日本コロムビアグループ株式会社(以下:NCG)は、2025年10月1日に株式会社フェイスから新設分割により設立された、AIを核とした次世代型クリエイティブプロデュースカンパニーです。
NCGのCCO(Chief Creative Officer)であり、AI特化型レーベル「NCG ENTERTAINMENT™」のプロデューサーを務める青木 俊樹。
20年以上、一度も組織に属さずフリーランスの映像クリエイターとして第一線を走ってきた彼が、44歳にしてNCGにジョインしました。
AIクリエイティブコンテスト「COLOTEK(コロテック)」での二冠を機に、作る側から「環境を創る側」へと転身した青木に、AI時代のクリエイティブの在り方と、NCGで成し遂げたいビジョンを聞きました。
日本コロムビアグループ株式会社 チーフクリエイティブオフィサー
青木 俊樹(あおき としき)
テレビ・広告業界の最前線でフリーランスを貫いてきた映像クリエイター。ディレクション、編集、コンポジット、3DCGに至るまで、現場叩き上げの制作スキルを保持し表現の最前線を切り拓いてきた。これまでの制作力と最新のAIを武器に、様々なクリエイティブ領域で活躍。 2026年4月 NCGのCCO就任。
—— まず、青木さんのキャリアの原点について教えてください。20年以上組織に一度も属さず、フリーランスとしてテレビや公告業界の最前線で実写から3DCGまで泥臭く手を動かしてこられましたが、映像の世界を志したルーツは何だったのでしょうか?
最初から映像監督になりたいと明確に思っていたわけではないんです。
もともと音楽や映画、テレビ、ゲームなど、とにかくコンテンツそのものが大好きでした。音楽を聴けば頭の中に景色が浮かぶし、映像を見れば「これはどうやって作っているんだろう」と気になる。そういう子どもだったと思います。
そこから映像制作の世界に入り、編集、デザイン、モーショングラフィックス、3DCG、撮影、演出と、知りたいことがどんどん増えていきました。結果的に、必要になったものを一つずつ覚えていった20年間でした。
僕にとって映像は技術を見せるためのものではなく、音楽や物語、感情を増幅させるためのものだという思いは、今も変わっていません。
—— そんな中、いち早く生成AIに着目されたきっかけは何だったのでしょうか?
最初に触れたとき、「これなら頭の中にしかなかった映像を作れるかもしれない」とシンプルに思ったんです。
僕は、新しい技術を見ると仕事になるかより先にこれで何が表現できるだろうと考えるタイプなので、気づけば毎日のように生成し、検証して編集していました。
AIに興味を持ったというより、もう一度、映像を作ることそのものに夢中になった感覚に近いかもしれません。
—— AIクリエイティブコンテスト「COLOTEK(コロテック)」で二冠を達成した後、NCGのCCOに参画する決断をされました。数ある選択肢の中で、なぜNCGだったのでしょうか?
一番大きかったのは、ここならクリエイター個人ではできない規模の挑戦ができると感じたことです。フリーランスの生き方は自由で、これからも一人でやっていくものだと思っていましたから、周囲からはかなり意外だったと思います。
僕は20年以上、一人のクリエイターとして活動してきました。その生き方が嫌だったわけではありません。むしろ自由でしたし、これからも一人でやっていくものだと思っていました。そんな自分が組織に入る決断をしたので、周囲からするとかなり意外だったと思います。
きっかけとなったCOLOTEK(コロテック)を通じてNCGの方々と接する中で、単にコンテストを開催しているだけでなく、本気で新しいクリエイターや表現と向き合おうとしている会社だと感じました。
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COLOTEK(コロテック)- AIクリエイティブコンテスト
歴史ある会社ゆえに守るべきものがある一方で、変わらなければいけないという強い意思を感じました。
完成された場所に入るというより、これから大きく変化していく場所に、自分も当事者として参加したい。それが、NCGを選んだ大きな理由です。
—— 115年以上の歴史を持つNCGグループの環境は、青木さんの目にどう映っていますか?
