この記事は、就活生の皆さんの「ビービットの仕事は、○○業界とどう違うのか?」といった疑問への一次回答として、私たちの仕事を人事目線から端的にお伝えするものです。
目次
◤ビービットの仕事とは何か
A. ユーザが違和感を持っている状況を発見する
B. 違和感が解決された「幸せな状況」を描く
C. 幸せな状況を実現するための「鍵となる体験」を設計する
まとめ:ビービットの「UXコンサル」という仕事とは
◤ビービットの仕事は他社と何が違うか
①「SIer」と対比したビービット
②「広告」と対比したビービット
③「エンタメにおけるUXデザイン」と対比したビービット
④「他のUXコンサル」と対比したビービット
◤結び:結局、ビービットの仕事は他社と何が違うか
◤ビービットの仕事とは何か
まず前提として、私たちは「UXコンサルティング(以下、UXコンサル)」をしています。他社と違いを語る前に、その中身について簡単に説明します。
私たちがコンサル対象とする「UX」とは、ユーザ体験(User eXperience)のことです。
もともと認知科学や心理学の言葉で、ビービットでは以下の定義を使っています。
「企業・サービス・製品」と「関わるあらゆる人々」との関係を形作る「相互作用のすべて」
(UXインテリジェンス協会による定義)
抽象的で専門的な印象を受けた方もいらっしゃるでしょうか。
しかし、だからこそ、このUXという言葉だけを考えるより、そのUXを扱う「UXコンサル」とは何かの説明を進めたほうがわかりやすいかと思います。
私たちビービットの「UXコンサル」では、以下の方法論を用います。
A. ユーザが違和感を持っている状況を発見する
B. 違和感が解決された「幸せな状況」を描く
C. 幸せな状況を実現するための「鍵となる体験」を設計する
簡単に言ってしまうと「ユーザの困りごとを発見して、それに応じた改善案を提案する」コンサルティング……なのですが、それを上記のように表現するところにこそ、ビービットの強みや特徴があります。
一つずつ掘り下げていきましょう。
A. ユーザが違和感を持っている状況を発見する
ニーズではなく状況という言葉を使っているのがポイントです。
例えば「面倒を見ている子どもが泣き止まない」という困りごとがあるとします。これは単純に考えると「子どもの母親」の「ニーズ」に思えます。が、父親、兄姉、祖父母、おじおば、両親の友人、新米のベビーシッターなど、母親でなくとも同じ状況に直面する可能性もあります。
であれば、ここで考えるべきなのは「母親ならではの心理や価値観」ではなく、「子どもをうまく世話できない人が陥っている状況」ではないか――これが「状況」という言葉遣いの背景にある考え方です。
B. 違和感が解決された「幸せな状況」を描く
あえてコンサル対象の商品やサービスから離れて、「ユーザにとって一番良い状況」を考えている点が重要です。こうすることで、企業からの押し付けにならずに、ユーザの体験に寄り添うことができます。
C. 幸せな状況を実現するための「鍵となる体験」を設計する
Aで発見したユーザが違和感を持っている状況を、Bで描いた幸せな状況に変えるための体験を考えていきます。ここでも、商品やサービスよりもまず体験を考え、商品やサービスはそれを実現するための手段として捉える発想が特徴です。
しかしそれは商品やサービスが二の次だということではありません。理想の体験を実現するための不可欠な手段として、商品やサービスを作り込んでいくのです。
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まとめ:ビービットの「UXコンサル」という仕事とは
「ユーザの困りごとを発見して、それに応じた改善案を提案する」のではなく、「ある状況に置かれたユーザが、一番良い状況を体験できる改善案を提案する」仕事だといえるでしょう。
抽象的で自分とは関係ない仕事に思えるかもしれませんが、クライアントの多くが大企業であるビービットでは、皆さんの生活に溶け込んでいるサービスを扱う機会が多々あります。UXコンサルとは、目の前のクライアントの課題を解決するだけでなく、ユーザ、つまり皆さんや私たち自身の課題解決を行う仕事でもあるのです。
◤ビービットの仕事は他社と何が違うか
ここまで仕事の中身に触れてきましたが、まだまだわからない点も多いかと思います。
ここからは角度を変えて外側から、つまり就活生の皆さんから「似ているのでは?」と尋ねられる仕事との違いを通して、ビービットの説明をしていきます。
特に質問頻度の多い、4つの仕事との対比を見ていきましょう。
①SIer
②広告
③エンタメにおけるUXデザイン
④他のUXコンサル
①「SIer」と対比したビービット
「Web / デジタル領域で他の企業の支援をする」という点で、「ビービットさんってSIer(システム・インテグレータ)なんですか?」と言う方々がいます。確かに、ビービットはITシステムの企画や運用を手掛ける点ではSIerと共通するところがありますし、実際にビービットの仕事のなかで関わることもあります。
