シードラウンドを終えたばかりのスタートアップ企業にとって、限られたリソースの中で事業を加速させることは大きな課題です。
株式会社Zenmetryは複業人材を活用することで、この課題を見事に解決しました。代表取締役の長友好江さんと取締役Co-founderの畔上兼一さんに、複業人材の活用による事業成長の秘訣について話を伺いました。
目次
- 月数時間の複業タレントの力でスタートアップの課題を解決
- CTOレベルの人材も求人公開から1週間で確保
- 非同期コミュニケーションで複業人材が働きやすい環境を整備
- 低コストで素早く採用できる複業人材は事業変化に柔軟に対応できる
月数時間の複業タレントの力でスタートアップの課題を解決
代表取締役の長友好江さん
ーー複業人材を採用する前はどのような課題を感じていましたか?
長友:シードラウンドの資金調達直後は、SNSなどで都度採用活動をしていましたが、会社の認知度が低くて苦労していました。当時は「フルタイムで採用する」か「インターンを活用する」の二択しか考えておらず、限られた時間だけ手伝ってもらう人材を活用するという中間の選択肢を想定していなかったんです。
この課題を解決するきっかけとなったのは、アクセラレーションプログラム(ベンチャー企業やスタートアップ企業を対象に、事業の成長を加速させるためのプログラム)の一環で行われたAnother works代表の大林さんとの壁打ちです。
月に1~2回しか稼働できなくても、その人のスキルを借りることでコア業務に集中できるという考え方に触れ、複業人材活用の可能性を見出しました。
それまでは「採用」というと100時間働いてくれるような人を採用するべきだという固定概念がありました。でも実際には、普通の人が何十時間働くより、優秀な人が1時間働いた方がうまくいくパターンが多いんです。このアプローチを小さな仕事や頻度の少ない業務にも適用していいという発想が生まれました。
CTOレベルの人材も求人公開から1週間で確保
取締役Co-founderの畔上兼一さん
ーー複業クラウドを通じてどのような人材を採用されましたか?
長友:インフラエンジニア、サーバーサイドエンジニア、マーケター、総務担当の4名を採用しました。
インフラエンジニアはスタートアップのCTOを務めていたレベルの人材で、GCPからAWSへの移行をスムーズに遂行してくれました。約2か月という短期間で、大きな不具合もなく移行できまして、まさに必殺仕事人と呼ぶにふさわしい人材です。
サーバーサイドエンジニアの方は、CTOが「コードが書ける人だ」と高く評価しています。彼は友人も紹介してくれて、新たに優秀な人材と出会うこともできたんです。
畔上:マーケティング担当で採用した人材は、HubSpotの導入を全面的にサポートしてくれましたね。彼は非常に熱心でキャッチアップ力が高く、HubSpotの立ち上げから認定に関する手続きまで、すべてのやり取りを任せられました。
総務担当は大手イベント会社の元総務部長で、アカウント作成だけでなく助成金の書類処理まで担当してくれています。管理職経験があるので、当初想定していた以上の業務を任せられています。
複業クラウドでの採用を始めて驚いたのは、スカウトをほとんど活用せずに応募が集まることです。求人を公開してから約1週間で採用が決まることが多いですね。
非同期コミュニケーションで複業人材が働きやすい環境を整備
ーー採用した方々とはどのように関わっていますか?
長友:業務の依頼と締め切りは明確にしますが、それ以外の義務はほとんどありません。定例会議のような負担を少なくし、必要に応じてミーティングを設定し、基本的なやり取りはSlackで行っています。
畔上:複業人材のマネジメントについては苦労をあまりしていません。自立して自己管理できることが必要だという前提を最初に説明し、基本的に自由に働いていただけます。
長友:採用時には「どういう会社や環境が苦手か」も必ず質問します。嫌なことはないか、こういうことはできないといった条件を明確にし、お互いにミスマッチが起きないようにしていますね。
働きやすさも重視しており、会議に参加できない場合は録画を共有するなど、非同期でも働ける環境を整えることが大切だと考えています。
長友:当社は3か月に1回合宿を開催していますが、参加は自由です。出られなくても録画で見ていただけるようにしています。このような配慮が継続的な関係構築につながり、今までに採用した4名全員が現在も継続して働いています。1名は本業が忙しくなって稼働を減らしていますが、辞めた方はいません。
ーー複業人材を採用する際、面接や求人において意識されていることはありますか?
長友:面接では「これまでどういう課題に直面して、どう解決してきたか」を聞くようにしています。また、その人が何を面白いと思って仕事をしているのかも重要です。スキルだけでなく、仕事に喜びや楽しさを見出せる方かどうかを見ています。そして、マッチ度を確認いただくためにも、当社が目指している世界観をnoteにまとめ、そのURLを求人にも掲載するなど工夫をしています。
畔上:エンジニアの採用では、CTOや現場のエンジニアにも「楽しそうか」という観点で求人を確認してもらっています。お金だけではなく、スキルアップができるか、面白いプロダクトに関われるかを考える方が多いので、技術的にチャレンジできる部分があることをアピールするのが大事ですね。
低コストで素早く採用できる複業人材は事業変化に柔軟に対応できる
ーー複業クラウドの契約を更新されましたが、その理由を教えてください。
畔上:何人採用しようと、費用は固定なので、気軽に求人を出せるのが大きな理由です。普通の採用は数百万円の投資になるので躊躇しがちですが、複業クラウドなら月に数時間の業務でも気軽に募集できます。
長友:複業クラウドなら一度働いてもらってうまくいかなかったとしても、次のトライを早いサイクルで行えるのが魅力ですね。
ーー今後どのような方と出会いたいですか?
長友:今後は法人営業の経験がある人材と出会えたらと思っています。製品が無償提供から有償提供のフェーズに入るので、その分野の経験者とつながりたいですね。
畔上:事業の動きが早い分、採用もどんどん変化していきます。半年後に必要な人材は今とは違うかもしれません。複業クラウドなら、その時々で必要な人材に出会えるのでありがたいです。
ーー本日はありがとうございました。少ない稼働時間でも高度な課題をスピーディに解決する複業人材の力と、自由な働き方を重視した環境づくりの重要性がよく理解できました。スタートアップにとって柔軟な人材戦略がいかに事業成長を加速させるかを示す貴重な事例だといえるでしょう。