こんにちは、医療と介護をつなぐドクターメイト採用広報チームの遠藤です!
ドクターメイトは、いつでも介護関係者のそばに医療がある安心をお届けするため、夜間オンコール代行サービス™、皮膚科・精神科のオンライン診療サポート、日中医療相談のほか、介護スタッフ向けの教育支援ツールなどを提供している会社です。
2025年10月には、主力サービスの「夜間オンコール代行」を始めとする各種サービスの導入施設が全国47都道府県すべてに拡大しました。
2017年12月の創業当時から真っ直ぐに追い続けた「医療と介護の溝を埋め、持続可能な介護のしくみを創る」というビジョン。ドクターメイトの現在地とこれからの未来を、青柳直樹代表/医師に伺いました。
介護施設に「医療」はあるのか
「皮膚科医として勤務していた千葉県の総合病院を飛び出してから、8度目の冬を迎えます。
最初は『一体、介護施設は何をやっているのだろう』という疑問と憤りから始まりました。病棟で患者さんを診ていた頃、介護施設から搬送されてくる高齢者の状態にムラがあることがどうしても解せなかったんです。
転んで少し擦りむいただけで運ばれてくる軽症の患者さんがいる一方で、『なぜこんなに酷くなるまで放って置かれたんだ』と義憤に駆られるくらい重症な患者さんまで。『介護施設にも専門職はいるはずなのに、なぜこんなことが起こるのだろう』と。
そこで、Googleマップで調べて見つけた千葉県船橋市の介護施設に飛び込みで電話をかけて『一度施設を見せていただきたい』とお願いしたんです。実際に施設に足を踏み入れてみると、自分が想像していたものとは大きく異なる現状に衝撃を受けました」
急性期病院などの看護基準では、7対1看護(※入院患者7人につき、1人の看護師がいること)が採用されているが、青柳代表が見学した介護施設では100人超の利用者さんを3人の看護師で回している、ということが当たり前だったという。
「僕が思っている前提が間違っていたんですよね。嘱託の医師もいましたが、週に1〜2回程度の非常勤という体制。
もちろん、現場の方は皆とっても頑張っている。これは、人が悪いわけではない。医療と介護の仕組みに課題があるんだと、根本的なことに気が付いたんです。
溝を埋めたのは 夜間のオンコール代行
「介護」の現場にも「医療」はあった。しかし、その間には深い溝がある。医療と介護がより近く密接につながっていたら、患者さんの命の不安は解消され、双方の現場の負担は軽くなるのではーーそこから病棟を飛び出して介護施設に足を運び、現場の声を聞き続ける日々が始まりました。
「現在ドクターメイトの主力サービスとなった『夜間オンコール代行™』にたどり着くまでは創業から2年かかりました。軌道に乗るまで、本当に茨の道でしたね。医療と介護をつなぐキーポイントになるものを探して、いろいろな角度から球を投げ続けましたが、なかなか当たらなかった。
実は、日中のオンコール代行を提案したことはあったのですが、多くの施設から『すでに嘱託医がいるのに、さらにオンコール代行を契約するのは……』と、渋られてしまったんです。
当初私たちが向き合っていたのは、『現場』の課題だけだったんです。決算を行うのは経営者なので、『経営』の課題もクリアするものでなければ受け入れられない。現場の課題と経営の課題は違うということに、その後しばらくして気がつくことになりました」
突破口は 施設からの「夜間は対応してくれないんですか」
「それでも、どうやらオンコール代行というアイディアは悪くはなかったようで、多くの施設から『夜間は対応してくれないんですか?』という声をいただいていました。話を聞くと、どの施設でも夜間のオンコール対応が負担になっていることがわかりました。
関連して見えてきたのは、看護師の採用にも悩んでいるということでした。施設看護師が夜間のオンコールに備えなくてはならず、負担が大きく採用が進まない、と。やはり、夜間こそオンコール代行が必要とされているということが明らかになってきたんです。
夜間ををオンコール代行で切り離すことで看護師たちがの負担が軽くなり、結果として採用もしやすくなる。さらに、夜勤でケアを担当する介護スタッフにとってはいつどんな状況でも対応してくれる相手がいて心強い。
現場、経営、利用者と、この三軸のwin-win-winの構図が出来上がったんです」
現場は「夜間の負担を減らしたい」、経営側は「夜間の負担によって困難となっていた看護師の採用を進めることができる」、さらに利用者さんにとっても手薄となっていた夜間の体制が充実することで安心して過ごすことができる。こうした三方良しのサービスが固まったことで、ドクターメイトの事業は一気に上向いた。
「『夜間オンコール代行™』と銘打って、全国の施設に送った一枚のファックスDMに対して、注文が殺到したときは震えました。まさかこんなに早く、こんなに多くのリアクションがあるとは思っていなかったというのが正直なところ。夜間に絞ったサービスがドクターメイトの転機になったのです」
利用施設は全国約1500 受けたコールは13万件超
ケアの質が向上 思わぬ副産物
「サービス導入施設が広がるにつれて、現場の負担は軽くなり、医療と介護が近づいてきたという実感はありました。でも、私たちが想定していた以上に嬉しい反響が届き始めたんです。それは「介護スタッフの医療的な観察が上手くなった』という声。これにはハッとしましたね。
現場の介護スタッフは、ドクターメイトにオンコールをかけることで目の前にいない人に向けて今の状況を話します。これまでは施設看護師に『〇〇さんが……』とツーカーの呼吸で伝えていたものを、『どういった方が、今どのような状況であるか』を的確に報告する必要があるわけです。
