中原を歩いていたとき、クラウドファンディングのチラシを偶然見ました。
クラフトビールのことは、何も知りませんでした。
でもチラシに書いてあった鹿島田のお店が気になって、その夜、初めて一人でビアバーに行ってみました。
初めての一人飲み。
カウンターに座ったら、常連さんがすごく話しかけてくれて、初めて知らない人におごってもらいました。
「これって何だ?」
正直、最初に思ったのはそれでした。
人と喋るのが、こんなに楽しい場所があるんだ、と。
確かめたくて、その後、別のクラフトビールのお店にもいくつか行ってみました。
でも、ほとんど話してもらえませんでした。
カギヤだけが、違いました。
そのとき、思ったんです。
「もしここで働くことになったら、自分も“こういう人”になりたい。」
最初に話しかけてくれた常連さんみたいに、初めて来た人に「これって何だ?」と思ってもらえる、そんな立ち位置に。
前職で、足りなかったもの
前職は、毎日がルーティーンワークでした。
仕事自体は嫌いじゃなかったけど、もっと人と話したい、と思うようになっていました。
学生時代にヒッチハイクで日本一周をしたことがあって、知らない人と話してお金やご飯をいただいた経験があります。
カギヤのカウンターでの「初めての一人飲み」は、そのときの感覚にすごく似ていました。
人と話して、何かが交換される。
そういう仕事って、世の中にあるんだ、と思いました。
入ってみて、ギャップがなかった理由
「実際に働いてみたら違ったらどうしよう」と、少しは思っていました。
でも、ギャップがほとんどなかったんです。
カギヤって、お客さんとして来ていても楽しいし、働いていても楽しい場所でした。
今でも、シフトに入ると「自分が飲みに来ているみたい」と感じる瞬間があります。
ただ、立ち位置は変わりました。
お客さんのとき、自分の気持ちいいことだけを話せばよかった。
店員になってからは、お客さんの趣味に合わせて話す。素直に聴いて、知らないことは調べて、また話す。
そのくり返しです。
それも、ぜんぜん苦じゃありません。いろんなことを知れるから、毎日が違う。
一番の思い出:中原にタンクが来た日
カギヤで働いていて、一番強く覚えているのは、中原店のオープンです。
何もない空っぽの場所に、醸造タンクが入ってきました。
工事も、ものづくりも、一からその場に立ち会いました。
0から1ができる過程を、自分の目で見ました。
中原のオープン前夜、イベント用のソーセージを仕込んでいたら、お客さんが**「俺も手伝うよ」と入ってきました。**
これがカギヤです。
お店をつくる側と、来る側の境界が、いつの間にか溶けていく。
その日からの中原は、知らないお客さん同士が自然と仲良くなっていく場所になりました。
そして、自分にも「自分のお客さん」と呼べる人たちができていきました。
接客で大切にしていること
ひとつだけ、自分の中で決めていることがあります。
お客様の「1回目」をどうするか。
カギヤで何度も飲んでいる人より、初めて入ってくる人のほうが、お店の印象が決まる瞬間に立ち会っています。
だから、最初のコンタクトを一番大事にしています。
120%の笑顔と、120%のお出迎えで。
私自身が、初めて鹿島田に入った日の常連さんに、そう迎えてもらったからです。
これから
代表の佐藤の近くで、いろんなことを学ばせてもらっています。
ビールのことも、お店のことも、街のことも。
これから挑戦したいのは、笑顔の人を、一人でも多く増やすことです。
誰かにとっての「思い出の一日」を、自分のお店で作れたらいい、と思っています。
カギヤがこの先、新しい街で店を出すなら、そこに私も関わりたい。
人が行き交う場所で、街全体を巻き込んだ取り組みをしてみたい。
クラフトビールを通して、街に活気が戻る現象を、自分の手で起こしてみたい。
最後に
カギヤで働きたい、と思ってくれた方へ。
私はクラフトビールを知らずにこの世界に入りました。
特別なスキルも、業界の経験も、ありませんでした。
ただ、初めて入ったお店で「これって何だ?」と思って、楽しかった。
きっかけは、それで十分だと思います。