こんにちは!株式会社アスペアの採用担当です。
生成AIの登場で、エンジニアの仕事は大きく変わったと言われます。コードを書くだけの仕事はAIに置き換わっていくのか。それとも、人にしかできない役割がはっきりしていくのか。
今回話を聞いたのは、アスペアに二度入社し、通算25年在籍するYさん。Javaのコーディングから設計、プロジェクト進行まで幅広く経験してきたベテランエンジニアです。現場でのAIの使い方から、これからのエンジニアとAIの向き合い方まで、じっくり語ってもらいました。
目次
飲食、弁理士事務所を経て、再びアスペアへ
――Yさんは、アスペアへの入社が二度目だそうですね。これまでの経歴を教えてください。
大学卒業後、最初は飲食業界で働き、そこからアスペアに入りました。その後、弁理士事務所で明細書作成の仕事をしていましたが、再びアスペアに戻ってきました。通算するとアスペアには25年の在籍になります。
――一度離れて、また戻ってこられた理由は何だったのでしょうか?
30歳手前で将来のキャリアに悩んだのがきっかけです。当時のIT業界は3K、つまりキラキラしていないイメージの業界でした。多重請け負いの構造もあって給料も安く、このままでは稼げないと思ったんです。そこで法律系に転職したのですが、今度は最先端すぎてついていけなくなってしまって。そんな時に加藤社長にお声がけいただいて、アスペアに戻ってきました。
――これまで、どのようなお仕事を担当してきましたか?
最初はJavaがメインでしたが、最近はJavaの比率が下がり、PHPやPythonを扱うことも増えています。設計やプロジェクト進行を担うことも多く、直前の案件ではPM補佐としてプロジェクトリーダーを3つ担当していました。コーディングはせず、要件整理や各部署との調整、セキュリティ対策などが中心の仕事です。
――そうした業務の中で、AIはどんな場面で使っていますか?
特に活躍しているのは、資料作成と定型業務の効率化です。調査やたたき台づくりにはNotebookLMを使い、最終的には人間がチェックしてフィットギャップを埋める形です。印象的なのは、日報の自動化です。あるプロジェクトに途中から入ったとき、SEの方々が抱えているタスクの粒度がバラバラで、全体像が見えづらい状態でした。そこで、誰が・いつ・何を始めて・いつ終わったかを書き込むだけのシンプルなスプレッドシートを用意し、そこからAIが自動で日報を作成するプロンプトを組みました。スプレッドシートにさえ書いてあれば、プロンプトが走って日報ができあがる。これによって、誰が何をやっているか分からなかった状況から、スプレッドシートを見れば一目で分かる状況に変わり、問題の原因特定や解決にもつながりました。
AIの登場で、エンジニアの仕事はどう変わったか
――AIの登場で、エンジニアの仕事はどう変わったと感じますか?
責任範囲そのものは変わっていません。お客様から見れば、エンジニアに仕事を頼むという形はこれまでと同じです。変わったのは、私たちがどこをAIで自動化し、どこを自分の手で進めるかという判断の部分です。
――仕事のやりやすさという点では、いかがですか?
大きいのは、先を見据えた対策に手が回るようになったことです。システムは、作って終わりにするのか、作った後のことまで考えるのかで大きく変わります。ただ、将来の問題への備えは保険と同じで、何も起こらなければ「あのコスト(お金・時間)は何だったのか」と言われがちです。そのため以前は、検討したくてもコストの問題で諦めていた対策がありました。AIでコストが下がったことで、今はそうした対策も検討できるようになっています。
――コーディングを中心とした仕事への影響は、どう見ていますか?
コーディングだけをする人の仕事は、確実になくなっていくと思います。
現場でのAI活用実態
――具体的には、どんなツールをどのように使っていますか?
具体的なツールは、現場によって使えるものが異なるため案件ごとに違いますが、ChatGPTやAnthropicのClaudeなどのツールはシステム構築やシステム運用そのものへの組み込みに、GeminiやNotebookLMは既存ドキュメントをベースにした調査に使うことが多いです。
――AIを使うようになって、仕事の進め方で変わったことはありますか?
AIを使うようになって仕事の進め方が劇的に変わったかというと、現時点ではそれほど大きくは変わっていません。SESの仕事はお客様からのオーダーが前提にあるので、そこは変わりづらい部分です。進め方を急に変えると、見慣れないやり方にお客様が不安を感じてしまいます。そのため、お客様との進め方は変えずに、自分たちの作業の中で効率化や検討を進めている、というのが実情です。とはいえ、この先は変わらざるを得ないとも感じています。
――AIが得意なこと・苦手なことは、どのあたりだと感じますか?
AIが得意なのは、ひたすら均一さが求められる作業です。どんな仕事も、分解すれば単純作業に落とし込めます。AIは人間と違って疲れたり文句を言ったりしないので、そうした作業を淡々とこなしてくれる。また、自然言語で指示すればタスクとして理解し、実行してくれます。これまでのローコード・ノーコードツールと比べて、格段に扱いやすくなりました。
一方で苦手なのは、「ちょうどよさ」の調整です。これは指示する側の問題でもありますが、人間とシステムのちょうどよい共同作業のバランスを組み立てるようなことは難しい。傾向として、完璧主義になりすぎてしまうことが多いです。また、何ができて何ができないかが事前に分かりづらく、実際に試してみないと分かりません。同じプロンプトを投げても同じアウトプットが返ってくるとは限らず、このアウトプットの揺れがマイナスに働くこともあります。だからこそ、何のためにAIを使っているのか、今回の用途は決まった答えを求めるものなのか、それとも発散的に考えを広げるためのものなのかを意識することが大切だと思っています。
使い始めたきっかけと、独学で身につけた使い方
――そもそも、AIを使い始めたきっかけは何でしたか?