そのため、普段から客観的に利用者の状態を見ること、必要な情報を端的に整えていくことなどが自然に鍛錬され、ケア全体の質が上がっているということでした。ともすると閉鎖的になりがちな介護施設で、外部とのコミュニケーションを繰り返すことでケアの質が担保されるのは、私たちにとっても想定していなかったことでした。
他にも、施設看護師がオンコール業務から離れたことで、日勤の時間帯に集中できるようになったとの声も。オンコール代行サービス導入で、施設全体のケアの質が上がったと話していただける施設が多く、そのインパクトの大きさに驚いています」
蓄積された知見を集約し共有する
「現在、約1500施設にサービスを導入していただき、受けたオンコールの数は13万件に上ります。結果として弊社には自ずと知見が蓄積されていきます。
ドクターメイトでは、サービス立ち上げ当初から【対応後の経過】も必ず追っているんです。オンコール対応の翌日、症状悪化はなかったか、緊急搬送された方はどうなったのかなど、しっかり事後を追ってデータとしてまとめています。
対応が合っていたのか間違っていたのか、常に選り分けを行って、その集約した知見を、新たなオンコールで活用する。似たようなケースでも、様々な対応パターンの膨大なデータを持っているわけです。
ということは、対応する看護師個人の質も上がります。ドクターメイトのオンコールナース一人が半年間で受けたコールを現場単位で換算すると、実に約26年分の対応をしているというデータがあります。全国の契約施設のオンコールを専属で受け続けるわけですから、自然と経験値は高まりますよね。
業界全体が前に進んでいくには、知見の『集約化』と『共有化』が重要になってきます。医療の世界では学会やガイドラインでの発表で情報を共有していくものなのですが、介護分野ではまだそういった面が弱い。
各々のコミュニティの中でひとつひとつ課題を解決するのではなくて、大きな仕組みそのものを作っていくことが大事。その役割をドクターメイトが担っているのだなと感じます」
もっと広くもっと深く 社会になくてはならない存在に
施設との信頼を少しずつ積み重ねた結果、全国47都道府県にサービス導入を達成した(2025年10月)。とにかく、医療と介護をつなぐというビジョンを持って、社会のインフラになりたいという思いで走り続けてきた。
「『電気・ガス・水道・ドクターメイト』のように、世の中に必要な仕組みのひとつとなるのが、私たちの目指すところ。ですから、ようやくここがスタート地点でもあるのかなと思います。
契約施設との付き合いも長くなり、施設のオペレーションの一部となってほしいというような文脈で、さらに踏み込んでカスタマイズしたサービスをお願いされることも。そうすると私たちは、施設の個別事情をよりしっかりと把握して、マニュアル通りではなく施設ごとの判断をしていかないといけない。夜間オンコール代行から一歩進んで、次のステージがみえてきたのかなと思います。
例えば、今後は介護記録との連動をどうしていくのか。考えれば考えるほど、まだまだやれることがある。施設で記録している記録ソフトと連携するのか、新たに内部でデータを取れるシステムを作るのか。新しい仕組みを作る余地がたくさんあるので、エンジニアの方にはとっても面白い案件だと思いますよ。
課題と手段はいくらでもある。より確実で信頼度の高い仕組みを構築していくために、あとはどうやり方を考えるか、です」
これからの医療と介護 この時代だからこそのやりがい
「今は、医療と介護の世界において幾度とない大きな転換期なんです。その渦中にいることができて、毎日が幸せですね。何百年かに一度の大事なシーンに立ち会えて、自らが仕組み作りを担えていることが楽しい。超高齢化社会に突入して、日本は世界中から注目されている。ドクターメイトの作った仕組みが、ゆくゆくは世界に広がっていく予感もしています。
『オンコール代行』という概念はドクターメイトが作り、浸透してきていると自負しています。同じく、施設から出なくても診察が受けられるオンライン診察も、もはや当たり前の時代です。
私たちは、介護施設へ向けてさまざまなサービスを手がけています。オンライン診療との親和性が高い精神科の療養指導や、介護施設で働く職員の方向けのイーラーニング学習事業などです。認知症患者さんが多い介護施設に対して、精神科領域のサービスは、特に医療的なリソースが少ない地域での展開に手応えを感じています。
これからは、人が増えていく前提で作られてきた現在の医療・介護のシステムが徐々に立ち行かなくなっていくのは明らか。だからと言って、介護の世界はまだDXやICT化のスピード感についていけないという実情もあります。
ですから、今ある業務を一部外部にシェアリングしていくことがもっと増えていくのではないでしょうか。自前主義から脱却して、『みんなで分担していこうよ』という方向に向かっていくでしょう。
医療・介護の現場は、どこも似たような課題を抱えています。それを解決しなければと思いながら、日々目の前のことに必死に向き合い続けている人も少なくないと感じています。でも、一人一人が今いる場所を飛び出して解決していくのは勇気がいるから、課題意識を持っているのならぜひドクターメイトにジョインしてほしいです。毎日自分たちがやっていることによって明日は変わっていきますし、未来を変えられるという実感を持てるのは医療や福祉の現場にいるとなかなか持てないことだと思います。
私自身は、医療と介護の間で『この指とまれ』と、人差し指を高く差し出す人でありたい。未知のことに対してチャレンジしていくので、成功も失敗もない。常に前を向き、手を取り合って進んでいけるような仲間が増えたらいいなと思います」