しかし、ビービットの仕事は「どういう体験が、なぜ必要か」を示す点が本質です。たとえば建物を建てる業務には、設計図を描く段階と、実際に建物を建てる段階があります。私たちがよく携わるのは、その「設計図を描く」部分です。
なので、コンサルタントとして行うメイン業務は、プログラミング等ではなく「どういう体験が、なぜ必要か」を示すものの作成、つまりPowerPoint資料やデザインの設計図(ワイヤーフレーム)の作成となります。
同じ構図はデザイン制作会社との間にもあります。そのため、Webデザインの分野でもビービットでは実際に世の中に出るWebデザインそのものを作ることより、そのデザインに必要なものを示す仕事が多いです。
②「広告」と対比したビービット
「ユーザ(生活者)目線で他社の企画を支援する」という点で、広告と似ていると考える方々もいます。確かに、それは私たちの仕事の根幹ですし、広告業界における重要な考え方でもあります。
ただ、ビービットが重視しているのは、ユーザ体験の視点から、クライアントの製品やサービスそのものをユーザや世の中にとって今まで以上に役に立つ方向に作り変えるという点です。その「役に立つ」とは何か、本当に「作り変える」意義があるのか。それを考え抜いて形にすることを、私たちは大事にしています。
③「エンタメにおけるUXデザイン」と対比したビービット
「体験を設計する」という意味で、「空間設計とか、イベント設計っぽいですね」と感じる方々もいます。確かに、私たちも案件によっては空間、イベント、アトラクションといったものに対して「どういう体験が、なぜ必要か」を決める仕事を行います。
しかし、私たちは「コンサルティング」企業であるため、アーティスティックなひらめきよりもロジカルな根拠を持った提言のほうが得意分野です。「なぜその体験にするとユーザが喜び、そしてクライアントの収益につながるか」を示すのが「UXコンサル」です。
そのため、現状は案件の割合として、アトラクションの体験等よりも日常に溶け込んだデジタルサービスの体験設計を行う案件のほうが多いです。
④「他のUXコンサル」と対比したビービット
「UX(デザイン)の分野でコンサルティングや支援をする」という企業が他にもあるなかで、ビービットはどう違うのかという質問をする方々もいます。確かに、ここまで来ると外から見える業務はほぼ同じかもしれません。
なので、2点ほどビービットのなかからお伝えしたい話をさせてください。
まず、私たちは創業当初から20年以上一貫してUXコンサルティングに取り組んできた、専門性やノウハウがあること。「行動観察調査」や「UXグロースモデル」など、私たちならではの方法論を開発してきています。
そして、その土台の上で「どういう体験が、なぜ必要か」をユーザ視点から考えていること。UXは、「こうしていれば必ず正解」という原則よりも「今回のこの状況ではこれが妥当」という例外が多い分野です。なので、「UXのセオリーだとこの体験でいいです」という知識の当てはめではなく「このユーザの視点からはこういう体験がこういう理由で必要です」と論理的に提言できることが非常に重要です。
このふたつは、私たちの大事な強みだと考えています。
◤結び:結局、ビービットの仕事は他社と何が違うか
ここまでの話をまとめると、私たちの仕事は以下のように表現できるかと思います。
「ある状況に置かれたユーザが、一番良い状況を体験できる改善案」を提案する
「その体験は、ユーザの視点からなぜ必要といえるか」を論理的に示す
と同時に、「その体験は、クライアントの収益になぜつながるのか」も示す
ここまで読んでみても、「抽象的すぎる」「専門的すぎる」と感じる方もいるかもしれません。確かに、私たちが手がけているのは企業向けの、やや抽象性・専門性の高いビジネスです。
しかし、この記事に登場した「ニーズではなく、ユーザの状況」「どういう体験が、なぜ必要か」といった表現に興味をお持ちならば、きっと私たちが向き合っている仕事にも前向きに取り組んでもらえるのではと思います。
UXに関する専門スキルは、入社後についてくるはずです。
最後に、私たちの企業理念を紹介します。
人間の心理や行動特性を探求することで、
真に役に立つ製品、サービス、
またそれらを支える仕組みを創出し、
豊かな社会の実現に貢献する
私たちの仕事は、この企業理念を実現しようとして生まれてきたものです。
「この記事を読んでも、ビービットがどんな仕事をしているのかイメージしきれなかった」という方でも、この理念にピンと来るのなら、もしかすると私たちの仕事と相性が良いのかもしれません。
ご興味があれば、お気軽にコンタクトしてみてください!
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※内容は執筆当時、2025年12月のものです
※「ビービットの仕事とは何ではないか」セクションの、対比対象のアイコンはGeminiにて株式会社ビービット大山滉介が作成しました