みなさんこんにちは。 Enagic株式会社 代表の大友拓海です。
このストーリーを初めて読んでくださる方もいるかと思いますので、まずは簡単に自己紹介を。
弊社、Enagic株式会社は、長崎発の地方アップデートカンパニーです。
「ホームページ制作 × 生成AI」と「民泊事業」の2軸を起点に、地方企業の集客・採用・経営課題に伴走しています。
私自身は北海道生まれ。新卒で野村證券に入社し、長崎に配属されたことが、長崎との出会いでした。その後、東京のIT企業でマーケティングを経験したのち、Enagicを創業しました。
創業時の想いについては、こちらのnoteもあわせてご覧いただけると嬉しいです。
▼【ご報告】長崎で起業しました。

【ご報告】長崎で起業しました。|大友拓海/Enagic株式会社・代表取締役
▼会社の詳細は、コーポレートサイトに。
長崎のホームページ制作・生成AI・民泊|Enagic(エナジック)
目次
早いもので、2024年11月に起業してからすでに2期目を経過しました。
1年半の歩み。正直に書きます。
地方で会社を立ち上げるというのは、想像していた何倍も、重く、しんどい現実の連続でした。
眠れない夜、胃腸炎で2週間寝込んだ日々、口座残高を見て冷や汗が止まらなかった月末。 資金繰り、組織づくり、事業の積み上げ。どれも、すぐには思い通りに進みません。 何度も、心が折れかけました。
それでも、私はこの場で勝手に宣言します。
弊社は、これから10年で100億円の売上を目指します。
冗談でも、勢いでもありません。本気です。
なぜ、まだ売上数千万の地方の会社が、そんなことを言うのか。 1年半の歩みと、その先に見えている景色を、順を追ってお伝えします。
この1年半で、やってきたこと
起業当初は、これまで培った営業・マーケティングスキルを活かしたコンサルティングで食いつぐ日々。 ただ、起業半年後には「社長に依存しない事業化」へと、大きく舵を切りました。
早期からデッドでの調達に踏み切り、個人資本から脱却したレバレッジのかかる経営を志向。 創業初期から累計1,200万円規模のデッド調達を実行し、キャッシュを回しながら攻めの経営を続けています。
メンバー集めにも、初めから拘りを持っていました。 起業初期によくある「業務委託メンバー中心」の組織体制は、絶対にとらない。
そう決めて、ここまで組織を育ててきました。 (具体的なエピソードは、後ほどお話しします。)
有難いことに、1期目の最終月に1名、2期目1ヶ月目に1名の正社員雇用を実現。 業務委託メンバー1名にも、正社員オファーを出させていただきました。
組織の輪郭が少しずつ整ってきたこともあり、年商は今期、着地見込み3,000万円。5,000万円も現実的に狙える範囲まで拡大してきています。
正直に書く、しんどかった3つの話
ここまで読むと、なんだかんだ順調そうに見えるかもしれません。 でも、本当のところ、この1年半は何度も心が折れかけました。 まずは、しんどかった話を3つ、書き残しておきます。
■ 忙しすぎて、離婚危機騒動
起業初期、最初に直面したのが「忙しすぎる」問題でした。
最初は一人で始めたので、会社にあるタスクは、まるっと社長の私がこなすしかない。
メンバー採用、経費精算、請求書・領収書の管理などの経理業務。
営業活動として、交流会での名刺交換、SNSでのDMアプローチ、メールDM、テレアポ、イベント・セミナーの企画、会食を通じた営業活動。
そこに加えて、制作やコンサル案件のPM、つまりプロジェクト推進も全部私の仕事。さらに、事業計画書を作成して銀行と資金調達の話を進める。
すべて自己裁量、自分次第。 ただ、特に営業活動は、やり続けないと食べていけない。手を止めた瞬間に、売上の蛇口が閉まる。
そのプレッシャーを常に背負いながら、毎日、全力疾走を続けるしかありませんでした。
人生で一番仕事をしたなと思う週が、毎週更新されていく感覚。 一人では到底捌けないので、業務がずさんになる場面や、胃腸炎で2週間寝込むなど、心身ともに限界を突破していた時期もありました。