115年以上という歴史は、単なる会社の年齢ではないと思っています。
無数のアーティストや楽曲、クリエイター、そして愛してきた人たちの時間が蓄積された、ものすごいアセットです。
僕はその歴史を守るものだけとしては見ていません。歴史があるからこそ、そこに最新のテクノロジーを掛け合わせたときの振れ幅が大きい。115年以上の歴史と生成AIという生まれたばかりの技術が同居している、その時間軸の振れ幅こそがNCGグループの面白さだと思っています。
—— 現在のミッションと、AIに対するスタンスを教えてください。
ミッションは、テクノロジーによってクリエイティブの可能性を広げ、新しい才能や作品が世の中に届く仕組みをつくることです。僕自身が長く一人のクリエイターとして、活動してきたからこそ、才能があっても機会に恵まれないクリエイターと、NCGのアセットをつなぎ、一緒に新しいものを生み出せる環境をつくることを大切にしています。
僕はAIを答えを出してくれる機械ではなく、人間の想像力をこれまで届かなかった場所まで運んでくれる「翼」だと考えています。
技術が進化し壁がなくなるほど、何を表現したいのか、なぜそれを作るのかという人間側の意思がより重要になります。
技術の進化が速くても、作品に込められる本質的なメッセージは変わらない、そこはこれからも大切にしていきます。
—— 1クリエイターからチームを動かす立場へ変わったことで、意識の変化や直面した苦労、そして譲れない「クリエイティブの軸」について教えてください。
約350作品が集まったCOLOTEK(コロテック)をはじめ、個のクリエイターから人を巻き込んで場を動かす立場となり、一番大きく変わったのは人の可能性に責任を持つ側になったことです。
審査する側としては、単なる技術的完成度以上に「この人は何を伝えようとしているのか」という強い思いや独自の視点を深く見るようになりました。
受賞の有無にかかわらず、素晴らしい作品やクリエイターの挑戦をその後の仕事や次のチャレンジにつなげる仕組みを作りたいと考えています。
一方で、一人で作品を作るのとチームでプロジェクトを動かすのとでは必要な能力が全く異なり、現場での泥臭い苦労も当然あります。誰に何をお願いして気持ちよく力を発揮してもらうか、クライアントの要望とクリエイターの表現したい思いをどう両立させるかという点には常に向き合っています。
その中で僕が絶対に譲りたくないクリエイティブの軸は、なぜ作るのかを曖昧にしないことです。AIで作ったから面白いという技術ありきの姿勢だけでは作品になりません。
誰に届けたいのか、何を感じてもらいたいのか、その表現である必然性をどこまで突き詰められるか。どれだけテクノロジーが進化しても、人の心を動かすというクリエイティブの中心だけは決して変わりません。
—— 今後、世の中にどのような新しい体験を届けていきたいですか?
今後は会社や業界の境界線がもっと曖昧になっていくと思います。
自社IPだけでなく、面白い才能やアイデアがあるなら一緒にやる、その方がエンタメは絶対に面白くなります。
僕が作りたいのは、単に「AIを使った映像」ではありません。作品に触れた人が、今まで経験したことのない感情や驚きを得られる体験を作りたい。これまでなら交わらなかった人やコンテンツをつなぐことも、これからの僕たちの役割だと思っています。
NCGだけで完結せず、外に向かって扉を開き、いろいろな人を巻き込んで、エンターテインメントの新しい交差点のような場所を作りたいです。
—— 最後に、これから一緒に働く未来の仲間へメッセージをお願いします。
僕自身20年以上フリーランスだった人間が、44歳で初めて会社員になり、今は大きな挑戦の途中です。
だからNCGに来れば、すべてが整った環境で決められた仕事が待っている、とは思ってほしくありません。むしろ、まだ誰も答えを持っていないことのほうが多いです。
一緒に働きたいのは、完成された正解を持っている人より「それ面白そうですね。やってみましょう」と言える人です。職種に肩書きに関係なく、自分の好きなものがあり、何かを作りたいという衝動がある人。
115年の歴史の上に、今の時代だからできる新しい文化をつくる、そんな大きな実験に一緒に参加してくれる人と出会えたら嬉しいです。