創業10周年を迎えた株式会社shabell。代表の守岡へのインタビュー記事、第2回では経営者としての価値観や自身の大切にしているスタンスについて根堀葉掘り聞いてみました。(全3回連載/第2回)
※本人希望により顔出しNGです。ミステリアスで居たいらしいw
第1回はコチラから
10年間で一番ダサかった意思決定とは。
ーーこの10年、たくさんの挑戦と失敗があったと思うけど、守岡さんの中で「これが一番ダサかったな」と振り返って感じる場面ってある?
守岡: あるね。今振り返ると結果的には良かった部分もあるんだけど……
1期目から3期目までは自分の昔の繋がりや積重ねてきた経験値でなんとか走っていて、4・5・6期目で会社を変えていかなきゃいけないフェーズで資金調達をした時の判断かな。
ちょうどその後にコロナが来たから、資金調達をして資金を確保していたことで助かった部分はたくさんあったから、結果として正しい判断ではあったんだけど、その「資金調達のプロセス」がイケてなかった。
ーー具体的にどこがイケてなかったの?
守岡: 事業そのものの魅力や将来性に投資されたわけじゃなかったんだよ。
完全に「守岡一平」という人間性や人柄、ご縁だけで投資してもらった。
「会社の承認欲求を満たしたい」「社会から評価されたい」と言っている本人が、事業じゃなくて自分自身を評価されてお金を集めていた。自分の人柄でしか資金調達できていない実態が、振り返ると一番ダサかったし、期待に応えきれていないんじゃないかという葛藤もあって、経営者として一番しんどかった時期だったね。
「儲かりそうだから」では動かない。
ーー創業からずっと新規事業を模索し続けてきたけど、守岡さんの中で譲れないものがあるなって一緒にやってて思うんだよね。
守岡: ……変な話なんだけど、人材業界の中でも「めちゃくちゃ儲かるぞ」って話は同業や知り合いからもたくさん聞くことはある。
どこも人手不足だから、やり方次第でいくらでも儲ける方法はあるんだと思う。
だけど、儲かることだけを重視して事業をつくりたくないという、自分の中の妙なこだわりがあるんだよね。
ーー儲かるだけじゃイヤなんだね。
守岡: もちろん労働力不足で困っている業界や企業を助けるのが人材業界だし、否定するつもりは全くない。でも、そういった事業の在り方は、どこかで「弱い立場の人を利用して掠(かす)め取っている」ように見えてしまう瞬間があって。
空いている穴をただ埋めるような方法ではなく、キャリア教育の課題に注目したり、採用手法の選択肢を増やすことにこだわるのは、「ただ金を儲けたいから起業したわけじゃない」という根底があるからなんだと思う。
1周回って「営業力が最重要」。偏差値55の人間力を磨け
ーー10年やってきて、プラットフォーム化の難しさや失敗も経験した上で、今のshabellの軸は「営業が強いこと」に原点回帰してるよね。
守岡: そう。10年前は「プラットフォームを作った会社が勝つ」と言われていたし自分でもそう思っていたけれど、今は泥臭く営業で利益を出せる会社の凄さが身に沁みて分かる。1周回って「結局、世の中は営業力だな」と素直に認められるようになったのも、大人になった部分かもしれないな。
ーー守岡さんの言う「営業力」って、具体的にどういう能力のことですか?
守岡: 一言で言うなら「人間力」なんだけど。それは物凄くデキる人のことじゃなくて。 俺はよく「人間力の偏差値が55の人」って表現するんだけど、当たり前のことを当たり前にできる普通さ、誠実さのことなんだよね。
普段仕事で対峙する相手は、企業の経営者や人事の方たちで、頭の切れる(偏差値70みたいな)優秀な人たちが多い。そこにこっちも尖った理屈でぶつかってもうまくいかない。 偏差値55の柔軟さと人間味を持って、相手が「困っている課題」「面倒くさいと感じていること」に逃げずに泥臭く向き合えるか。それこそが最強の営業力だし、うちの会社が10年生き残ってきた一番の武器なんだと思う。
📝 ヘレンの編集後記
この10年新しい事業に取り組んでは失敗を繰り返してきた。けれどもそのどの事業も、「こうしたらもっと就活が楽しくなるんじゃないか」「これがあれば楽しく働き続けられる人を採用できるんじゃないか」という想いから取り組んできたものばかり。
これまで1度として「これやったら儲かりそうだから」という理由で事業を始めたことはなかった。
そういった点ではどこまでいっても彼は営業で、株主やクライアントとの信頼関係に一番敏感なのだ。上手く行かない時こそ逃げずに向き合い続けること、それを愚直に続けてきたからこそ10年続けて来られているのだ、と心の底から思う。
次回、最終回(第3回)は、人・組織への想いと未来の野望について伺います。
(第3回へ続く……)