当時の取引先の皆さまには、一部ご迷惑をおかけしたかもしれません。改めてお詫び申し上げます。
そうこうしているうちに、妻が臨月に差し掛かる。
ある先輩経営者から「妻の出産中に商談で一瞬抜けて、後から義母に怒られた」というエピソードを聞いたことがあったので、流石に同じことはしないようにと心がけていました。
......が、後から妻に聞くと、「同じ感じだったよ」と言われる始末。笑
一人で全部抱え込んでいた分、妻にもかなりのストレスをかけてしまったこと、本当に反省しています。
それでも大きな器で支えてくれた妻には、感謝しかありません。
こんな状態で一人でやっていると、会社を大きくしていく未来が、まったく見えませんでした。 ベタですが、「遠くへ行きたければ、みんなで行け」という言葉があります。社員を雇用し、組織で事業を作っていく覚悟を決めたのは、ここがきっかけでした。
■ 初の大型受注!のはずが、200万円の大赤字案件
一人で全部やっていた頃から販売していたWebサイト制作。
今でこそ会社の柱事業に育っていますが、当初は販売価格や卸値(業務委託メンバーへの発注価格)のバランスが手探り状態でした。
会社員時代、MQ会計を体験的に学ぶ経営研修に参加したことがあって、「これは使える」と思い、本を読み漁って販売価格を組み立てていきました。
経営は売上よりも粗利が大事、という考え方。会社全体の固定費・原価から逆算して、売値を考えていく。本気で起業したい方には、強くおすすめしたい一冊です。
そうやって手探りで売値を決め、原価を抑え、営業して、無事に受注。
しかも、当時の最高値・100万円。
家に帰ってから嬉しくて、妻に2〜3時間くらい受注までのエピソードを語った記憶があります。
ところが蓋を開けると、要件定義が仕切れていない部分がかなり多かった。 業界特化、かつデータベースまで構築する案件で、後から「実装できる/できない」がどんどん出てくる。
最初のルールを明確に決めていなかったので、先方からは修正依頼が無限に発生。
追加費用を相談しても「最初に言ってなかったじゃないですか!!」と理解いただけず、かなりの炎上案件に。
結果として、納品まで約1年。原価だけで90万近く、社内稼働費も加味すると、200万円近くの赤字案件になりました。 PMを任せていた業務委託メンバーも精神的なダメージを受け、辞めてしまいました。 社内工数も、私の脳内リソースも削られ、会社全体にダメージがかかる状態に。
今となっては、こうした案件は300万円以上で受注すべきだと、適正価格が見えてきました。 販売価格を、市場感や一般的な仮説で設定すると事故る。
これが何より大きな学びです。 自社の規模感、ノウハウやリソース、市場感と照らし合わせて設定する必要があります。
そして、この炎上案件も、最終的には社員が入ってコミットしてくれたことで、なんとか納品まで辿り着けました。
一人では、絶対にできなかった。本当に、感謝しかありません。
また、この一件は組織のあり方について、自分なりの確信を生むきっかけにもなりました。
事業を進めていれば、必ず「宙に浮いたボール」が出ます。
誰の担当でもないけれど、誰かが拾わないと前に進まないボール。
これを当たり前のように拾い、自ら考え、学び、ノウハウを蓄積して動ける人間。社内のブレインでありハブとなる存在は、契約範囲で動く業務委託にはどうしても担いきれない。
業務委託メンバーが悪いわけではありません。契約という性質上、どうしても範囲外の課題に踏み込みにくい構造がある。
だから、業務の最上流工程と下流工程は業務委託で回すこともある。けれど、上流〜中流の中核は、必ず正社員で固める。これが、私の中で譲れない一線になりました。
■ 3ヶ月後にキャッシュアウト。倒産危機到来
2025年11月以降、正社員2名、固定業務委託メンバー2名、案件ごとの外注費、その他経費。固定費を一気に抱えるようになりました。
気がつけば毎月の支払いが100万、150万、200万と膨れ上がり、あっという間に口座残高が減っていく。
