インフラエンジニアは、金融機関や公共機関、流通など、私たちの暮らしを支えるシステムが動き続けるために欠かせない存在です。しかし、AIやクラウドが急速に進化する今、「インフラの経験は将来も通用するのか」といった悩みを抱えるエンジニアも増えています。
そうした疑問に対し、「インフラエンジニアの価値はなくならない」と言い切るのが、長年にわたりインフラ領域に携わってきた萬代勇樹さんです。現在はランスタッドのインフラストラクチャーサービスマネージャーとして、エンジニア1人ひとりのキャリア形成を支援しています。
AI時代だからこそ求められるインフラエンジニアの役割とは何か。保守・運用から設計・構築、さらにはマネジメントへとキャリアを広げるための考え方や、ランスタッドだからこそ描けるキャリアの可能性について聞きました。
インタビュイー
ランスタッド株式会社 タレント&ソリューション事業部
ITソリューション ITソリューションデリバリー
インフラストラクチャーサービスマネージャー
萬代 勇樹
1997年にSIerへ入社し、通信会社の顧客料金系システムにおける運用・維持管理に従事。2003年からは官公庁や金融業界向けシステムに強みを持つSIerにて、地方銀行システムの運用・維持管理や政府系金融機関の仮想化基盤構築プロジェクトなどに携わり、PMや管理職を経験。外資系ITコンサルティング企業の日本法人でPM・PMOを務めた後、ランスタッドへ入社。現在はネットワーク・サーバー領域を中心にエンジニアのマネジメントやデリバリーサービスを担う。
「業界を超えて活躍できる」インフラ領域の魅力
—萬代さんは長年、通信会社や金融機関、公共領域など、さまざまなインフラ案件に携わってきました。インフラ領域の仕事の魅力をどのように捉えていますか。
インフラエンジニアは、アプリケーションそのものを開発する仕事とは少し異なり、サービス全体を支える基盤を担っています。金融機関や公共機関など、社会に欠かせないサービスを支える役割には大きな責任が伴いますが、その分だけ「世の中に貢献している」という実感を持ちながら働けることが、この仕事の魅力だと思っています。
また、業界を問わず経験を生かせることもインフラ領域の強みではないでしょうか。インフラの技術や考え方は金融、公共、流通など幅広い分野で共通して活用できます。そのため、1つの業界だけにキャリアが限定されず、自分の可能性を広げやすいことも魅力ですね。
—社会インフラを支える仕事だからこそ、システム障害への対応などプレッシャーにさらされる場面もあるのではないでしょうか。
障害対応は決して楽な仕事ではありません。ただ、経験を積んでいくと「なぜ障害が起きたんだろう?」、「この場合はどう対応すべきだろう?」と、原因を突き詰めて対策を考えられるようになります。1つひとつの障害対応を乗り越えるたびに、エンジニアとしての引き出しが増えていくイメージですね。私自身も、こうした経験を積み重ねたことが現在のキャリアにつながっています。
—萬代さん自身が経験された、インフラ領域で特に印象に残っている仕事のエピソードを教えてください。
40歳で経験した、金融機関のインフラ構築プロジェクトが印象に残っています。仮想化基盤の設計・構築に携わる仕事でした。非常に苦労した案件でしたが、たくさんの壁を乗り越え、「終わらない案件はないんだな」と実感したんです。
このプロジェクトでは、事前の打ち合わせを綿密に重ねて要件定義や基本方針を整理し、その後の詳細設計や構築作業を進めていました。ところが、基本設計で先延ばしになっていた内容が、プロジェクトが進む中で度重なる仕様変更に見舞われました。元請け側のプロジェクトマネジャーが、顧客の要望やプロジェクト全体の流れをうまくコントロールできていなかったのだと思います。
一時は現実的なスケジュールに乗せることがほぼ不可能な状態にもなりました。今だから言えることではありますが、私はお客様のニーズを100%実現するため、数日間寝ずに対応したんです。
振り返ってみると、私がこの案件から学んだのはプロジェクトマネジメントスキルの重要性でした。困難な状況を想定しながら案件を動かす視点を持てたことで、その後は複数のプロジェクトを同時並行でマネジメントする役割も任せてもらえるようになりましたね。
AI時代でも、インフラエンジニアの価値は変わらない
—AIやクラウドの活用が急速に広がる中で、「インフラエンジニアの仕事は減ってしまうのでは」と不安に感じる人もいると思います。萬代さんはどのように考えていますか。
保守・運用の業務は、AIの進化によって効率化がどんどん進んでいくと思います。これまでにも、RPAなどを活用しながら自動化できる部分が少しずつ増えてきた分野ですよね。
ただ、それは「エンジニアが不要になる」ということではありません。自動化によって生まれた時間を、設計や構築、改善提案など、より付加価値の高い仕事へ振り向けられるようになるということです。役割は変わっても、インフラエンジニアの価値そのものがなくなるとは考えていません。
—では、これまでインフラ領域で培ってきた経験も、今後につながっていくのでしょうか。
はい。クラウドが普及したとはいえ、すべてのシステムがクラウドへ移行するわけではないからです。オンプレミス環境を運用し続ける企業もありますし、オンプレミスとクラウドを組み合わせたハイブリッド環境も数多く存在しています。
特に金融機関や公共性の高いシステムなどでは、長年培われてきたインフラ基盤が今も重要な役割を果たしています。「エンジニアはクラウドだけわかればいい」という時代になるのは、まだまだ先の話ではないでしょうか。
