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【会長インタビュー】30兆円規模のレガシー産業にパラダイムシフトを。飲食・食品産業の"ラクスル"を目指すべく新たな挑戦

市場規模30兆円を誇る飲食・食品産業。

また、印刷業界に変革をもたらすラクスル株式会社、物流業界に変革をもたらすキャディ株式会社など、レガシー産業に挑戦するベンチャー企業が頭角を現している昨今。

そして、飲食・食品産業といった巨大なレガシー産業にパラダイムシフトを起こそうと奮闘するのが株式会社シコメルフードテックだ。

今回は、西原会長に「シコメルフードテックの未来」についてお伺いしました。

西原 直良 / 取締役会長

2002年に冷凍食品やタレ・スープ等を製造する株式会社西友フーズを創業し、食品・飲食業界の生産性UPを求めて、2019年に株式会社シコメルフードテックを創業。現在、株式会社西友フーズの取締役会長も務める。

「戦後から何も変わらないし、誰もやらない」。日本の飲食業界を抜本的に変革する

ーーまずは簡単に自己紹介をお願いします。

2002年に株式会社西友フーズを創業したのが私のキャリアのはじまりです。当時は焼肉食材・韓国食材を扱う輸入卸でしたが、3年ほど経ったタイミングで製造業にも参入しました。シコメルフードテックの設立は2019年。スタートアップながらもう2年も走っている会社になります。

ーーと言うことは、ファーストキャリアから起業を選ばれたんですね。様々なご苦労があったのではないでしょうか?

そうですね。西友フーズ創業当時はちょうど20歳でした。

ただ、実家も商売をやっていたのでそんなに奇をてらったつもりもありません。たしかに大変でしたが、誰しも若いうちに苦労をしなければいけないわけですから、早いか遅いかの違いでしかないと思っていました。どうせ同じ苦労なら人より早い方が良いのかなと。

ーーなるほど。

実は食品卸は参入障壁も低いです。スーパーマーケットさんなどは取引先の選定において、規模感や実績はあまり関係ありません。高品質の商品がほかより安く仕入れられるのであれば、先方はそれで十分に満足してくれます。こうした背景もあって、ゼロからやっていけるビジネスとして食品卸に目を付けました。本当に大変だったのは食品卸から製造まで拡大したタイミングです。実は全くノウハウの無い状態で食品工場を経営することになったので、、、。このトライアンドエラーの経験が今の考え方やシコメルフードテックで展開しているサービスに直接活きていると感じています。

ーーシコメルフードテック創業のきっかけを教えて頂けますか?

一番は戦後から何も変わっていない"飲食・食品産業の不"を解決したいと思ったからです。19年間この業界に身を埋めていますが、「何も変わらないし、誰もやらない」。だったら自分がやろうと。私もこの業界は長いので、何が課題でその課題の構造はどうなっているのか?を原体験ベースでしっかり理解していたので変革できる自負はありました。19年間顧客の声に耳を傾け続けていたので。

また、きっかけと言いますか背中を押されるという意味である種の勇気を貰えたのは、印刷をはじめ、物流、広告などレガシー産業に新たなプラットフォームビジネスを展開する「ラクスル」さんの存在が大きかったです。

ラクスルさんのビジネスモデルに着想を得たことはもちろん、印刷という巨大でかつ変革の難易度が高いレガシー産業に挑戦する様を見て、「飲食・食品産業では自分がやろう」と思えました。

市場規模30兆円。レガシー産業、DX化への挑戦

ーー現在展開しているサービスについて簡単に教えてください。

お店で提供するメニューの「仕込み済商品」をアプリから簡単に発注できる、仕込みの発注サービスを展開しています。お店側はアプリで仕込みをしたいメニューを注文して後は到着を待つだけ。 仕込み時間・仕込みの為の人件費のコストダウンを実現できかつ、提供する商品のクオリティも担保できるようなサービスです。

今後の"シコメルフードテックの展望"については後ほど触れますが、このサービスだけでも飲食業界のDX化を大きく前進させ、旧態依然とした業界に新しい風邪を吹き込むことが出来るサービスになるはずです。

ーー戦後から何も変わっていないとありましたが、具体的にはどのような部分が「変わっていない」と感じられたのでしょうか?

もちろん様々な「変わっていないこと」がありますが、一番は受発注のアナログ的な手法です。未だに発注書も見積書も請求書も紙ベースで、連絡も電話が基本なんですよ。

たとえば、こんなケースがあります。缶ビールを10本仕入れる場合、まず発注書に手書きしてFAXで送付。この時点で相当技術的には遅れているのですが、さらに「10本」が読み取れないときがあります。FAXのせいで字が潰れてしまったりして「10本」なのか「70本」なのか判別できないという(笑)

仕方が無いので事務員さんが折り返して確認します。もちろん電話でです。

さらに、飲食業なのでお昼の2時くらいからしか電話を取ることはありません。午後3時頃にようやく繋がって、そこではじめて「10本」とわかります。サプライヤーは慌てて夕方までに配送……みたいな(笑)

ほとんど戦後と変わっていませんよね。

今のシコメルであれば、複雑なオーダーであってもアプリを通じて数秒くらいで完結します。もちろんヒューマンエラーの心配もありません。

また、他の課題として飲食店が抱える固定費問題も挙げられます。フードロスや仕込みの時間を含めた調理に紐づく人件費、また賃料などがそれにあたります。このような飲食店が抱える固定費を変動費化させ、コストや工数を徹底的に削減していきたいです。

現場で私が経験して感じてきたこのような課題を「シコメル」で一気に解決していこうと思います。

ーーなるほど、一気に変化がありそうですね、、、。しかしどうしてデジタル化が進まないのでしょうか?