冷静に考えればシンプルで、社員を雇用した瞬間に、その月にその分の売上が立つわけではない。
だからこそ、それなりにキャッシュを潤沢にしておく必要があった。当時の自分は、そこの読みが甘かったのだと思います。
それでも、経営とは不思議なもので、「このままだと、もうダメだ......」と思った日に、新規受注が決まったり、大きなご相談をいただけたり。 幸運にも恵まれて、なんとか倒産危機を脱出。
少しずつ、受注サイクルが安定してきました。
大事なのは、行動し続けること。
まいたタネは、半年後に実る。
そんなことを、身をもって実感しています。
一方で、やっておいて良かった2つのこと
しんどい話ばかりだと寂しいので、逆にやっておいて良かったことも書き残します。 どちらも、Enagicの「今」を確実に支えてくれている取り組みです。
■ 起業初期からの、自社ホームページ制作とSEO対策
これは、起業初期からの取り組みで「本当にやっておいて良かった」と心から思えることのひとつです。
弊社では起業初期から、自社ホームページの作り込みに本気で投資しました。
コンテンツ記事の作成、被リンク獲得営業、内部対策などのSEOも徹底的に。 記事作成は外注も活用しつつ、最初の半年間で合計150万円ほどをWebサイトに注ぎ込みました。
東京のIT企業でマーケティングをやっていた時代、広告バナー、LP、イベント集客の現場で、「クリエイティブひとつでCV率が何倍も変わる」という世界を肌で感じてきました。
市場ドメインは地方中心とはいえ、この感覚や価値は変わらない。 だからこそ、初期からお金と労力を惜しみませんでした。
そしてこれは、いま私たちがWeb制作を提供しているお客様への価値貢献にも、そのままつながっています。
当たり前のことですが、営業や紹介で認知を取れた瞬間、相手は必ず企業のサイトを調べます。 これは採用も全く同じで、応募を検討している方ほど、Webサイトを隅々までチェックしている。
そこで「何をやっているのか分からない」「イケていないサイト」だと、読む気が失せる。
逆に、しっかりとしたサイトが置かれているだけで、信頼感は確実に上がります。
実際、起業初期に行政や銀行の方と会話した際、「若いのにしっかりしている会社なんですね」と好評いただいたことが何度もあります。
それくらい、Web上の見た目は、軽視できません。
メラビアンの法則という有名な研究がありますよね。
人がコミュニケーションで判断する情報のうち、視覚情報が55%を占めるというもの。
オフラインの話ではありますが、Web上でも同じことが言えると思っています。
そして、SEO対策の効果もしっかり出てきています。
「長崎 民泊代行」で検索1位、「長崎 ホームページ制作」でも上位4位を獲得。
ここから、毎月10件規模の商談が安定的に入ってくる仕組みが出来上がっています。 これは、紛れもなく会社の資産です。
最近はAIで検索する人も増えていますが、そのAIが参照している元情報は、結局のところWebサイトそのもの。 Webサイトが育っていなければ、AIにも拾われない。 むしろ、対策していない企業が埋もれていく時代に入っていると感じています。
そして、自社での成功体験こそが、いまお客様に対して提供しているWeb制作の最大の説得材料になっています。 教科書的な理論ではなく、実体験に基づくノウハウとしてお渡しできる。ここは、Enagicの強い差別化ポイントだと思っています。
■ 起業初期からの、採用への振り切った投資
そしてもうひとつ、初期から振り切って取り組んできたのが、採用です。
弊社はビジョナリーカンパニー。「地方を開国せよ」というミッションを実現するために存在する会社です。 そんな想いを、note・X・Facebookでひたすら発信し続けました。
時にはXでめぼしい方を見つけてDMでアプローチしたり、知り合い経由で紹介してもらったり、手段を選ばずに動きました。
採用に踏み切ると決意した当日からWantedlyを契約。月6万円から、半年契約で36万円。
