先週も、CNBにとって実りの多い一週間でした。
水素事業では大きな可能性を持つ新規のお客様との商談があり、ワイン事業ではようやく商品が日本に到着して通関を終え、ECサイトの設計もほぼ固まりました。
そんな中でも、記録に残したいのは、アメリカから取引先のアイザックが来日したことです。
アイザックはニューヨーク生まれ、イスラエル育ち。現在はニューヨーク州北部を拠点に、健康・ライフスタイル関連の商品をアメリカだけでなく、ヨーロッパ、南米、中東などでも販売しています。
私自身、ウォール街で働いていた頃から、ユダヤ人の上司や知人が何人もいました。しかし、アイザックほど日々の生活の中でユダヤ教の戒律を大切にしている人と、これほど長く、深く付き合ったのは初めてです。
中国内陸の山奥で、食べられるものがない
以前、私たちはアロマ原料を探すため、一緒に中国内陸の山奥まで行ったことがあります。
当然ながら、周囲にはコーシャ対応のレストランなどありません。
コーシャ(Kosher)は、ユダヤ教の食事規定です。
食材そのものだけでなく、調理器具や肉・乳製品の扱い、調理方法など、食事が作られるプロセスにも細かなルールがあります。
例えば、果物そのものには通常大きな問題はありませんが、カットされた果物の場合、「どの包丁で切ったのか」が問題になることがあります。
私はせっかく中国の地方まで来たのだからと、現地の料理を次々と楽しんでいました。一方のアイザックは、持参したコーシャ対応のスナックや、自分で安全を確認できる果物などを食べて過ごしていました。
「そこまで徹底するのか」と驚いたことを覚えています。
東京にはハラル対応の飲食店や精進料理店が数多くありますが、厳格なコーシャに対応したレストランとなると私が知る限り、一店舗だけです。
そこでアイザックが東京に来ると、私が毎晩のように付き合うのが、白金にある「David's Deli Kosher」です。
ファラフェルやフムスを食べながら何晩も話をしているうちに、私は少しずつ彼の家族、宗教、そして仕事に対する考え方を知るようになりました。
「デジタルデトックス」を何千年も前から?
アイザックと付き合っていて強く感じることの一つが、彼の家族との結びつきの強さです。
彼の父親には10人の子どもがいて、アイザック自身も4人の子どもの父親です。そして来週には、25歳になる次男の結婚式があります。
もちろん、これは「ユダヤ人はみんな大家族」という意味ではありません。ただ、アイザックの家庭や彼が属するコミュニティでは、結婚や家族との時間が非常に大切にされています。
その象徴の一つが、シャバット(安息日)です。
金曜日の日没から土曜日の日没後まで、仕事から離れ、スマートフォンやパソコンなどの電子機器も使わず、家族や信仰のために時間を使います。
料理もシャバットが始まる前に準備します。シャバット中は祈り、食事をし、家族や友人と話しながらゆっくりと時間を過ごします。
私たちは最近になって「デジタルデトックス」という言葉を使うようになりましたが、彼らの生活を見ていると、それに近い時間の使い方がずっと昔から伝統の中に組み込まれていることに気づかされます。
仕事やスマートフォンから強制的に離れ、家族との時間をつくる。
アイザックの話を聞くたびに、「日本や中国の家族や親戚も、これくらい強くつながっていられたらいいな」と少し羨ましく思います。
東京のレストランで、次々と知り合いに出会う
今回の来日初日の夜も、David's Deliに行きました。
すると、高校時代からの知り合い、親戚関係にある大阪からの訪問者、さらにアメリカから来ていた姪御さんまで——次々とアイザックの知り合いに出会いました。
「また知り合い!?」
私は横で見ながら笑っていました。
誰かが店に入ってくるたびに、アイザックの顔がぱっと明るくなります。
宗教というと「戒律」や「禁止事項」に目が行きがちですが、彼と一緒にいると、信仰が人と人とのつながりやコミュニティをつくるものでもあることを実感します。
頭の上には、自分より大きな存在がいる
ユダヤ教にはさまざまな宗派や、信仰・戒律との向き合い方があります。
その中でもアイザックは、かなり厳格に戒律を守りながら、同時に世界各地でビジネスをしている人です。
ある時、私は彼がいつも頭にかぶっている小さな帽子について尋ねました。
「これは何のため?」
キッパ(kippah)と呼ばれるもので、彼は私に、
「自分の上には神がいる、ということを忘れないためだ」
と説明してくれました。
ビジネスで利益を得られることも、自分一人の力だけで成し遂げたものではない。
だから彼は、自分の収入の10%以上を継続的に慈善活動に回しています。健康であること、家族がいること、友人がいること、そして仕事があること——彼と話していると、そうした一つひとつに対する感謝の言葉がよく出てきます。
契約書より、握手のほうが重い
アイザックは、長年にわたるCNBの大切な取引先でもあります。
支払いが遅れることはほとんどなく、一度約束したことは守ります。
以前、ある商品について、途中から「この条件では自分が損をする」と分かったことがありました。
私は当然、条件について改めて相談するものだと思いました。
ところが彼は、そのまま買い続けました。理由を聞くと、「約束したから」。
彼の父親から、「握手は、どんな契約書より重い」と教えられて育ったそうです。
もちろん、ビジネスですから契約書は必要です。
それでも、何年も一緒に仕事をしていると、最後にものをいうのは契約書の文章だけではなく、「この人なら約束を守る」とお互いに思える信頼なのだと感じます。
「面倒だけど、いい奴だ!」
もちろん、いつも美しい話ばかりではありません(笑)。
アイザックはものすごく情熱的です。
その一方で、とにかく頑固。そして時々、かなり大雑把。
長年付き合っていると、「もう勘弁してくれ!」と思うことも一度や二度ではありません。
だから私は、彼のことを人に紹介するとき、よくこう言います。
「アイザックさんは面倒だけど、いい奴だ!」
そして結局、私は彼をできる限り応援したくなります。
彼には今、日本でどうしても仕入れたい商品があります。
ところが、そのメーカーとは契約条件について根本的な考え方の違いがあり、なかなか話がまとまりません。
普通なら、とっくに諦めているかもしれません。
しかし、交渉を始めてからすでに1年以上。アイザックはまだ諦めていません。
そして今回の東京訪問でも、再び私と一緒にその会社を訪れ、商談をしました。
結果がどうなるかは、まだ分かりません。
でも、何年も彼を見てきた私は知っています。
彼は簡単には諦めません。
そして私もまた、
「面倒だけど、いい奴だ!」
と言いながら、彼が日本と世界をつなぐ仕事を、これからもできる限り応援していきたいと思っています。