エンジニアなら、美しく効率的なコードを書くこと。 デザイナーなら、1pxのズレも許さないレイアウトを組むこと(ピクセルパーフェクトが最近どうなの?という議論は、また改めて)。
クリエイターにとって、目の前の「細部」にこだわることは職業的良心であり、誇りです。 しかし、私たちブランコでは、それと同じくらい「全体を見る目」を大切にしています。
今回は、ビジネスの世界で有名な「レンガ職人」の寓話をベースに、私が考える「良い仕事の定義」についてお話しします。なぜ私たちが、技術力だけでなく「視点の広さ」を持ったクリエイターを求めているのか。その理由を過去にNoteに書いたのものを再編集してお伝えさせていただきます。
町の人のためのお城を作っている
「レンガ職人の話」をご存じでしょうか?ビジネス書などでよく出てくる有名な例えです。
西洋の物語で、レンガを積んでいる3人の職人に「何をしているんですか?」と聞くと、それぞれこう答えます。
1人目は、「レンガを積んでいる」と答える。 2人目は、「壁を作っている」と答える。 そして3人目は、「町の人のためのお城を作っている」と答える。
この3人のうち、最も良い仕事をするのは、言うまでもなく3人目だという話です。
大事なのは、目の前の作業だけを見るのではなく、その背景や目的を理解しながら取り組めるかどうか。 ミクロ(細部)だけでなく、マクロ(全体)を見られるかどうかという視点です。
フリーランス時代に見つけた「視点」
僕がブランコを立ち上げた頃から、自分の中にあったのは「デザインを通して、どうやって人の役に立てるか」という視点でした。
単に見た目が整ったものをつくるだけでなく、その先にある“成果”や“行動”にどうつなげていくか。そんなことをよく考えていました。
もちろん、最初から明確なビジョンがあったわけではありません。ただ、ひとつひとつの案件を通して、お客さんの声を聞き、状況を整理し、自分にできることを真剣に考えるうちに、少しずつ見えてきたような気がしています。
当時の私には「組織を大きくしよう」なんて気持ちはまったくありませんでした。むしろ、前職で父の会社に在籍していた経験から、「組織なんてもう嫌だ」と思っていたくらいです。
ただ一方で、その経験があったからこそ、仕事を進める中で「これはビジネスとして成立するのか?」という視点を自然に持つことができたのだと思います。
クライアントの「その先」を想像する
たとえばWebサイトを作る時に、「この問い合わせ導線だと、たぶんユーザーが迷う」とか、「この見せ方ならきっと商品が動くはず」とか、そんな会話をクライアントとたくさんしていました。
それは納期やスケジュールの話でも同じです。 フリーランス時代は、ひとりで何でもかんでも対応していたため、希望された納期に間に合わないかもしれないときでも、ただ「無理です」と断るのではなく、「この機能の実装をフェーズ2に回せば、コア部分は納期に間に合いませんか?」といった妥協策を探る交渉をしていました。
自分の都合だけで判断するのではなく、お客さんがその先どう困るかを考えて行動する——そういう姿勢を、今思えば当時から意識していたように思います。
つまり、目の前のレンガを積みながら、「このレンガの先にある町の景色」を常に想像しようとしていたのです。
ミクロとマクロ、両方を往復する
エンジニアにとってのコード品質や、デザイナーにとってのタイポグラフィの美しさ。そうした「ミクロ」な細部にこだわることは、プロとして絶対に必要です。
でも、その先にある「クライアントの目的」や「事業の成果」という「マクロ」にまで思いを巡らせることができれば、アウトプットの質はもっと高くなります。
クライアントとしっかり話す。ただ言われた通りの仕様で作るだけでなく、「こうした方が目的を達成できる」と提案する。その積み重ねが、信頼を生み、結果として自分たちのクリエイティブの価値にもつながっていくし、その信頼がきっかけとなり自分たちがやりたい仕事が自然と舞い込んできます。
日々の忙しい業務の中で、ふと立ち止まってみる。 「自分はいま、何のためにレンガを積んでいるのだろう?」 「このコードやデザインは、どんな城の一部になるのだろう?」
そんなふうに視点を広げてみる時間が、クリエイターとしての成長には大事なんじゃないかなと思います。
「作業」を超えて、「創造」をする仲間へ
ブランコが求めているのは、まさに「3人目のレンガ職人」のような視点を持ったクリエイターです。
私たちは、クライアントから言われたものをただ納品するだけの制作会社ではありません。ブランディングという手法を用いて、クライアントの課題を解決し、その先のユーザーに価値を届けるパートナーです。
「ただ手を動かすだけの仕事には飽きた」 「自分の作ったものが、ビジネスや社会にどう貢献しているか実感したい」
もしそう感じているなら、私たちの環境はきっと刺激的です。 ミクロな職人芸と、マクロなビジネス視点。その両方を武器に、一緒に「いい城」を作りませんか?
興味を持ってくださった方は、ぜひ「話を聞きに行きたい」ボタンからエントリーしてください。まずはカジュアルにお話ししましょう。