決して安くない金額ですが、ここは思い切って踏み切りました。 業務委託メンバーのストーリー記事や、私の想いを綴ったメッセージも、コツコツ発信し続けてきました。
先述のWebサイトの話にもつながりますが、実際に入社してくれたメンバーの一人は「サイトを見て、しっかりしている会社だと感じた」と思って応募に踏み切ってくれたそうです。Web上の見え方への投資が、採用にもしっかり効いている実感があります。
その甲斐あって、起業1年目の後半で2名の正社員採用を実現。
これは、会社の財産です。
先述の資金繰りの話にもつながりますが、資金にそこまで余裕がなくても、良い人、一緒に未来を作りたいと思える人がいれば、採用に踏み切る。
私自身、採用は生き物だと思っています。良いと思った方がいたら、そこまでお金を考えずに採用したほうが良い、というのが起業初期の持論です。
何者でもない人が、何者でもない会社に入りたいと思うことは、稀。
だからこそ、一緒に働きたいと思った方にアプローチしないことの方が、機会損失だと考えています。
そして、こうして繋がってくれた仲間は、本当に優秀なメンバーばかり。
大手企業を辞めてEnagicに来てくれた仲間もいます。
彼ら・彼女らがいなければ、Enagicは今頃、倒産していました。本当に。
まだ何者でもない会社、まだ整っていない環境、それでも私のミッションに共感して共に歩んでくれている。 このことに、改めて、心から感謝しています。
育ってきた、2本柱の事業
しんどい話もやって良かったことも、すべてひっくるめて、現在Enagicは Webサイト制作事業と民泊事業の2本柱に育ってきました。
ひとつめが、Webサイト制作事業。
集客や採用拡大など、マーケティング思考でクライアントの課題を整理・言語化し、「成果が出るサイト」として好評をいただいています。
単なる制作会社ではなく、AIを実装した「次の時代のWeb」を作っているのが特徴です。
もうひとつが、民泊事業。
元々運営していた1棟に加え、長崎でも直営2棟目を開業。 長崎の物件は開業1.5ヶ月で累計売上400万円(年間1,000万円ペース)と、自らリスクを取り続けて、地肉となるノウハウを蓄積してきました。
そのノウハウをもとに、オーナー様の開業支援・運営代行を6棟手がけるまでになっています。
おかげさまで、2事業ともに着実に育ち、2期目は着地見込み3,000万円。5,000万円も現実的に狙える範囲まで拡大しています。
ここまでが、地方で起業した1年半の、嘘のないリアルです。
では、なぜ私たちはこんな苦労をしてまで、この2つの事業を選び、地方で起業しているのか。
そして、なぜ、この規模感から10年で100億を本気で目指すのか。
ここからは、その理由をひとつずつ書いていきます。
なぜ、その2つの事業なのか
ここで、よく聞かれます。
「で、なんでその2つなの?」
これからお話しする100億円構想にもつながるのですが、私の中で起業時から大切にしている、なんなら事業のポリシーとして掲げているテーマがあります。
「地方の眠れる資産(アセット)を、DX × マーケティングで再生する企業」
この一行に、Enagicという会社のすべてが詰まっています。
- 地方の遊休不動産(民泊事業)、すなわち観光資産の再生・アップデート
- 地方の中小企業(Web制作)、すなわち顧客接点の再生・アップデート
業種だけ見るとバラバラに見えるかもしれません。 でも、その奥には、もっと深い構造があります。
三位一体の構造
私たちの2事業は、独立しているようで、実は一本の太い導線でつながっています。
その中心にあるのが、地方のオーナー社長との関係。
ここを軸にして、Web制作と民泊開業支援という2つの事業がそれぞれ違う役割を担っています。
ひとつの柱はWeb制作。オーナー企業の顧客接点と集客を再構築する、いわば「収益化」のレイヤー。
もうひとつの柱は民泊開業支援・代行。眠っている不動産を観光資産として活かす、「資産化」のレイヤー。
