自分が社会人になった頃は、今以上にロジカルシンキングや構造化がブームだった。
外資コンサルからスタートアップへ。
そんな人材の流れも手伝って、社内でも社外でも通じるカタカナ用語が一気に増えた時代だったと思う。
特に、KPI、コミット、PDCA。
この三つの単語は、夢に出るほど聞いた。
経営層の間でも同じブームが起きていたのだろう。
アジェンダの共有は24時間前に。
「コンセンサス取れてる?」
「プライオリティは?」
「バッファーどれくらい見てる?」
そして、
「バリューねぇな。」
「ボトルネック、お前じゃん。」
今思えば、かなりパワハラめいた言葉も飛び交っていた。
横文字を使うと人は高圧的になってしまうのか、こんな空気の会社は珍しくなかったし、気づけば、それらの言葉が会社中の共通言語になっていた。
家の本棚にその時代に読んだ本を見つけてそれが懐かしくなった。
不思議なことに、あれほどまでに耳にし、口にしたKPIやコミットという言葉を今は使わなくなった。
もちろん、今でも役に立っているものもあるが、ほとんど使わなくなったというのが正直なところだ。
若い頃は、焦りもあってか、手っ取り早いものに目が行きがちだと思う。
このフレームワークを覚えれば。
このスキルを身につければ。
仕事ができるようになる。そんな安心が欲しかった。
でも、仕事を続けるほどに分かってくる。
「こうすれば正解」というものはないし、
「これしかない」と思っていた選択肢の隣には、たいてい別の選択肢が並んでいる。
若い頃に欲しかったのは、答えの出し方だったが、
今は、答えを出すことより、
答えが一つじゃないことに耐える力の方が、大事なんじゃないかと思っている。