なんででしょうね(笑)

特に個人経営のお店に言えるのかも知れませんが、もしかしたら事業としてではなく家業として、現状維持を目的に飲食を営まれる方が多いからかもしれませんね。ライフワークみたいな。

しかし「もっと稼ぎたい!」「もっと規模拡大したい!」と野心を持つシェフさんやレストランオーナーさんだって世の中には沢山いらっしゃるはずです。

日頃の作業が楽になるに越したことはないので、家業としてやられている方も、拡大意欲のあるレストランさんにも是非利用してもらいたいです。既に仕組みはあるので、このプラットフォームを利用してどんどん生産性を高めて欲しいですね。

ーーデジタル化が進んでいない以外に、業界が解決するべき課題はありますか?

そうですね、課題解決の方法としてはDXということになりますが、労働環境の改善にも目を向けたいと思います。

現状、飲食店の労働環境はお世辞にも良いとは言えません。平均所得はいくらか上がっていますが、まだまだ十分とは言えません。当然離職率も高いです。

僕らが生きている間、日本人の人材不足はどうやっても解決することができません。

「じゃあ日本以外の人」という発想に目移りするかもしれませんが、この業界に関してはこれも簡単ではありません。たしかに入管法の改正で外国人の方の労働が解禁されましたが、まだ日本に慣れていない外国人の方に複雑なキッチン業務を任せるのは実質かなり厳しいです。

特に今は「セントラルキッチン」ーーゴーストレストランなどと呼ばれることもありますがーーのニーズが高まっています。外国人の方にとっては少し難易度の高い業務です。そうすると結局、彼らはデリバリーなどの職に流れていってしまうんですよ。

ーーなるほど。

外国人労働者だけでなく”日本の飲食業界従事者全員の課題”が労働環境です。

そもそも日本は飲食店の数が多いので、現状需給バランスが崩れて価格競争をしないといけません。たとえばラーメンの値段だってここ20年ずっと変わっていないんです。1000円以上のラーメンってほとんどありませんよね。実際には食品原価もあがってきているのにです。

いま僕らが食べているラーメンでも、シンガポールなどの諸国で3,000円の値段はすると思います。

ーーそうした厳しい状況で、飲食店のみなさんはどのように利益を捻出するのでしょうか?

価格帯が安く、利益も上がりづらい。どうするかというと超過労働でカバーするしかありません。こうした労働環境の改善の一助にもなれればと思っています。売上に関して私たちが出る幕はありませんが、仕込みの部分のコストカットや生産性の向上といった形でこのような課題に対しても飲食店をサポートできるのではと考えています。

発注依頼サービス「シコメル」はファーストステップ。これまでにないスキームで飲食・食品業界に関わる全ての人が勝てるように

ーー最後に、今後の展望についてお伺いしたいです。

大きく二つあります。

まず一つ目は、飲食店の料理に「著作権」のような考え方を持ち込むことで、他店舗へ自慢のレシピを展開できる仕組みを目指しています。

例えば、ある名店が秘伝のタレのレシピをシコメルで公開したとします。全国各地の飲食店がこのレシピを通じて名店の味を提供することができます。極端な話、都内にいながら北海道の味と沖縄の味を同時に楽しめます。レシピの権利を保有する店舗と、そのレシピを使用して同じメニューを展開する店舗双方に収益が還元される仕組みとなっています。

ーーなるほど、もうひとつは?

食品工場と店舗の適切なマッチングです。弊社との提携店舗を増やすことで、こうした取り組みも実現できると確信しています。飲食店の店舗さんは、より品質が高く価格の低い発注ができるようになります。製造→卸→二次卸→お店といった飲食業界の多重構造を破壊するようなシステムですね。中・小規模の飲食店の競争優位性の確立に繋げていきます。

工場側は繁忙期・閑散期に左右されるリスクが軽減すると考えています。注文履歴や工場の空き状況、工数などを技術的に解析することで、効率的な運営を実現できます。忙しすぎず、暇すぎない適切な業務量で常に最適な働き方が可能となります。

ーー近い将来、本当に飲食・食品業界にパラダイムシフトが起きそうですね、、、

本気で実現させるつもりでいます。

もしこの記事を読んで「巨大な市場に変革を起こす」ことや「弊社が捉えている課題への共感」をして頂いた方がいらっしゃればぜひ一緒に働きたいと感じています。

もちろん、飲食・食品業界に携わってこなかった方も大歓迎です。

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