「地方オーナーとの関係 × 収益化 × 資産化」。 この三つが噛み合うことで、Enagicは単発の取引ではなく、企業全体に深く入り込むパートナーとして機能します。
そして、その関係性がさらに深まれば、次のレイヤー、すなわち「事業承継」「経営参画」へと自然につながっていく。
つまり、Web制作も民泊も、それ自体がゴールではありません。
地方オーナー企業の中枢に深く入り込むための入口であり、最終的に企業そのものの再生にコミットしていくための強力な武器です。
Enagicのミッション「地方を開国せよ」
そして私たちは、この事業群の根底に、ひとつのミッションを掲げています。
「地方を、開国せよ。」
明治の開国が国家の形を変えたように、いま日本の地方は、もう一度「開かれる」必要があります。
眠っている技術、閉じている顧客接点、内に籠もったままの優れたブランド。 これらを世界とつなぎ、次の時代の文脈に乗せる。それが、令和の開国です。
衰退ではなく、開国。 保護ではなく、解放。
地方は、起こされる時を待っている。
それを、自分たちの手でやる。 これがEnagicの存在意義です。
地方の眠れる「ポテンシャル」
少しだけ、数字の話をさせてください。
日本には、約336万社の中小企業があると言われています。 そのうち、社長が60歳を超え、かつ後継者が決まっていない企業は、半数近く。 俗にいう「2025年問題」では、黒字でありながら廃業の可能性がある会社が127万社にのぼると試算されています。
これは、日本の中小企業全体の約3社に1社、およそ38%にあたる規模感です。 このまま廃業が進めば、約650万人の雇用と、およそ22兆円のGDPが失われる可能性も指摘されています。
これを「衰退」と捉えるか、「機会」と捉えるか。 私は、間違いなく後者だと思っています。
地方には、
- 数十年積み重ねてきた優れた製造技術
- 代々続く顧客との深い信頼関係
- 地域インフラを支えてきたブランドと歴史
が、確かに残っています。
ただ、それが現代の言葉で語られていないだけ。 ただ、デジタルの文脈に乗せられていないだけ。 ただ、次の世代へと橋渡しされていないだけ。
「眠っている」とは、そういうことです。
潰れているわけでも、失われているわけでもない。 ただ、開かれていない。
Enagicでやりたいのは、その「開き方」を仕組みにすることです。
なぜ、Enagicがそれをやるのか
「で、それは別にEnagicじゃなくてもいいんじゃない?」 こう問われたら、正直に答えます。
東京の大手コンサルがやってもいい。
地方の老舗が、自前でDX投資をしてもいい。
でも、現実にはどちらも進んでいません。
理由はシンプルで、両者の「言語」が違いすぎるから。
東京のIT企業は、地方の文脈を知らない。
地方の長く続く会社は、最新技術にアレルギーがある。
両者の通訳ができる人間が、圧倒的に足りていない。
その両者の通訳を、なぜ私がやれると思うのか。
少しだけ、自分自身の話をさせてください。
私個人の原体験
私は、北海道の地方生まれです。 地元は、2008年に洞爺湖サミットが開催された地域。 小学生の頃、第一次安倍内閣の頃だったと思います。
安倍総理(当時)が地元を訪れた際、地元小学生との対話コーナーがあって、そこで実際に言葉を交わしたことを、今でも覚えています。
周辺はジオパークにも認定されるなど、小さい町ながら、私自身が地元として誇りに思っていた地域でした。
ただ、ちょっと路地裏に入るとシャッター街。潰れていくお店も少なくなかった。
良いものが、良い場所が、輝かないままで終わっていく。 「これは、もったいない」 子供ながらに感じたあの感覚が、私の原体験です。
転機は、新卒で入社した野村證券時代。 配属先は、長崎。
ここで担当させてもらった地方オーナー社長たちから受けた衝撃は、今も鮮明に覚えています。
まず驚いたのは、地域社会や行政におけるプレゼンスと影響力の大きさ。 そして、内部留保や経営基盤の強さです。
