」。習慣や食養生でも追いつかないことを漢方で助けていく。LAOSIが、身体のチカラに気づくきっかけになったら嬉しいです。
LAOSIという場所を通して、どんなことを叶えたいですか?

究極を言ってしまえば、LAOSIへ来なくとも養生の知識を使って自分のチカラですこやかになれる人を増やしたいです。
困ったらここへ来る、は第一ステップ。次に、LAOSIを通して養生の方法を知る。そして最終的には LAOSIを卒業して欲しいです。なかなか壮大な夢ですが。笑

「自分とは、何なのか?」を知ることは養生の基本です。身体のサインを見過ごさず、自分に関心を持つ。LAOSIを通して、そういう人が一人でも増えたら嬉しいです。

ー情報発信地としてのLAOSIへー

LAOSIを通して、これからどんな活動をしていきたいですか?

LAOSI をもっとたくさんの人へ知ってもらうための発信活動をしていきたいです。“ 養生の情報発信地 ”として、オンライン相談やセミナーなどを充実させたいですね。
いろんなことを試した末に、LAOSIへいらっしゃる方が多い。だからこそ「よくなるかも。」という希望を与えたいんです。全国各地で待っている人がいることを日々感じます。LAOSIへ来ないと得られない情報だけではなく、間口をひろくしてみなさんへ養生の知識を伝えていきたいです。


松浦尚子 漢方薬剤師・養生アドバイザー
北海道生まれ。漢方薬局を営む両親のもと、幼い頃から漢方が身近な環境で育ち、自身も薬剤師の道へ。薬剤師として多くの病院や調剤薬局に勤務。
2021年から縁あってLAOSIの立ち上げに参画。養生や漢方によるセルフケアをより身近にするべく、店頭に立つ日々。最近ではインスタライブや商業施設でのPOPUP、音声メディアでの発信など活躍の幅を広げている。
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