大切なのは、新しい技術を学びながらも、これまで培ってきた知識や経験を積み重ねていくことです。インフラの基礎を理解しているエンジニアほど、新しい技術も吸収しやすくなるので、それまでの経験が無駄になることはありません。インフラエンジニアとして着実にスキルアップしてきた人は、これからも長く活躍できるはずです。
保守・運用から設計・構築、マネジメントまで。個々に適したキャリアを支援
—ランスタッドへ入社したインフラエンジニアは、どのようなキャリアを歩んでいくケースが多いのでしょうか。
これまでの経歴や目指すキャリアによって変わりますが、保守・運用の経験を生かしながら、設計・構築へとステップアップしていくケースが多いです。
実際に私がキャリア相談を受ける中でも、「設計・構築に挑戦したい」という声はよく聞きます。そうした希望に応えられるよう、設計・構築につながる案件を獲得し、1人ひとりのキャリアアップにつなげていくことを意識しています。
若手エンジニアからは「何を学べば設計・構築へ進めますか?」という相談もよく受けます。この点については、学習や資格取得だけでは十分ではありません。設計・構築では、自ら情報を集め、課題を見つけ、積極的に提案していく姿勢も求められます。そうしたスキルを身につけることの重要性もアドバイスしています。
—設計・構築を目指す人が多い一方で、保守・運用も重要な仕事ですよね。
はい。保守・運用は、システムを安定して稼働させ続けるために欠かせない仕事です。経験を積めば、維持管理や改善提案など、より上流に近い業務へ携わる機会も増えていきますし、その中で設計・構築やマネジメントに関わる場面も出てきます。「保守・運用だからキャリアが止まる」ということはありません。そこで培った知識や経験は、その後のキャリアにも確実につながっていきますので、誤解してほしくないですね。
「5年後、どんなエンジニアになりたいか」のビジョンを描く
—キャリアアップを実現するためには、どのような姿勢が大切だと考えていますか。
私がよくエンジニアに伝えているのは、「何を勉強するべきか」を考える前に、「5年後、どんなエンジニアになりたいか」のビジョンを描いてほしいということです。目指す姿が決まれば、「そのために今どんな案件を経験すべきか」「どんな資格を取得すべきか」といった行動目標も自然と明確になるからです。
将来の目標から逆算して、今やるべきことを考える。その積み重ねが、キャリアを大きく広げていくのだと思います。
—エンジニア1人ひとりの目標を理解するために、マネージャーとして意識していることはありますか?
私自身もメンバーと定期的な1on1を実施し、「将来どうなりたいか」をじっくりと聴くようにしています。目の前の案件についてだけではなく、その先にどんなキャリアを描きたいのかを知る。その実現に向けて、どんな案件や経験が必要なのかを一緒に考えていく。それがマネージャーとしての大切な役割だと思っています。
「自らポジションをつくる」気持ちでチャレンジしてほしい
—現在、ランスタッドは急速に組織が拡大しています。萬代さんは、この環境ならではの魅力をどのように感じていますか。
1番の魅力は、グローバル企業としての安定した経営基盤がありながら、新しい組織をみんなでつくり上げていけることだと思います。
エンジニアから「こんな制度があるとうれしい」「こんな資格取得支援制度があれば成長につながる」といった声があれば、それを検討し、実際に形にしていける環境があるんです。実際に、エンジニアから「この資格が必要なので取得費用を負担してもらえないか」という声を受けて、会社にとっても必要だと判断し、費用負担を実現したことがあります。案件の合間にある待機期間に、次のステップに向けた研修を受けてもらい、その費用を会社が持つといった支援も検討できます。
安定した経営基盤を背景に、新しいチャレンジへ積極的に投資できる。この絶妙なバランスは、今のランスタッドならではだと感じていますね。
—これから新たなキャリアに挑戦したいと考えているエンジニアへ、萬代さんからのメッセージをお願いします。
もしランスタッドでの仕事に挑戦してもらえるなら、「今あるポジションに自分を当てはめる」のではなく、「自分自身で新しいポジションをつくる」くらいの気持ちで仲間に加わってほしいですね。
組織が大きく成長している今だからこそ、新しい役割やポジションはこれからも数多く生まれていきます。リーダーやマネージャーに挑戦したいという人も、まだ前例のない役割を提案したいという人も、手を挙げることで新しい可能性が広がっていくはずです。
また、面談をしていると、スペシャリスト志向の方が多い印象です。もちろん技術を磨き続ける道もあります。ただ、「技術が優れている人をどう生かすか」を考えられる人がいないと、チームは回りません。技術もあってマネジメントもできる人は、お客様からも必ず求められます。スペシャリストを目指す人にも、マネジメントの視点をぜひ持ってほしいですね。
社会を支える重要な存在であるインフラエンジニアの価値は、AI時代でも変わりません。だからこそ、自分自身の可能性を狭めることなく、新しいことに挑戦しながらキャリアを広げていってほしいんです。
私自身も、エンジニア1人ひとりが思い描くキャリアの実現をともに考え、ともに挑戦する「partner for talent.」として、皆さんの思いに真剣に応えていきたいと思っています。