正直に書きますが、上場する力は十分にあるのに、あえて戦略的に上場しない超優良企業が、地方には本当にたくさんある。 目立っていないだけ。表に出ていないだけです。(そもそも、派手に目立つメリットが少ない企業が多い)
さらに衝撃だったのは、「地方の有力企業こそが、日本のインフラを支えている」という事実。
私たちが普段なにげなく利用しているホテル、ファミレス、フィットネスジム、コンビニ、ガソリンスタンド、自動車ディーラー。
そのかなりの部分が、地方の有力オーナー企業がFC展開を担っているからこそ、全国どこにいても同じ水準のサービスを受けられている。
地元で雇用を生み、若者を育て、地域経済を回し、その上で全国規模のチェーンの担い手にもなっている。 こうした覚悟、責任感、存在意義の重み。 東京の本社オフィスからでは、絶対に見えない現実です。
20代前半でこの「経営の本質」を肌で知れたことは、今のEnagicの土台になっています。
加えて、義理の実家も長崎で建築関連の会社を営んでいます。 公私の両面から、地方企業のリアル、その魅力も抱えている課題も、ずっと見続けてきました。
こんなに素晴らしい技術、信頼、ブランドがあるのに、人が足りない。若手が入ってこない。 集客や営業のやり方が、何十年もアップデートされていない。 デジタルやAIを、どう活用すればいいかわからない。 そんな課題が積み重なって、せっかくの強みを未来へつなげられない会社が、本当にたくさんある。
この現実が、ずっと頭から離れませんでした。
そして、この現実への私なりの答えが、Enagicという会社です。
社名「Enagic」に込めた想い
社名の「Enagic(エナジック)」は、
- Energy(活力)
- Action(行動力)
- Innovation(革新)
この3つを掛け合わせた造語です。
ただエネルギーを注ぎ込むだけで終わらせない。 それを持続的に循環させることで、地方全体が活性化するエコシステムを構築したい。
「革新」をキーワードに、地方企業が新たな価値を生み出し、強い地方企業へと変革していく未来を創り出す。 それが、Enagicの目指す姿です。
そしてもう一つ、私が経営の根っこに置いている思想があります。 渋沢栄一の「論語と算盤」です。
道徳と経済。理念と利益。
この二つは、両立しないと続きません。
利益だけを追えば、地方の信頼は得られない。
理念だけでは、事業は続かない。
どちらか一方ではなく、両方を回し続ける。 日本の近代経済を作った渋沢栄一の哲学は、まさにいまの地方再生にも当てはまると、私は本気で思っています。
Energy・Action・Innovationの土台に、論語と算盤がある。
これが、Enagicという組織のOSです。
100億への具体ロジック「10億円の会社を、10社束ねる」
ここから、構想の「数字の裏側」を開きます。
先述の通り、地方企業の事業承継問題は、想像以上に深刻です。
そして、私自身が社長業として様々な地方オーナー社長と向き合う中で、こんな言葉を実際にいただくようになりました。
「大友君、いつかうちの事業、手伝ってくれないかい?」
「大友君が経営層にいてくれたら、安心して任せられるんだけどな〜」
最初は、社交辞令だと思っていました。 でも、回数が重なるうちに気づいたんです。
これは、社交辞令ではなく、SOSだと。
跡継ぎがいない。 身内に継がせるには、時代の変化が早すぎる。 かといってM&Aの相手は、自社の文化を理解してくれそうもない。 そんな経営者が、本当にたくさんいる。
起業当初の自分の想いを遡ってみても、まさにこの領域こそ、自分が使命を全うする場所だ。 そう次第に確信するようになっていきました。
構想の中身
100億円という数字を、単一事業で達成するのは現実的ではありません。 たどり着いた答えは、シンプルです。
「10億円企業を、10社束ねれば、100億円になる。」
これだけです。
地方には、年商10億円規模で安定している優良中小企業が、無数に存在します。 製造業、食品、観光、不動産、物流、サービス。 業種は様々ですが、共通する課題があります。