AIを意識し始めたのは、GPT-3.5がニュースになったタイミングでした。実はそれより前、今から20年以上前の弁理士事務所での特許系の仕事でも、AIに近い技術には触れていました。日本語の文書を解析して文章を作り上げる仕組みに関わっていたのですが、当時のものは今のChatGPTのようなものではありませんでした。それでも、いずれこういうものが出てくるだろうという予感はあったんです。
――GPT-3.5を初めて見たときは、どう感じましたか?
実際に見たとき、「これはまずい」と感じました。このまま進化すれば、カーテンの向こうにいるのが人間なのかAIなのか、区別がつかなくなる。いわゆるチューリングテスト(※1)を超えるものが、本当に出てくるかもしれないと思いました。
※1 チューリングテスト:機械が人間のように考えている(知能を持っている)と言えるかを判定するためのテスト
――使い方はどのように身につけたのですか?独学ですか、それとも社内の勉強会などでしょうか。
独学で身につけました。副業で音声スタジオを運営していて、部屋に音響設備を入れて声優さんに声を録ってもらうということをやっているのですが、そこで脚本作成にAIを使ってみたんです。人間がやっていた作業を、実務で使えるレベルで置き換えられることに衝撃を受けました。そこから、絵を描かせてみたり、声優さんの代わりに音声を出せないか試してみたり、とにかくアウトプットベースで色々と試しながら学んでいきました。
会社としての支援体制
――会社として、AI活用を後押ししてくれる制度やサポートはありますか?
はい、しっかりあります。会社としてGoogle Workspaceを契約していて、GoogleのAPIキーを支給してもらえますし、有料のAIサービスについても、上限はあるものの月額費用の負担制度があります。ほとんどの社員がこの制度を使っていて、Slackで申請すればすぐに使えます。
――社内でAIに詳しい人同士が、ナレッジを共有する機会はありますか?
社内でのナレッジ共有の場も用意されています。会社内のワークグループは2週間に1回開かれていて、担当が決まった社員がAI施策を検討しています。直近では、会社のホームページにAI経由でアクセスしてきた人への対応方法や、AIに対してどんな仕掛けができるかといったテーマについて議論していました。
もう一つ、業務外で自由に参加できる「AIの情報交換会」も2週間に1回開かれています。直近ではGeminiの新しいバージョンの話が出たり、友人と行っているAI合宿の話を共有したりしました。AI合宿は半分温泉合宿のような形で、私の友人・知人を集めてたまに開催しています。今回は草津で開催したのですが、議論が煮詰まったら温泉に入る、というスタイルです。「Vtuber用のモデルを最速で作るには、どのモデルを使えばいいか」といったお題をその場で検証してみたりもします。また、AIで作るスピードは上がっても、できたものが正しいかを確かめる検証のスピードは変わらない。そこをどう速めていくかも、合宿で話し合ったテーマの一つです。
これからのAIとエンジニアの向き合い方
――今後、AIとどう向き合っていきたいと考えていますか?
AIがあるのが当たり前の世界になっていくのは間違いないと思っています。今さらインターネットがない世界を想像できないのと同じです。VRやARは言葉としては広まったものの、現実世界にはそこまで浸透しませんでしたよね。しかし、AIは違います。昔の産業革命と同じように、AIに仕事を奪われる状況は出てくるでしょう。今生まれてくる世代にとっては、AIがあるのはずっと当たり前のことで、それが人間の仕事かAIの仕事かというバイアス自体がなくなっていく。最終的には、アウトプットそのものが良いかどうかで判断される時代になっていくはずです。
これからAI活用に挑戦する人へ
――最後に、これからAI活用に挑戦したい人へメッセージをお願いします。
車で目的地に行くとき、自分で全部運転するのか、オートクルーズに任せるのか。それと同じで、目的地やそこに行くメリットを考えるのは、これからも変わらず人間の役割です。変なところで力を消耗しない分、今までより遠く、いろんな場所に行けるようになると思います。だから、色々やりたいと思っている人にとって、AIは追い風になるはずです。
一方、自分がこれまで培ってきた「勝ちパターン」を手放すのは、簡単なことではありません。それでも変化は避けられないので、自分の立ち位置そのものを変えていった方がいい。AIと同じ土俵で競い合っている状況から、どう抜け出すかが重要です。例えば、人間がどれだけ頑張っても、コーディングの速度ではAIに勝てませんよね。
また、自分が指示をしないとAIは動かない、という状況そのものがボトルネックになってしまうこともあります。16時間AIに張り付いて指示を出し続けても、それは人間が削られているだけなんです。理想は、人間が動かなくてもAIが動いている状況。AIと1対1で張り付いてやり取りを続けると、人間の方がすり減っていきます。実際、自分自身がそうなってしまった経験があります。寝たくなくなるくらいのめり込んで、気づいたらどんどん削られて、しんどくなってしまう。そうならない距離の取り方を、自分自身これからも模索していきたいと思っています。
AIをどう使うかより先に、何のために使うのかを考える。現場で試行錯誤を重ねてきたYさんの話からは、そんな姿勢が伝わってきました。アスペアには、AI活用を後押しする制度やナレッジ共有の場があり、エンジニア一人ひとりが自分なりのAIとの向き合い方を模索できます。AI時代のエンジニアとしての働き方に関心がある方は、ぜひ一度、アスペアの話を聞きに来てください!
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