- 後継者がいない
- DX化が進んでいない
- 自社のブランドを言語化できていない
- 採用や集客に苦戦している
そして、これらの課題を解決していく「武器」が、私たちにはすでにあります。
100億への道のりは、突飛な飛躍ではありません。
あくまでも、いまあるWebサイト制作と民泊開業支援の2事業を、徹底して磨き込んでいく延長線上にあります。
集客のノウハウ、AIを実装したWeb制作の生産体制、自らリスクを取って学んだ民泊運営の知見。
今の事業の生産体制、組織体制、ノウハウを軸に、関わる地方企業を「もう一段輝かせる」ことができる。この1年半で、その確信が持てるようになりました。
そして何より、この2事業を通じて、地方オーナー社長との強固な信頼関係を築いてこれたこと。
東京の大手コンサルでもなく、外部のM&A仲介でもなく、「同じ地方で汗をかいてきた仲間」として本音で向き合える関係。
これは、Enagicがここまで地肉として積み上げてきたからこそ得られた、私たちだからこそ機能する独自の強みです。
だからこそ、Enagicは、これらの企業をグループ会社として迎え入れ、ホールディングス体制を構築していきます。
Web・AI・マーケティング・経営知見を共通基盤として注入し、各社の独自性を尊重しながら、グループ全体としての底上げを図る。
眠れる企業を、もう一段強い「10億円企業」へと育て、グループ会社として束ねていく。
それを、10年かけて、10社実現する。
これがEnagicの100億円構想です。
「単一事業で100億」ではなく、「地方の優良企業をホールディングス化した連合体として100億」。
派手ではありません。むしろ地味な道のりです。
でも、地方経済の構造を真剣に考えるなら、これが最も現実的で、最も社会的に意味のある道筋だと信じています。
これは「買収」ではなく「伴走」です。
オーナー社長の想いを引き継ぎ、次の時代に橋渡しする役割。
地方創生という言葉が、流行語ではなく実装事業になる景色を、私たちは作りたい。
100億の先に見据える「人材の循環」
もう一つ、この構想にはとても大事な意味があります。 地方への雇用拡大です。
100億を目指す本当の理由は、ここにもあります。
ただし、単なる雇用拡大ではありません。 ホールディングス体制になれば、各グループ会社の社長は、私ではない誰かが担うことになります。
そこに私は、優秀な人材、特に若手を、戦略的にアサインしていきたい。
最近、強く感じることがあります。
都心、東京や大阪で、激しいキャリアの戦いを繰り広げている人が本当に多い。
能力が高く、向上心が突き抜けている人ほど、その消耗戦のど真ん中にいる。
本当に、そこで戦うべきなのか?
長崎・地方というフィールドに、ほんの少しポジショニングを変えるだけで、化けるほど活躍する人。 驚くほどハマる人。
そういう人材は、間違いなく存在すると思っています。
ゼロから起業して社長になるのはハードルが高い。 でも、会社員としてキャリアを積み上げてきた人なら、グループ子会社の社長として最適なケースは多い。
ホールディングスとして地方の多角化経営を進めながら、勢いのある人材をどんどん地方へ、長崎へ、社長という座へと招き入れていく。 それによって、
- 地方の経営レイヤー全体を底上げする
- 個人のキャリアの選択肢を広げる
- 都心一極集中からの、健全な人材循環をつくる
100億は、数字としてのゴールであると同時に、地方の経営と雇用と人材を、まるごと再設計するための器でもあります。
これが、Enagicが100億を本気で目指す、もう一つの理由です。
10年のロードマップ
ここから先の10年を、ざっくり3つのフェーズで描いています。
※IPOは狙いません。あくまで事業会社として、地に足のついた成長を選びます。
Phase 1(基盤期・〜3年) 既存2事業の徹底磨き込み
Web制作事業については、AI実装込みのWeb制作を、地方中小企業の標準仕様にしていく。
民泊開業支援事業は、長崎で確立したノウハウを、九州そして全国へ展開していく。
売上目標は、今期5,000万円から、3年後で3〜5億円規模を視野に。
地方オーナー社長との接点を、この2事業を通じて全国規模で積み上げていきます。
Phase 2(拡大期・4〜6年) 2事業の全国スケールと連合の起点づくり
Web制作は、地方特化の「マーケティング × AI」パッケージとして全国展開。
民泊開業支援は、運営代行・FC化も視野に、全国数十棟規模へ。
そしてこの時期に、最初のパートナー企業との連合関係を本格的に構築開始する。
売上目標は、5年後で10〜20億、組織50〜100名規模。
Phase 3(達成期・7〜10年) 100億の連合体として確立
既存2事業を主柱に据えながら、地方優良企業との連合を順次拡大。
最終的に10社規模の連合体として、年商100億を達成する。
売上目標は、10年後で100億、グループ全体で300名規模。
シンプルに言えば、いまある2つの事業を本気で全国に広げる。その先に、地方企業の連合体としての100億がある。
これが、Enagicの10年の地図です。
覚悟と決意
ここまで読んで、こう思った人もいるかもしれません。
「いま、まだ売上数千万の会社が、本当に100億って言っちゃっていいの?」
正直に言います。
今のEnagicの規模で、10年後に100億は、現状の延長線上では絶対に届かない。
それでも、敢えて今、書いた理由は2つあります。
ひとつ目。
100億は、宣言してから始まる。 言わないままなら、絶対に達成しない。 だから、いま書く。これは私自身への約束でもあります。
ふたつ目。
完成された会社で働く体験よりも、「ここから一緒に作る」体験のほうが、人生では稀少です。
10年後、Enagicが100億円企業になっているとき、 「あの時、まだ数名だったEnagicに、自分は賭けたんだ」 そう言える瞬間を、これから出会う仲間と一緒に作りたい。
そのために、いま、覚悟を晒しておきます。
こんな仲間と、歩きたい
ここまで読んで「面白そう」「自分に何か関係があるかも」と思ってくれた方に、改めて。
求めているのは、特別なスキルを持った人ではありません。
- 地方の眠れる力に、本気でワクワクできる人
- 「面白い」と「儲かる」を両立させたい人
- 完成された組織より、未完成の物語に魅力を感じる人
- アナログとデジタルの両方を尊重できる人
- 5年、10年の長期視座で物事を考えられる人
- 数字から逃げず、自分の意見を持っている人
- 宙に浮いたボールを、当たり前のように拾える人
逆に、こういう方には、おそらく合いません。
- 安定した環境を最優先する人
- 短期成果だけを追う人
- 「指示待ち」を心地よく感じる人
- 都会的な完成された企業文化を求める人
正直に書きました。 ここで「いいな」と思ってくれた方とは、きっと深く組めると思っています。
募集ポジション
幅広い職種で募集していますが、特に下記の方とは強くお話しさせていただきたいです。
新卒・第二新卒、業界未経験の方も大歓迎です。 何より大事なのは、ミッションへの共感と、一緒に走り抜く意志です。
まずは、カジュアル面談からはじめませんか
応募の前に、お互いを知るところから始められたら嬉しいです。
「正社員として働くか、まだ迷っている」 「Enagicがどんな空気感なのか知りたい」 「自分の経歴で、フィットするポジションがあるか相談したい」
そんな温度感でも、全く構いません。 1対1で、肩肘張らず、ざっくばらんに話しましょう。
「話す」のボタンから、お気軽にご応募ください。
最後に
Enagicは、完成した会社ではありません。 むしろ、未完成の塊です。
でも、未完成だからこそ、これから関わってくれる人が「会社の物語」の一部になれる。
地方を、開国する。 眠れる力を、呼び覚ます。 それを、本気で事業として成立させる。これからもぜひ、一緒に、地方から日本を盛り上げていきましょう。
そしてこの記事を読んで、少しでも心が動いた方。
まずは、お話しさせてください。
